【くるみ/Mr.Children】歌詞の意味を考察、解釈する。

30年もの長い期間、日本の音楽業界に君臨するモンスターバンドが存在します。

彼らのバンド名は、「Mr.Children(ミスターチルドレン)」

通称「ミスチル」です。

「Tomorrow never knows」や「名もなき詩」、「終わりなき旅」など、メガヒットを連発した彼らですが、それ以外にも様々な名曲を世に送り出しています。

この記事では、そんな「ミスチル」の名曲の中から「くるみ」の歌詞の意味を独自に解釈していきたいと思います。

「くるみ」って何?誰かの名前?

「くるみ」という曲が発表された時、話題となったのが「くるみって誰?」という点です。

ちなみにこの「くるみ」は「幸福な食卓」という映画の主題歌となっていますが、その主人公の名前は「佐和子」なのでくるみとは関係がありません。

考察

「くるみ」という曲名は、おそらく音の感覚(歌いだしの「ねぇ○○〇」の部分)で「くるみ」がしっくりきたという点と、「未来が来る→来る未来→くるみ」という曲名になったのではないかと推測できます。

映画「幸福な食卓」は、家族の様々な問題や彼氏との結末などを抱えながらも、未来へ向かって歩き出すという内容になっているので、「未来が来る→くるみ」という説で間違いないのではないかと思えます。

「くるみ」の歌詞の意味

この歌は、基本的に「別れた後の世界」を描いています。

ねぇ くるみ この街の景色は 君の目にどう映るの? 今の僕はどう見えるの?

恋人なのか、それとも結婚相手なのか、それは聞き手によって受け取り方が違ってくるかと思いますが、別れによって「1人の世界」になってしまったことを憂いているのがわかります。

その後、2人でいた時間を思い出したり、それでも今目の前で動き出している現実の歯車にならなければという「失恋後の色のない世界」を歯車に例えて表現していきます。

そしてサビの後半。

希望の数だけ失望は増える それでも明日に胸は震える どんなことが起こるんだろぅ?想像してみるんだよ

希望があればその数と同じ失望が待っているという現実的な部分を表現しながらも、その後の未来にはまた「希望」が目の前にやってくるという人間の生まれ持った強さをうまく表現しています。

Bメロの出だしも、Aメロと同じように過去にこだわってしまっている状態を表現しています。

桜井さんの上手いところは、ただ「本気で笑うことも少ない」と言うのではなく、「あれからは一度も涙を流してないよ」と失恋してからある程度時間が経ち、ショック状態からは脱していることをしっかりと歌ってから「でも本気で笑うことも少ない」と表現していることでしょう。

そして桜井さんはここから最高レベルの比喩表現を繰り出します。

どこかで掛け違えてきて 気が付けば一つ余ったボタン

すれ違いが生じた恋愛を、ボタンの掛け違えに例えるという最高の歌詞。

そして更にその素晴らしい歌詞は続きます。

同じようにして誰かが 持て余したボタンホールに 出会うことで意味ができたならいい

別れによって1人になった人たちが、また他の誰かと出会い恋愛をする。

とても切ない表現ですが、その中にも「明るい未来を見つけようとする人間の強さ」も少しずつ芽生え始めているのがわかります。

そして大サビ。

今以上をいつも欲しがるくせに 変わらない愛を求め歌う

桜井さんは人間の本質をこの一文で見事に表しています。

便利な物や楽しいことを求めながら暮らしているものの、本当に欲しいものはみな「変わらない愛」なのです。

「確かに」と唸ったファンは多いのではないでしょうか?

希望の数だけ失望は増える それでも明日に胸は震える

出会いの数だけ別れは増える それでも希望に胸は震える

どんな人にも良いことがあれば悲しいことも起こるということを見事な歌詞で表現しています。

そして最後の歌詞。

引き返しちゃいけないよね 進もう 君のいない道の上

失恋や家族や友人との辛い別れを経験したことがある人ならば間違いなくグッとくるこのフレーズ。

決して悲しさを忘れ去ったわけではなく、変わらず強い想いはあるけれども前に進まなければいけないという心情がよく表れた歌詞となっています。

映画のラストシーンと「くるみ」の演出は秀逸

映画「幸福な食卓」のラストシーンでは、主人公の佐和子がひたすら歩くカットで幕を閉じます。

その時間はなんと5分以上。

その約5分のラストシーンの最初から最後まで大きめのBGMとして掛かっているのが「くるみ」なのです。

北乃きい演じる佐和子が歩きながらも時折後ろを振り返ります。

これは「過去」を振り返っているということ。

そして、「くるみ」の「進もう 君のいない道の上へ」という歌詞に合わせるかのように振り返るのをやめて吹っ切れたような表情で前を向いて歩きだすのです。

「5分以上のラストシーンを主人公がただ歩くだけ」「その歩くだけの中にも過去と未来をうまく表現している」「その演技に完璧に溶け込むくるみの音と歌詞」

まさに秀逸なラストシーンとなっているのです。

歌詞とは直接的に関係ない解説部分ですが、「くるみ」を語る上でこのシーンは外せないと感じたのでご紹介させていただきました。

まとめ

今回は、ミスチルの「くるみ」の歌詞の意味を独自に解釈してきました。

この曲は、「別れ」そして「未来へと進む」という人間の悲しみと強さを表現した歌です。

MVでは、中年の男性たちがギターを手にして再び演奏する物語となっているので、別れだけでなく「置いてきた夢」という捉え方もできるかもしれません。

どんな辛い過去があろうとも、引き返してはいけない。

前を向いて進まなければいけないという強いメッセージが込められた歌がこの「くるみ」なのです。

辛い現実に立ち止まってしまった時は、ぜひこの「くるみ」を聴いてみてはいかがでしょうか?

聴き終わった後は、きっと前を向いて歩きたくなっているはずですよ。