【HANABI/Mr.Children】歌詞の意味を考察、解釈する。

日本が誇るモンスターバンドである「Mr.Children(ミスターチルドレン)」、通称「ミスチル」は今までに実に多くの名曲を世に送り出してきました。

「終わりなき旅」や「名もなき詩」「innocent world」「Tomorrow never knows」などなど、名曲は数多く存在しますが、「HANABI(ハナビ)」という曲もまた負けず劣らず名曲として多くの人の心に刻み込まれています。

2008年9月3日に発売されたミスチル33枚目のシングルである「HANABI」は、フジテレビ系ドラマ「コード・ブルー‐ドクターヘリ緊急救命‐」の主題歌としても有名ですよね。

このドラマが10年以上に渡ってシリーズ化や映画化され続けたことで、幅広い世代に聴かれることとなりました。

元々の曲の素晴らしさと、この「コードブルー」という作品との化学反応によって、日本を代表する名曲へと昇華していったのです。

この記事では、そんな名曲「HANABI/Mr.Children」の歌詞を解説し、意味を考察、解釈していきたいと思います。

「HANABI」の世界観

まずこの曲の世界観としては、「うまくいかない毎日と君という存在によって自問自答を繰り返す」というものとなっています。

キーポイントは、やはり「君」という存在です。

基本的には「恋人」という捉え方ができる曲とはなっているのですが、例えば恋人ではなく家族や友達といった「大切な人」にも置き換えることができるのがこの曲が素晴らしいとされる理由の一つとなっています。

桜井和寿さんの歌詞の作り方の特徴でもありますが、「誰にでも感情移入ができるような、登場人物を特定しないぼんやりとした表現」をこの曲でも採用しているのです。

このように作詞することで、ある特定の世代や環境に置かれた人にだけ刺さる曲ではなく、「誰もが共感できる曲」になるわけです。

「HANABI」の歌詞考察(冒頭~サビ前まで)

どれくらいの値打ちがあるだろう?
僕が今生きているこの世界に
すべてが無意味だって思える
ちょっと疲れてんのかなぁ

手に入れたものと引き換えにして
切り捨てたいくつもの輝き
いちいち憂いていれるほど
平和な世の中じゃないし

一体どんな理想を描いたらいい?
どんな希望を抱き進んだらいい?
答えようもないその問いかけは
日常に葬られてく

君がいたらなんて言うかなぁ
「暗い」と茶化して笑うのかなぁ
その柔らかな笑顔に触れて
僕の憂鬱が吹き飛んだらいいのに

主人公は社会の不条理や矛盾などに疲れ自問自答を始めます。

今まで手に入れたものと引き換えに大事な物事を切り捨ててしまったことなどが頭をよぎります。

どんな理想を描き、どんな希望を抱けばいいのか、答えを出せずにいるのです。

そしてキーポイントとなる「君」が登場します。

こんなネガティブな自分でも、傍に今君がいたら一瞬でポジティブになれるのにと思いをはせるのです。

「HANABI」の歌詞考察(サビ)

決して捕まえることの出来ない
花火のような光だとしたって
もう一回 もう一回
もう一回 もう一回
僕はこの手を伸ばしたい
誰も皆 悲しみを抱いてる
だけど素敵な明日を願っている
臆病風に吹かれて 波風が立った世界を
どれだけ愛することができるだろう?

「決して捕まえることの出来ない花火」は、おそらく「君」であり、曲を聴いている人にとっての「大事な人」でしょう。

花火の綺麗さは一瞬で消えてしまうが、その一つ一つに「手を伸ばしたい(触れていたい、傍にいたい)」という感情になるわけです。

勇気を出さず君がいない毎日を過ごすことに意味を見出すことができない(君が自分の人生には必要なんだ)ということを強く想うのです。

「会いたいけど会えない君」や「終わった恋」「大事な人の死」にも捉えることができるから不思議です。

「HANABI」の歌詞考察(Bメロ~サビ)

考えすぎで言葉に詰まる
自分の不器用さが嫌い
でも妙に器用に立ち振る舞う自分は
それ以上に嫌い

笑っていても
泣いて過ごしても平等に時は流れる
未来が僕らを呼んでる
その声は今 君にも聞こえていますか?

さよならが迎えに来ることを
最初からわかっていたとしたって
もう一回 もう一回
もう一回 もう一回
何度でも君に逢いたい
めぐり逢えたことでこんなに
世界が美しく見えるなんて
想像さえもしていない 単純だって笑うかい?
君に心からありがとう言うよ

「考えすぎる自分の不器用さに苛立ちを感じながらも器用に振る舞う自分はもっと嫌」というこの誰もが心の奥底に感じている感覚をサラッと歌詞で表現できてしまうところが桜井和寿さんの凄いところですよね。

「あーその感情凄い分かる」と聴く人に共感を与えることができる最高の歌詞だと言えます。

全ての人に平等に時間が与えられていて、こうしている間にも未来は「今」になっていく。

「その声」というのは、まさしく未来のことでしょう。

どんなことにも終わりがあり、それに気が付きながらも人は大事な何かを求め続けるものです。

「君(大事な何か)」に出逢えたことで、自分の人生は輝きを増しているんだと気が付くのです。

「HANABI」の歌詞考察(大サビ前~大サビ)

滞らないように 揺れて流れて
透き通ってく水のような
心であれたら

逢いたくなったときの分まで
寂しくなったときの分まで
もう一回 もう一回
もう一回 もう一回
君を強く焼き付けたい
誰も皆 問題を抱えている
だけど素敵な明日を願っている
臆病風に吹かれて 波風が立った世界を
どれだけ愛することができるだろう?

もう一回 もう一回
もう一回 もう一回

もしも自分が汚い世界に染まらず子供のような綺麗な心を持っていたらいいのにと嘆きながらも、意識は確実に「未来」に向かっていきます。

「逢いたくなったときの分まで」「寂しくなったときの分まで」

この2つの歌詞は、まさに「未来」へと歩き出そうとしていることを証明しています。

しかし、未来に向かって進んでいくにはやはり「君(大事な何か)」が必要なので、しっかりと脳裏に焼き付けておきたいと願うのです。

最後に「もう一回」と繰り返すことで、君(大事な何か)への強い想いを表現することができています。

まとめ

今回は、「HANABI/Mr.Children」の歌詞の意味について解説してきました。

仕事や人間関係、恋といった様々な問題を抱えている人が自身の想いを投影できる「自問自答の歌」がこの「HANABI」なのではないかと感じます。

「うまくいかない日常」「自分にとっての大事な人への想い」そして「未来に向かって進まなければならないという想い」

心の弱さや強さ、過去への後悔や未来への希望といった様々な「心の形」を素晴らしい歌詞で表現できているからこそ、多くの人の心に刺さる曲となっているのではないでしょうか。