2023年1月11日にリリースされたOfficial髭男dismの楽曲『ホワイトノイズ』は、人気アニメ『東京リベンジャーズ 聖夜決戦編』のオープニングテーマとして採用されました。
この記事では、原作のストーリーを考慮しつつ、『ホワイトノイズ』の歌詞が持つ意味について深掘りしていきます。
「ホワイトノイズ」を深掘り：Official髭男dismと『東京リベンジャーズ』のメロディックコラボレーション
Official髭男dismは、ドラマ『silent』の主題歌『Subtitle』、アニメ『SPY×FAMILY』のオープニングテーマ『ミックスナッツ』など、多くのメディア作品のテーマソングを手掛けてきたことで知られています。
このバンドは、「ヒゲダン」という愛称で広く親しまれており、その人気は言葉にするまでもありません。
彼らは2023年1月11日に、『ホワイトノイズ』を配信でリリースしました。
この楽曲は、テレビアニメ『東京リベンジャーズ 聖夜決戦編』のオープニングテーマに選ばれました。
『東京リベンジャーズ』とのコラボレーションは、初期のオープニング曲『Cry Baby』に次いで今回が2回目となります。
再び組まれたこのタッグによる『ホワイトノイズ』では、どのような深いメッセージが込められているのか注目されました。
この記事では、原作のプロットを基に、楽曲の歌詞が伝える意味合いについて探っていきます。
不屈の精神と時を超える決意：タケミチの挑戦
それでは、最初の節の歌詞に注目してみましょう。
街を切り裂くような排気音が
足元で唸っている 猛スピードで進む
消えたテールランプの在り処 探して真っ直ぐに闇をスクラップにする強さで
ひた走る道路にはもう 街灯さえないけれど
きっとヘッドライトひとつあれば 何も要らないな
冒頭の歌詞を通して、バイクの爆音と共に疾走する光景が描かれていることが感じられます。
探し求める「消え去ったテールランプ」は、恐らくタケミチがいつも追いかけている仲間たち、例えばドラケンやマイキーの象徴かもしれません。
それとも、過去を変える度に運命に翻弄されるヒロイン・ヒナを指しているのかもしれません。
どちらにしても、目標を見失いつつも、主人公は止まることなく前に進むしかない状態が伝わってきます。
次に出てくる「闇をスクラップに変える強さ」という表現は、自己の不安や弱点を乗り越える強靭な心意気を意味していると捉えられます。
街灯一つない不確かな道を進む中で、前だけがヘッドライトに照らされる限り、「何も必要ない」との心境が歌われています。
そして、幾度の時間旅行を経ても望む結末を迎えられないタケミチの姿が、この歌詞に反映されています。
未来にどんな影響を及ぼすか見当がつかない中、彼はただ直面する課題に立ち向かっていく生きざまがこの歌詞から読み取れます。
瓦礫の下に埋もれた弱虫の声は
いくら耳すましても聞こえやしないさ
追いかけてくる後悔が視界を塞ぐ前に
追いついた未来の端っこで何度も あなたを救い出すよ
重要な瞬間にタケミチが見せる不屈の精神は、内心の葛藤が彼に届かないようです。
それは彼が「ヒナを救う」という決意を胸に秘めているからに他なりません。
「後を追う後悔」とは、時間が流れるにつれて手が届かなくなる過去の出来事を指します。
一方で、「手に入れた未来の果て」とは、過去を変えて帰ってきた現在の状況を示唆していると考えられます。
過去と現在を改変しようとする主人公タケミチの懸命な努力と前進の様子が伺えます。
弱音を超える勇気：タケミチの「ホワイトノイズ」を通じた成長物語
次に、2番目以降の歌詞の解析を進めていきましょう。
不意に記憶がブレーキをかけた
舌打ちの矛先は 覗き込むミラーの向こう
自分の意気地無さに気づいている 時間などないのに
何かの思い出が主人公の急速な進行を突然停止させたようです。
初期のオープニングテーマ『Cry Baby』には、「濡れた衣服に舌打ちする」というフレーズが含まれています。
もし「ミラーの向こう」を「後ろ＝過去」と解釈すれば、この場面での「舌打ちの対象」が『Cry Baby』の「濡れた衣服」を指している可能性が高いです。
過去に受けた暴行や、涙、汗、血にまみれた自分自身が、主人公にとって「気力のなさ」を表しているかもしれません。
限られた時間の中でいくら変わろうともがいても、急に自分の臆病な面が思い浮かぶかもしれません。
それにもかかわらず、現在の主人公はもう単なる弱虫ではないのです。
瓦礫の下から漏れた弱虫の声は
いくら耳塞いでも痛いほど響いてた
あの日誓ったリベンジを忘れてたまるかと
震えた心が今もうるさいほど その名前を叫んでる
急停止した瞬間に「臆病な自分の声」に気付いたものの、主人公は再び力を得て立ち上がっています。
その推進力は「かつて誓った復讐」にあります。
「これは自分の人生の復讐だ」と、強敵に挑むタケミチの勇敢な姿が思い浮かびます。
大切な人を守るために、復讐の火に身を投じる主人公。
エネルギーが高まる中で、ついに最終の歌詞へと進みます。
ヒーローぶって笑っていた あなたの両頬を 拭うまで止まらない
ああそうさ あの夜から あなたを迎えに来たんだ 何度しくじろうともヒーローぶって笑っていた あなたの絶望を 抱き締めるまで負けない
運命に殴られても 痛くも痒くもないと 道路を駆け抜けてく
瓦礫の下に埋もれた声を掻き消しながら
たとえどれだけ打ちのめされても、主人公は愛する人々を護るために、余裕をもって微笑むことができます。
「ヒーローのふりをして笑う」というフレーズは、突然、そのような自己姿を発見したかのような表現です。
見通しの立たない窮地の中で、ヒナを救うために全力を尽くすタケミチの姿が描かれています。
大切な人を安堵させ、あらゆる絶望をも受け止めて支えるまで、「ヒーローのふりをして」勇ましく振る舞う決意が感じられます。
どんなに厳しい試練に直面しても、一心にその道を走り続ける姿勢。
「瓦礫に覆われた声（臆病な声）」を消し去るのは、その勢いで進むバイクの排気音や風の音である可能性があります。
「ホワイトノイズ」という曲名にもなっている、扇風機の音やテレビの雑音のような一定のノイズは、周りの雑音を消す効果があるとされます。
さらに、リラクゼーション効果があり、聴く人を落ち着かせることさえあるそうです。
果敢に挑戦を続ける主人公にとって、バイクの走行音は周囲の雑音を消し去り、内心の弱音をかき消す「ホワイトノイズ」として機能するかもしれません。
幾度の挫折にも屈せずに成長し続けるタケミチは、もはやただの「Cry Baby（泣き虫）」ではなくなっていることでしょう。
『ホワイトノイズ』深読み：主人公の不屈の心と『東京卍リベンジャーズ』の世界
この度は、Official髭男dismの『ホワイトノイズ』における歌詞の深い意味について掘り下げてみました。
『東京卍リベンジャーズ』の物語と見事に絡み合う、主人公の内なる強さが伝わる内容だったと思います。
アニメの第1期に続く、再度のコラボレーションであることから、『Cry Baby』との繋がりを探求したくなるような楽曲です。
また、「聖夜決戦編」の開始が大きな注目を集めた一方で、2023年には北村匠海を主演に迎えた実写映画の第2弾も公開されました。
『東リベ』の熱狂はまだまだ続きそうです。
この流れを受けて、私達も自分たちの限られた人生を精一杯駆け抜けていくことを願います。
