BUMP OF CHICKENの時代を超える影響力:音楽、青春、そしてエモの文化への貢献

2024年現在、30代から40代前半の層において、BUMP OF CHICKEN(バンプオブチキン)の音楽に触れずに成長した人は稀であると言っても過言ではない。

私がこれまでに交流してきた人々の多くも、このバンドの影響を受けている。

2023年4月に放送された関ジャムでの【BUMP OF CHICKEN特集】を通して、私は再び藤原基央の才能、そして彼が持つ唯一無二の価値を深く実感し、そのことをここに記録しておく必要を感じた。

BUMP OF CHICKENの不変の魅力:世代を超えて響くメッセージと音楽性

彼らの楽曲が持つ独自性は際立っている。

全メンバーが中年に差し掛かりつつも、彼らはまだ学生時代や十代の感性に響くリリックとメロディを生み出しており、これが彼らの最も魅力的な点ではないだろうか。

確かに彼らの視点はデビュー当時より成熟してきているが、それでもなお、青春の輝きや、解決の難しい悩みに対する愛おしさを感じさせる。

彼らの楽曲やミュージックビデオを時代ごとに聴き比べてみると、サウンドや歌詞、映像の変化は顕著だが、藤原基央が作詞作曲を手がける中で一貫しているのは、彼が伝えようとするメッセージの方向性だ。

弱い立場にいる人、思い悩む人、あるいは異なる形で若者である人々へ寄り添うような楽曲を目指しているのだろう。

その能力は特筆すべきものである。

27年が経過しても、彼らの音楽は依然として切なさやはかなさ、急速なテンポ、そして心を強く引きつける「未体験のノスタルジー」や「未知の物語の一部を担う者の感覚」を提供する。

これは、ギターのリフやアルペジオの使い方、時には打ち込み音楽の活用など、音の面での工夫も一因であるが、何よりも藤原の直接的でないが深い意味を持つ歌詞と世界観が根底にあると言えるだろう。

アニメと融合するBUMP OF CHICKENの楽曲:青春のエッセンスと文化的影響

この理由で、アニメという幼さや架空の世界を描くメディアでは、彼らの楽曲が頻繁に取り入れられているのだと思われる。

多くのアニメ作品とのコラボレーションが存在する中で、特に注目すべきは、藤原基央が40歳の際にリリースした「記念撮影」であり、この楽曲には『ワンピース』のキャラクターたちの青春をパロディ化した特別映像が添えられている。

また、39歳で発表された「新世界」には、アニメ制作会社ボンズが手掛けた、青春のほろ苦い恋心を描くスペシャルムービーが付属している。

これらはいずれも、2019年に発売された9thアルバム『aurora arc』に収録されている楽曲である。

BUMP OF CHICKENの音楽を初期から支持してきた人々の中には、少し暗く、複雑な理論を好む、いわゆる「中二病」的な楽曲を求めるファンもいるかもしれない。

しかし、日本特有のティーンエイジャーの生活における悩みや感情の起伏、無謀に生きる若さを表現するのは、年齢を重ねるとなかなか難しいことだ。

日本人が持つ、過去への美徳の感覚や、子どもからティーンにかけてのキラキラしたノスタルジー、また、自分自身が物語の主人公のような体験を求める傾向(これは皮肉ではない)は、多くの人にとって魅力的だ。

そして、私自身も年齢を重ねるうちにこれらの感覚を持つようになったが、この分野で引き続きトップを走り続けているのが、彼らの音楽の大きな魅力だと繰り返し強調されるべき点である。

藤原基央の創作への動機とその影響:関ジャムでの洞察

彼らがこのように生き生きとした作品を創り出せるのは、藤原基央の技術力だけではなく、彼の動機付けにも関係していると言えるだろう。

先に触れた関ジャムでの彼の発言を参考にしているが、読み手にとって理解しやすくするために、文の表現を少し変えている点はご了承ください。

最初俺らはコピーバンドだったんですよ。GREEN DAYとかNirvanaとかoasisとかカバーしてて。それを地元の友達に聴かせて、「いいじゃん、いいじゃん」とかやってたんですよ。
(中略)
ガラスのブルースをまた地元の友達に聴かせたら、いつもなら、「おお、かっこいい、いいじゃん」とかだったんですよ。でも、ガラスのブルースって6分くらいある曲なのに(イヤフォンを)外して、「ごめん、巻き戻して(もう一回聴かせて)」って言われて。
あれっ、どこか悪かったかな、って思ったら次すごい目閉じて聴き込んでて。で、外したら、「お前、こんなこと考えてたんだな」って言われて。
そこから、結構ナイーブなことまで入った自分語り始まって…っていうのが3人くらい連続であったんですよ。何だこれ?!ってなって。
その時共通で言われたのが「お前、こんなこと考えてたんだな」で。
あ、【伝わる】ってこういうことなんだ、って思いましたね。
それが未だに原動力です。

『関ジャム 完全燃SHOW』

この質問「作品制作のモチベーションは何ですか?」に対する彼の返答は、まるで青春時代の思い出を彷彿とさせるものだ。

その経験を大切にすることが直接的に生の感触を保つことと同義ではないかもしれないが、その思いを持ち続け、諦めずに前進する姿勢が、彼の真摯さや独特の特徴、そして創作に対する深い熱意に結実しているのだろう。

あるいは、それ以外の方法を知らない、という一種の不器用さからくるものかもしれない。

BUMP OF CHICKENと現代の「エモ」文化:影響と現代への継承

書き進めるうちに気づいたのだが、この種の感情や新鮮さが、最近よく耳にする「エモい」という表現に当てはまるのではないだろうか?

主人公のような体験、存在しないはずの記憶に対するノスタルジー、眩しいほどの感情の表出などを描くことが、まさに「エモい」とされる要素であるとすれば、それは彼らが築き上げた世界観そのものだ。

そう考えると、BUMPがその源流にいるのかもしれない。

実際、BUMP特集では川谷絵音氏も「彼らがいなければ、今の音楽シーンは全く異なっていただろう」と発言しており、彼らの「エモさ」がどれほど衝撃的で影響力のあるものだったかを物語っている。

だからこそ、令和時代を生きるティーンエイジャーたちにも彼らの音楽を聴いてほしいと思うが、比較的テンポの遅い彼らの曲を、今の若者が時間を割いてまで聴く機会があるのか、それには疑問を感じざるを得ない。