過去の挫折を「奇跡」に変える:諦めた“もの”が教えてくれる前向きな力
いきものがかりの「ときめき」は、人生における挫折や失敗を否定することなく、それらを受け入れることで、未来への希望を見出す楽曲です。特に印象的なのが、「諦めた“もの”ばかりでも それが明日を呼ぶんだ」「ぜんぶが奇跡だと 笑えるから」というフレーズです。
この一節には、過去の自分を否定するのではなく、挫折すらも人生に必要なピースとして肯定するというメッセージが込められています。多くの人が抱える「過去の選択への後悔」や「できなかったことへの自己否定」に対して、いきものがかりは「それでも前に進める」と力強く語りかけてくれます。
人生において避けて通れない「失敗」を、希望や再生の象徴として歌い上げるこの楽曲は、自己受容の大切さをそっと教えてくれます。
「わたしがそう決めたから」――他者ではなく、自分自身の意思で世界を輝かせる
「世界はいまきらめくよ わたしがそう決めたから」という歌詞は、「外的な評価」ではなく「自分自身の意志」で人生を輝かせるという強いメッセージを伝えています。
これは、「周りにどう見られるか」「他人にどう思われるか」という不安に縛られがちな現代人にとって、非常に解放感のある表現です。世界がきらめいて見えるかどうかは、自分がそう感じるかどうか次第。つまり、自分の主観が現実を形作っていくというメッセージでもあります。
「わたしを踊りつづける」という一節も同様に、「自分の人生を自分のリズムで歩む」ことの大切さを象徴しています。他人の評価軸ではなく、自分の感覚を信じて歩み続けることで、世界は鮮やかに輝いていくのです。
弱さを恐れず“素直でいる”ことの勇気:戦う意味は変わる
「たたかうことの意味は 何度だって変わるの」「素直であること こわがらないで」という歌詞は、変化を受け入れながらも、自分に正直に生きる勇気を与えてくれます。
「たたかう」という言葉には、何かを守る、貫く、乗り越えるといったニュアンスがありますが、それは人生の段階や状況によって変化するものです。このフレーズは、固定された価値観や使命感ではなく、その時々の「自分にとっての意味」を大切にしていいのだという、柔軟な生き方を示唆しています。
また、「素直であること」に対して「こわがらないで」と添えることで、自分の弱さや本音と向き合うことの難しさにも共感を寄せています。無理に強くあろうとせず、飾らずに生きることの価値を優しく後押しする言葉です。
誰かを想うように、自分を愛する:自己肯定のメッセージを読み解く
「誰かを想うように 自分を愛してみたい」というフレーズは、この楽曲の核心とも言える自己肯定のテーマを象徴しています。
他人のことは優しく思いやれるのに、自分に対しては厳しくなってしまう──そんな心の癖に気づかされる歌詞です。この一節は、自分を労わり、自分に優しくすることもまた、人として自然な営みであると気づかせてくれます。
「自己肯定」というと時に堅苦しく響きがちですが、ここでは「誰かを想うように」という柔らかな表現で、自分自身への愛情を描いています。自分を認め、信じることが、やがて他者との関係や人生全体にも好循環をもたらすという、深い洞察が込められています。
プリキュアという舞台から見える“自分らしさ”の肯定:制作背景が語る歌詞の深意
「ときめき」は、アニメ『キボウノチカラ~オトナプリキュア’23~』の主題歌として書き下ろされた楽曲です。プリキュアという作品自体が「自分らしさ」「自立」「多様性」を大切にしてきた背景があることから、この曲にも「自分を信じる力」や「自分で選ぶ人生」が色濃く反映されています。
作詞を手がけた水野良樹氏(いきものがかり)も、インタビューで「大人になっても“自分らしくいる”ことの尊さ」をテーマに掲げたと語っています。つまり、この楽曲は単なる応援ソングではなく、「大人になった今だからこそ、自分の人生を自分で選び直す」というメッセージが込められているのです。
タイアップという枠を超えて、作品と楽曲が相互に補完し合うことで、より深い共感と感動を呼び起こしています。