【終わりなき旅/Mr.Children】歌詞の意味を考察、解釈する。

「終わりなき旅」は、1998年10月21日にMr.Children(ミスターチルドレン、通称:ミスチル)がリリースした15番目のシングルです。
この曲は、当時活動休止中だったミスチルが復帰した作品として注目されました。
歌詞には、バンドの歩みと共鳴するような名言が散りばめられており、その意味について考察してみましょう。

ドラマ『殴る女』の主題歌

「終わりなき旅」は、国民的バンドである『Mr.Children』の15番目のシングルです。
この曲は、ヴォーカルの桜井和寿が作詞・作曲を担当し、同時期にフジテレビ系列で放送されたドラマ『殴る女』の主題歌としても使用されました。
当時のオリコンチャートによると、『終わりなき旅』は発売初週で51万枚以上の売り上げを記録し、その後も売り上げは100万枚を突破しました。
これはMr.Childrenのシングルとしては最後のミリオンセラー作品となっています。
なお、『終わりなき旅』は1999年2月3日に発売された7thアルバム『DISCOVERY』や、2001年7月11日に発売されたベストアルバム『Mr.Children 1996-2000』にも収録されています。
YouTubeに公開されているミュージックビデオのコメントやレビューを見ると、「救われた」「泣ける」といった感動の声が多く寄せられており、『終わりなき旅』は時代を超えて愛されるMr.Childrenの名曲と言えます。
この曲の歌詞の意味について、詳細に考察してみましょう。

その道を進む決意

まず、重要な背景情報として覚えておくべきことは、『終わりなき旅』がMr.Childrenの活動再開の際の楽曲であるということです。
Mr.Childrenは順調に活動を続けているように見えましたが、1997年3月に福岡ドームでのライブで突如「活動休止」を発表しました。
そして、1998年10月21日に本格的な活動再開を果たし、その再開を告げる楽曲として『終わりなき旅』が公開されました。
この経緯を考えると、『終わりなき旅』は「再び活動をスタートさせたMr.Childrenの決意を歌った曲」とも捉えることができます。
実際に、歌詞には当時のMr.Childrenの状況と共感する要素が含まれていることを確認してみましょう。

息を切らしてさ
駆け抜けた道を
振り返りはしないのさ
ただ未来だけを
見据えながら
放つ願い

『終わりなき旅』の冒頭部分の歌詞を見ると、過去に囚われずに未来を見据えて前進しようとする強い意志が表現されています。

大きな声で
声をからして
愛されたいと
歌っているんだよ

1番のサビ前の歌詞では、「愛されたい」という言葉が、「多くの人に自分の音楽を聴いてもらいたい」という意向を表現しているように感じられます。

誰と話しても
誰かと過ごしても
寂しさは募るけど
どこかに自分を
必要としている
人がいる

2番の冒頭部分の歌詞からは、Mr.Childrenが知名度が高いにも関わらず、音楽の道において常に順風満帆だったわけではなく、時には評価されなかったり、他のミュージシャンと比べて苦労したこともあったかもしれないという一般的なアーティストの経験を想起させる要素が感じられます。
それにもかかわらず、音楽への情熱と信念を持ち続け、その道を進む決意が歌詞から伝わってきます。

壁を越えた先に理想の自分が待っている

『終わりなき旅』の歌詞には、人生に関する重要なメッセージが数多く込められており、それがこの曲が多くの人々に愛される理由の一つかもしれません。
歌詞の中には、誰もが自身の経験に当てはめて共感できる要素が散りばめられており、それが聴衆の心に響いているのです。
実際に、ミスチルの歌詞には「人生の名言」とも言える部分がいくつか存在します。
それらの歌詞を詳しく見てみましょう。

カンナみたいにね
命を削ってさ
情熱を灯しては
また光と影を連れて
進むんだ

1番の冒頭の歌詞において、「命を削ってさ」という表現から、一般的には工具の「カンナ」を連想させますが、実際には花の「カンナ」との掛け合わせであると言われています。
この花の「カンナ」の花言葉は「情熱」を象徴しています。

閉ざされた
ドアの向こうに
新しい何かが
待っていて
きっときっとって
僕を動かしてる

『終わりなき旅』のサビの歌詞からは、未来へ向かって前進する主人公の決意が鮮明に浮かび上がります。
ここでの「閉ざされたドア」という表現は、まだ明らかになっていない未来を指し示しているでしょう。
主人公は未来に何が待っているのかを知らないかもしれませんが、自分の理想を実現するために新しい道を進む覚悟が歌詞から伝わってきます。

いいことばかりでは
無いさ
でも次の扉を
ノックしたい
もっと大きなはずの
自分を探す
終わりなき旅

「いいことばかりではないかもしれない」という部分から、進んだ先には困難や試練も待ち受けている可能性があるかもしれません。
しかし、それでも主人公は「次の扉をノック」し、前進しようと決意します。
この歌詞のメッセージは、1番の歌詞冒頭の「また光と影を連れて進むんだ」とも共通しており、未知の未来に向かって前向きに進む意志を示しています。

高ければ高い壁の方が
登った時
気持ちいいもんな

困難を克服した後に感じる達成感は、前進の原動力となることがあります。
高い山の頂上から広がる美しい景色を眺めるように、壁を越えた先に理想の自分が待っているという信念が、主人公を前進させる力となっているのでしょう。

人生には一つの正解がない

歌詞を通して進むと、『終わりなき旅』という曲名が「人生」を象徴している可能性に気づくことができるでしょう。
全体の歌詞からは、主人公が理想の自分を探求しながら前進していく姿勢が伝わってきます。
この主人公の姿勢は、『終わりなき旅』という楽曲がリリースされた時に、再び活動を開始したMr.Childrenの復帰とも共鳴します。
しかし、実際には主人公さえも「理想の自分」が何かを確信していないかもしれません。
この不確実さから、人生を『終わりなき旅』と表現しているのかもしれません。
生きている限り、楽しい瞬間や悩みが交錯するのはよくあることですね。

誰の真似もすんな
君は君でいい
生きる為の
レシピなんて
ない ないさ

歌詞に示されている通り、「上手に生きるための完璧な手引き」は存在しません。
失敗や困難に遭遇しながらも、自分自身で答えを模索し、生きていくしか道はありません。

嫌な事ばかりではないさ
さあ次の扉を
ノックしよう
もっと大きなはずの
自分を探す
終わりなき旅

そして、乗り越えた先で理想の自分に巡り合える可能性があるのかもしれません。
Mr.Childrenの『終わりなき旅』は、まるで手紙のように、人生に関する重要なメッセージを届けてくれる作品です。
この楽曲を通じて、人生には一つの正解がないことをMr.Childrenは示唆しているのかもしれません。