【innocent world/Mr.Children】歌詞の意味を考察、解釈する。

1994年にリリースされたMr.Children(ミスターチルドレン、通称:ミスチル)の「innocent world」(イノセントワールド)は、CMソングとして広く注目され、その年のオリコン年間シングルチャートで1位に輝くなど、大きな成功を収めました。
現在ではミスチルのライブで欠かせない楽曲として親しまれており、この曲の歌詞には深い意味が込められています。
その歌詞の内容とメッセージについて考察してみましょう。

夢を達成するために前進する覚悟

黄昏の 街を背に 抱き合えたあの頃が 胸をかすめる
軽はずみな言葉が 時に人を傷つけた そして君は居ないよ

“Aメロ”の歌詞では、言葉「あの頃」から、主人公が過去を回顧していることがうかがえます。
歌詞に登場する「君」は、恋人か友人かは明確ではないものの、主人公にとっては特別な存在だったと考えられます。
しかしながら、この「君」との距離が今では広がり、主人公自身がその原因を作ってしまったとの反省が歌詞から読み取れます。

窓に反射する 哀れな自分が 愛しくもある この頃では
Ah 僕は僕のままで ゆずれぬ夢を抱えて
どこまでも歩き続けて行くよ いいだろう?
Mr.myself

「哀れな自分」というフレーズから、自身が周囲に与えた傷を反省し、自己を情けなく思う主人公の感情が伺えます。
同時に、「愛しくもある」という歌詞からは、主人公が自分自身に対する希望を抱いていることも窺えます。
また、後続の歌詞に登場する「ゆずれぬ夢」という言葉から、主人公が夢に固執し、その夢について「君」との間で対立が生じた可能性も考えられます。
無謀にも思える夢を諦めず、主人公と「君」が対立する様子が物語に反映されているかもしれません。

歌の後半部分は、主人公の決意と進むべき道を示す部分のようで、夢を達成するために前進する覚悟を表しているように思われます。

流れに身を任せる

いつの日も この胸に流れてるメロディー
軽やかに 緩やかに 心を伝うよ
陽のあたる坂道を昇る その前に
また何処かで 会えるといいな イノセント ワールド

「innocent world」と言えば、この歌詞におけるサビの軽快さが印象的かもしれません。
楽曲のタイトルは英語表記の『innocent world』ですが、サビに現れる「イノセントワールド」はカタカナで表現されています。
歌詞の中で「陽のあたる坂道を昇る」という表現からは、主人公が夢に向かって進む様子が生き生きと描かれているように感じます。

「また何処かで会えるといいな」というメッセージを相手に伝えている部分は、冒頭の歌詞に登場した「君」に向けてのものかもしれません。
その「君」はもはや主人公の身近にはいないけれど、いつかやり直したいという願いが歌詞から伝わってきます。

近頃じゃ夕食の 話題でさえ仕事に 汚染されていて
様々な 角度から 物事を見ていたら 自分を見失ってた
入り組んでいる 関係の中で いつも帳尻 合わせるけど

2番の歌詞からは、主人公が仕事に追われ、他のことに十分な時間を割けない忙しい日常が浮かんできそうです。
歌詞の中に登場する「いつも帳尻合わせるけど」という一節から、主人公が社会や周囲との調和を保つために自分を押し殺し、自身の意見を抑え込むことがあることがうかがえます。

このような状況下で、主人公は周りの声に耳を傾けることが増え、自身の本当の気持ちを見失うこともあるでしょう。

Ah 君は君のままに 静かな暮らしの中で
時には 風に身を任せるのも いいじゃない
Oh Miss yourself

「風に身を任せる」という表現は、自身を流れに委ねることを意味する一方で、「流れに身を任せる」とも受け取れます。
楽曲のタイトルである『innocent world』は、日本語に翻訳すると「無垢な世界」となり、この「無垢」には「純真」や「清らか」などの意味が含まれています。
したがって、楽曲の歌詞には「あまり深く考えず、純粋な心で生きて行こう」というメッセージが込められている可能性があるでしょう。

当時のMr.Children自身の心境や想い

物憂げな 6月の 雨に打たれて
愛に満ちた 季節を想って 歌うよ
知らぬ間に忘れてた 笑顔など見せて
虹の彼方へ放つのさ 揺れる想いを

2番の歌詞を考察すると、「雨」は主人公に立ちはだかる困難や試練を象徴しているように思われます。
同時に、「愛に満ちた季節」という表現は、主人公が夢見る幸福な未来を示唆しているかもしれません。
虹は通常、雨の後に現れ、幸せや希望の象徴とされています。
このことから、困難を克服すると、明るい未来が待っているというメッセージが伝わってくるでしょう。

変わり続ける 街の片隅で 夢の破片が 生まれてくる
Oh 今にも
そして僕はこのままで 微かな光を胸に
明日も進んで行くつもりだよ いいだろう?
Mr.myself

歌詞に登場する「微かな光」は、主人公が抱く「希望」とも捉えられます。
この微かな光を胸に秘め、主人公は夢に向かって果敢に挑戦し続ける覚悟を示しているのでしょう。
この姿勢から、楽曲タイトルである『innocent world』が示す通り、主人公の無邪気さや純粋な信念が伝わってきます。

いつの日も この胸に流れてるメロディー
切なくて 優しくて 心が痛いよ
陽のあたる坂道を昇る その前に
また何処かで 会えるといいな
その時は笑って 虹の彼方へ放つのさ イノセント ワールド
果てしなく 続く イノセント ワールド

また、『innocent world』において、サビの「いつの日も この胸に流れてるメロディー」というフレーズが特に印象的です。
このサビを考えると、主人公が音楽に関連する夢や情熱を抱いている可能性が考えられます。Mr.Childrenは現在、映画やドラマの主題歌として数多くの楽曲を提供する国民的バンドとして知られています。
ただし、『innocent world』がリリースされた当時、彼らはまだメジャーデビューからわずか3年目でした。
したがって、この曲の歌詞は、当時のMr.Children自身の心境や想いを歌っているかもしれません。

まとめ

Mr.Childrenのヒット曲である『innocent world』の歌詞に対する意味の考察を行いました。
この歌詞は、大きな夢に向かって進む決意と情熱を表現しており、不思議なことにリリース当初のミスチルの姿とも重なる部分があるように感じます。
この曲は、リリースから長い年月が経過した今、再評価されることで新たな洞察が得られるかもしれません。

2022年には、Mr.Childrenがメジャーデビューから30周年を迎えました。
このような節目の年に、名曲を改めて振り返り、その歌詞の意味やメッセージを考えることは、ファンにとって有意義な経験となることでしょう。