【四季/クリープハイプ】歌詞の意味を考察、解釈する。

今回はクリープハイプの曲である「四季」について考察していきます。

爽やかかつ温かさのあるメロディが特徴的なこの曲は、クリープハイプにしては珍しく、ふわっとした歌詞が印象的です。

というのも、基本的にクリープハイプの曲はダークでドロドロした曲が多く、歌詞も重ための曲が多いです。

独特かつ強い存在感を放つ曲の数々の中に埋もれてしまいがちですが、「四季」の歌詞を深掘りしていくと普段の曲に負けないストーリー性が見えてきました。

それでは、さっそく歌詞を見ていきましょう。

この曲は春夏秋冬の四部構成となっています。

まさに一曲で「四季」を表していますよね。

先程も挙げたように歌詞を詳しく見ると同時に、解釈していくと分かるストーリー性があります。

まず曲の入りである季節は「春」です。

たまには休んでどっか行きたい

という歌詞は春の忙しい日々を表しているように思います。

また、春は五月病という言葉もあるようにブルーな気分になりやすい季節です。

歌詞の「くしゃみの後」というような「ふとした瞬間」に思い浮かぶあの顔というのは、おそらく昔付き合っていた恋人の顔のことではないかと考えられます。

そう考えると

少しエロい春の思い出

というのは昔の恋人と過ごした日々のことであり、甘酸っぱさやほろ苦さの混ざった思い出のことではないかと思います。

春を終えると「夏」が訪れます。

「この季節に無性に聴きたくなるバンド」は、フェスやお祭りなどといった夏に合うさわやかなバンドではないのが分かります。

ゴリゴリのヘビメタかもしれませんし、パワーの溢れるロックバンドかもしれません。

それでも聴きたくなるバンドというのは昔の恋人との思い入れのあるバンドなのでしょう。

そのような思い出深いバンドの曲だからこそ、忘れていたはずの2人の思い出も思い出せる…

ということではないでしょうか。

曲調がポップになり、季節は「秋」へと変わります。

目まぐるしい季節の移り変わりに疲れた時、身体が追いつかなくなったりしませんか?

そういう時ほど失敗することが積み重なったり、ちょっとしたミスが目立ったりしてモヤモヤしますよね。

おそらく歌詞の意味としては、とりあえずでも謝っておくことで、立ち回りが上手くなったり事なきを得ることも多いということを表しているのではないでしょうか。

ムカつく上司や、不条理な出来事が起こった時だろうと正面から立ち向かった所で敵わないことってあります。

謝ることで現状から逃げるというのは「ダサい行動」だと考えられることもありますが、社会で生きていくにはかえってそれが正解の場合もありますよね。

この歌詞ではそんな「ある意味では大人としての正解」という考え方を見つけたクリープハイプから、私たちへ向けたアドバイスなのではないでしょうか?

また、

熱くなって蹴っ飛ばした

という歌詞が恋人同士のアツアツな関係に嫌気がさして突き放したことを指しているとするなら、

寒くなってまた抱きしめたりして

という歌詞は1人になって寂しくなった時によりを戻す…

という風にも捉えることが出来ますね。

そんなくっついたり離れたりする関係性を布団と表現するクリープハイプの歌詞はやはり独特かつ面白いですよね。

いよいよ四季の最後である「冬」がやって来ました。

一気にテンポも速くなり、師走とも呼べる冬の疾走感が感じることができるメロディですね。

息が見えるくらいに寒くて暗い帰り道

という歌詞はそのままの意味でも捉えることが出来ますが、本来とは少し異なる解釈も出来るのではないかと思います。

たとえば歌詞の帰り道が、人生に悩み迷いながら歩く自分の様子を表しているとすればどうでしょう。

厳しい寒さは辛い現状のことであり、自分の息しか見えないほど暗い道に不安になりながらでも、ただ進むしかない辛い状況を表しているように考えられますね。

そんな中、「どうでもいい時に降る雪」というのは突然自分の前に現れた「救いの光」なのではないでしょうか。

辛く苦しかった日々でも、ちゃんと生きてこれて良かったと安心できたからこそ無意識に涙がこぼれたのです。

街の光揺れる目の中

というのは、涙で潤んだ目のせいで視界がぼやけて見えたことを指しているのでしょう。

風邪だと言って恥ずかしさを誤魔化すという描写には繊細な心情が現れていて、さすがクリープハイプですね。

この曲の面白い部分は、締めの季節は「春」ということです。

季節が巡っても、やはりくしゃみをした後に思い浮かぶ顔はあの顔のようです。

思い入れのある春の思い出だからこそ、いつまでも忘れられずに心に残っているのでしょう。

今回はクリープハイプの曲である「四季」の意味について考察しました。
色んな視点から考えることで意味が変化するこの曲は、四季の移り変わりに似ているような気がします。

色んな解釈をしながら曲を聴いてみると、新たな発見が見つかって面白いかもしれませんね。