数多くの大ヒット曲を持つ「ミスチル」ことMr.Children(ミスターチルドレン)ですが、その中でも特に人気の高い曲である「しるし」は、今なお語り継がれる名曲であると言えます。
この曲は、結婚式などでも多く使われていて、「愛の歌」というイメージが強かったりしますよね。
しかし、実は歌詞の捉え方によっては違った解釈ができたりもするのです。
この記事では、そんなMr.Childrenの大ヒット曲である「しるし」の歌詞の意味を考察、解釈していきたいと思います。
「しるし」とはラブソングなのか、はたまた別れの歌なのか
この大ヒット曲「しるし」は、ドラマ「14才の母」の主題歌として注目を浴びたMr.Children29枚目のシングルです。
CDが売れなくなってきた2000年以降であったにもかかわらず(発売は2006年11月15日)74万枚というセールスを記録しています。
そんな「しるし」ですが、冒頭でも挙げたとおり、歌詞の捉え方によってはラブソングとは違った解釈ができる歌であったりもします。
この曲を作詞作曲したMr.Childrenの桜井さん自らが「愛情が高まった2人の物語なのか、離れ離れになる2人の物語なのか。そのどちらとも受け取れるラブソングです」と発売当初にORICONでコメントしていたのです。
それでは、本当に2つの解釈で読み取れるのかを歌詞を引用しながら考えてみましょう。
Aメロ
最初からこうなることが決まっていたみたいに
違うテンポで刻む鼓動を互いが聞いてる
どんな言葉を選んでもどこか嘘っぽいんだ
左脳に書いた手紙ぐちゃぐちゃに丸めて捨てる
心の声は君に届くのかな?
沈黙の歌に乗って・・・
「最初からこうなることが・・・」から始まるというのがまた桜井さんらしいですよね。
「こうなる」というのは、「一緒になる」ことなのか「離れる」ことなのかがはっきりとしていない点が歌詞の奥深さをすでに物語っています。
また、「左脳で書いた手紙」と言うフレーズは何ともオシャレですよね。
しかも、ただオシャレなだけではなく、思考や論理を司る「左脳」でいろいろ考えてみるけど、そんな論理的思考で書いた(考えた)君への想いは嘘っぽくなってしまうというちゃんとした意味を持つ言葉となっているのが凄いところです。
そして、「違うテンポ」と言う表現も解釈によっては違う意味となりますよね。
恋人同士がお互いの鼓動を感じるという意味での「違うテンポ」とも捉えられますが、「お腹に赤ちゃんがいる母親(自分の鼓動と赤ちゃんの鼓動のテンポが違う)」とも捉えられます。
サビ
ダーリンダーリンいろんな角度から君を見てきた
そのどれもが素晴しくて僕は愛を思い知るんだ
「半信半疑=傷つかない為の予防線」を
今、微妙なニュアンスで君は示そうとしている
恋人のことを「ダーリン」と表現するのは、桜井さんの歌詞の特徴とも言えますよね。
「ダーリンダーリン」と「半信半疑」と英語と日本語で韻が踏まれているのもレベルの高い技法です。
また、愛情を確認できないもどかしい感情を「傷つかない為の予防線」と表現していて、まだ愛を信じ切れていない様子が分かります。
2番Aメロ
「おんなじ顔をしてる」と誰かが冷やかした写真
僕らは似ているのかなぁ?それとも似てきたのかなぁ?
面倒臭いって思うくらいに真面目に向き合っていた
軽はずみだった自分をうらやましくなるほどに
心の声は誰が聞くこともない
それもいいその方がいい
ここでは、2人のこれまでの時間を振り返るシーンとなります。
良い事も悪いことも乗り越えてきて、それゆえにどこか似てきた2人。
そんなこれまでのすべての時間を誇らしくも感じているということが分かります。
歌の冒頭では「心の声は君に届くのかな?」と届いてほしい感情がありますが、ここでは、「心の声が届かなくてもいい(むしろその方がいい)」と感情が変化していることがわかります。
2番サビ
ダーリンダーリンいろんな顔を持つ君を知ってるよ
何をして過ごしていたって思いだして苦しくなるんだ
カレンダーに記入したいくつもの記念日より
小刻みに鮮明に僕の記憶を埋めつくす
確実に自分の記憶に積み重なる君との日々。
ここでは「思いだしてくるしくなるんだ」と、またもや「愛の歌ではなく別れの歌なのでは?」と違う捉え方ができる表現をあえて使っています。
大サビ前
泣いたり笑ったり不安定な想いだけど
それが君と僕のしるし
ここで歌のタイトルである「しるし」と言う言葉が登場します。
しるしの正体は、決して目に見えるモノではなく、「これまでの思い出や感情自体のゆらぎ」であるのではないかと推測できます。
大サビ
ダーリンダーリンいろんな角度から君を見てきた
共に生きれない日が来たってどうせ愛してしまうと思うんだ
ダーリンダーリン Oh My darling
狂おしく鮮明に僕の記憶を埋めつくす
ダーリンダーリン
この歌の最大のポイントとなるのが「共に生きれない日が来たって」と言う部分です。
「これから2人の間に何か起こってしまったとしても」という意味での「共に生きれない日」とも捉えられる一方で、「すでに離れ離れになってしまうことがすでに決まっている」と言う意味での「共に生きれない日」とも解釈ができます。
結論としては、桜井さんのコメントからも読み取れるように、「どちらの境遇の人でも共感できるようにあえてどちらなのかを明言する言葉を入れていない」のだと考えられます。
人によっては永遠を誓い合える「愛の歌」ともなりますし、人によっては「別れ(恋人としての別れだけでなく広い意味での別れ)を想う歌」にもなり得るのです。
まとめ
今回は、Mr.Childrenの大ヒット曲である「しるし」の歌詞の意味を考察、解釈してきました。
1つの物語でありながらも、聴き手の捉え方によってその意味が違う曲であると言えるでしょう。
桜井さんの歌声と共に聴くとさらに心の奥に歌詞が届くので、ぜひ改めて「しるし」を聴いてみてはいかがでしょうか?
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