【ray/BUMP OF CHICKEN】歌詞の意味を考察、解釈する。

「BUMP OF CHICKEN(バンプオブチキン)」の数ある曲の中でも、特に人気を誇るのが「ray(レイ)」です。
それまでメディア露出の少なかったバンプが、この曲でミュージックステーションや紅白歌合戦にも出演したとあって話題を呼びました。

今回は、そんな「ray」の歌詞の意味から、作詞作曲を担当する藤原基央さんの文学的な才能に迫っていきたいと思います。

「ray」に込められた意味とは?

アルバムのタイトルでもある「ray」ですが(アルバムでは大文字表記)、「光線」や「一筋の光」という意味を持っているとのこと。

もともとこの曲には「光芒」という名前を使用していたようですが、固いイメージがあるうえに、「レイ」の方が響きだけで頭に入ってくる、ということで曲のタイトルは「ray」となったそうです。

藤原さんはインタビューで、「(自分は)光線のようなものを歌いがち」だと話しています。

そして、この曲名はアルバムのタイトルにもなったほどですから、当時の彼が光線のように希望を感じさせるような曲を作りたかった、ということが窺えます。

歌詞の考察①「ray」を語るうえで切り離せない「You were here」の存在

「ray」の始まりはこう綴られています。

お別れしたのはもっと 前の事だったような 悲しい光は封じ込めて 踵すり減らしたんだ

その後の歌詞も、

君といた時には見えた 今は見えなくなった

寂しくなんかなかったよ ちゃんと寂しくなれたから

と続いています。

これらをまとめると「誰かと別れて寂しい思いはしたが、それでも前に進んで来た」と解釈することができます。

この歌詞が指す「君」というのは「ファン」であることが推測され、それは「RAY」をリリースした5ヶ月後に配信リリースされた「You were here」から窺うことができます。

藤原さんはなによりファンを大切にしている人物でも知られておりますが、この「You were here」は2014年のツアー「WILLPOLIS」の最中に作詞作曲された曲であり、ツアーのMCで彼は「皆(ファン)と別れるのが寂しい」とまで語っていることから、「ray」の歌詞とファンとの別れを惜しむ曲である「You were here」はリンクしており、「ツアーが終われば、またファンと会わない日常になることが寂しい」という思いが詰まっていることが考えられます。

こう考えると、天才的な才能を持った藤原さんの人間らしい一面が見られてより親近感が湧きますよね。

歌詞の考察②日々に寄り添ってくれるかのような温かさ

2番では、ライブ後の藤原さん自身やファンのそれぞれの日々を指していると解釈することができます。

サビでは、

晴天とはほど遠い 終わらない暗闇にも 星を思い浮かべたなら すぐ銀河の中だ

という歌詞がありますが、星は「ライブ」、銀河を「ライブ会場」と置き換えると、「辛い日常があったとしても、あの時のライブを思い返せば乗り越えられるかもしれない」という暗示と捉えることができます。

ライブ時の楽しかった思い出を、ずっと持ち続けられることはできないほどに現実とのギャップに苦しんでいる人がいるかもしれません。

しかしながら、このサビの部分に「次のライブで会う時までお互いどうにかやっていこう」という藤原さんらしいささやかなエールが込められているようにも思えます。

控えめに、けれども心に寄り添ってくれるような彼の姿勢が、幅広い世代に支持されているのではないでしょうか。

歌詞の考察③古参ファンをも驚かせた言葉の重み

バンプが所謂「鬱バンド」と呼ばれていた頃からのファンを驚かせたのは次の歌詞です。

◯×△どれかなんて 皆と比べてどうかなんて 確かめる間も無い程 生きるのは最高だ

ここで、バンプの曲の中でも暗いと言われている「Title of mine」の歌詞を見てみましょう。

差し出された手を丁寧に断ってきた

孤独を望んだフリをしていた

人に触れていたいと 唄っていいかい

この曲は藤原さん自身を歌っていると言われており、当時の彼が人を恐れ、関わり方を模索している様子が窺えます。

そんな彼が「生きるのは最高だ」と歌詞に書いたとあって、古くからのバンプファンは驚いたことでしょう。

このようなこともあり、「ray」自体が藤原さんの生きてきた証であるように思い、より言葉の重みが増すのだと思います。

何度も使われている「大丈夫だ」という言葉も、彼が発信するからこそ共感されるのではないでしょうか。

藤原基央のあくまでもささやかな姿勢に胸を打たれる

「ray」や数多の曲に見られるように、藤原さんの歌詞にはおこがましさのようなものがありません。

そう感じられるのは、彼が抱いた数々の思いや願いを直接的ではなく、比喩を用いて表現しているからです。

藤原さん自身も「毎日自分たちの曲を聴いて欲しいなんて言えない」と公言するほどには謙虚です。

それでいて、手を伸ばしたら受け止めてくれるような優しい言葉の数々に、多くの人が救われたことでしょう。

人々の心に優しく浸透していくような言語表現をできることこそが、藤原さんには文学的才能があると思われている所以なのかもしれません。

バンプの曲を聞く際には、そういった藤原さんの優しさを意識しながら聞いてみると、新たな発見や感動に繋がるのかもしれませんね。


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