【ミックスナッツ/Official髭男dism】歌詞の意味を考察、解釈する。

テレビアニメ「SPY×FAMILY」のオープニングテーマ

今やJ-POP界での確固たる地位を得たといえるピアノPOPバンド、Official髭男dism(オフィシャルヒゲダンディズム)がテレビアニメ「SPY×FAMILY」用に書き下ろしたこの曲は、元々原作漫画のファンだったメンバーの立候補がきっかけでタイアップに至ったという経緯もあり、原作の世界観をそのままに、内容の濃い一曲として仕上がっている。

今回はそんな名曲「ミックスナッツ」の歌詞の意味を考察していく。

「袋詰めのナッツ」とスパイである主人公

袋に詰められたナッツのような世間では

誰もがそれぞれ出会った誰かと寄り添い合ってる

そこに紛れ込んだ僕らはピーナッツみたいに

木の実のフリしながら 微笑み浮かべる

原作の主人公「ロイド・フォージャー」が互いに素性を隠したままの家族とともに真の家族のように困難に立ち向かっていく、という下地を投影し、ナッツとは人間の事を意味し、「袋=我々が生きる社会」を表現している。
人々はお互いに肩を寄せ合い、寄り添いあっているのだが、そんな社会の中に入り込んでいる主人公はピーナッツのようだと歌われている。
木の実のフリをしながら、という表現は、ピーナッツが正式な分類上では「ナッツ」に入らないことから「はみ出し者」の意味で用いられていることがわかる。

幸せのテンプレートの上

文字通り絵に描いたうわべの裏

テーブルを囲み手を合わすその時さえ

ありのままでは居られないまま

原作において偽物の家族を演じながら様々な任務に挑むスパイという設定の主人公。
「幸せのテンプレート」とは偽りの作りこまれた幸せであること。
スパイである以上、本当の目的はその「うわべの裏」、しかし、「ありのままでは居られないまま」というフレーズはどこか葛藤を抱えている主人公の気持ちが滲み出ている歌詞と言えるのではないだろうか。

本当の価値や幸せとは?

隠し事だらけ 継ぎ接ぎだらけの Home, you know?

噛み砕いても無くならない 本音が歯に挟まったまま

不安だらけ 成り行き任せの Life, and I know

仮初めまみれの日常だけど

ここに僕が居て あなたが居る

この真実だけでもう

胃がもたれてゆく

隠し事だらけで継ぎ接ぎだらけであるとは、血のつながりがない人が集まった偽りの家族のことを指し、「Home, you know?」は「ここは自分たちの家(家庭)だよね?」という和訳が適当であろう。
疑問形になっているということは、その言葉の裏に言い知れぬ不安感が表現されていると見て取れる。

最後の一節の「胃がもたれていく」という表現は、一般的にはネガティブイメージがもたれやすいが、前節とのつながりや「ここに僕がいて あなたがいる」のフレーズから、満腹気味であるという、幸せであるという逆の意味を持たせた歌詞であることが考察できる。

化けの皮剥がれた一粒のピーナッツみたいに

世間から一瞬で弾かれてしまう そんな時こそ

曲がりなりで良かったらそばに居させて

共に煎られ 揺られ 踏まれても

割れない殻みたいになるから

スパイである主人公。
その正体がばれてしまったら?
世間から追い出され、居場所を奪われてしまう。
「そんな時こそ」そばに居させてほしい。
世間が敵に回っても、仲間でいるから、家族でいるからというメッセージをストレートに表現している。

曲全体で表現されるテーマ

生まれた場所が木の上か地面の中か それだけの違い

許されないほどにドライなこの世界を

等しく雨が湿らせますように

「ナッツ=木の上から生まれる」に対し、「ピーナッツ=地面の中から生まれる」という表現で、生まれる場所が違うだけで差別分類されてしまう、という人間界を「ドライな世界」と例えている。

そこに等しく雨(希望)を与えたいというのが作曲者の真意であろう。

時に冷たくて 騒がしい窓の向こうyou know?

星の一つも見つからない 雷に満ちた日があっても良い

ミスだらけ アドリブ任せのShow, but I know

所詮ひとかけの日常だから

腹の中にでも 流して寝よう

ここでまた原作由来のキーワードが登場する。
原作内で「星=勲章」「雷=罰則」というルールが存在することを引き合いに出し、罰則(ミス)にまみれた日があったって良い、所詮、一時の日常なのだから、という救いを与える歌詞の意味になっている。

隠し事だらけ 継ぎ接ぎだらけのHome, you know?

とっておきも出来合いも 残さずに全部食らいながら

普通などない 正解などないLife, and I know

仮初めまみれの日常だけど

ここに僕が居て あなたが居る

この真実だけでもう

胃がもたれてゆくWoah

この一掴みの奇跡を

噛み締めてゆく

全ての出来事を全部食らいながら、つまり「受け止めながら」、普通や正解という概念自体がそもそも存在しないのだ、と説いている。
何が普通なのか、本当とは一体何なのか。
価値の基準は様々であり、偽物にも価値がある。
それを判断するのは自分自身。
そういった曲全体のテーマがここでも強く語られている。

本物であるかどうかは関係ない

本物なのか偽物なのか、正しいか正しくないか、価値があるのかないのか。
重要なのはそんなことではなく、自分自身が幸福感を感じられるかどうかである。
喜びがあればそれでいいのではないか、というメッセージがこの曲には込められている。

アニメタイアップという理由だけで聴くことを避けている方がいるのであれば、是非一度聴くことを強くお勧めしたい。

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