ちゃんみな『SAD SONG』歌詞の意味を考察|“永遠”を願う切なさとその本質に迫る

ちゃんみなによる「SAD SONG」は、彼女の繊細かつ力強い表現力が存分に発揮されたバラードナンバーです。この曲は、ABEMAのオーディション番組『NO NO GIRL』の主題歌として書き下ろされ、オーディションに挑む女性たちを想いながら制作されたもの。しかし、そのメッセージは恋愛にも人生にも重なるような、普遍的な切なさと美しさを帯びています。

本記事では、ちゃんみなが「SAD SONG」に込めた思い、そして歌詞に現れるストーリーや比喩、感情の機微を丁寧に紐解きながら、その意味を考察していきます。


「SAD SONG」制作背景とちゃんみなが語る意図

「SAD SONG」は、ちゃんみながオーディション参加者に寄り添う形で作られた楽曲であり、彼女自身がインタビューで「これは彼女たちのテーマソングであり、彼女たちの背中を押すような歌にしたかった」と語っています。

また、タイトルの“SAD”という言葉には、単なる悲しさ以上の意味が込められています。「幸せすぎて悲しい」「永遠に続いてほしいから怖い」といった、複雑で曖昧な感情。それは恋愛にも友情にも、夢を追う姿勢にも通じる感覚であり、ちゃんみなはそれを多層的に表現しようとしています。

この背景を踏まえることで、リスナーは単なるラブソングとは違った深みを持って楽曲に向き合えるでしょう。


歌詞のストーリーと主題:別れ・永遠・現在をめぐる葛藤

歌詞全体を通して感じられるのは、「今が幸せであるがゆえに、その終わりを恐れてしまう」感情の揺れです。

冒頭の「ねえ、もう泣かないでいいよ」から始まる語りかけは、誰かを慰めると同時に、自分自身への言葉のようにも感じられます。その後に続く「この愛だけは死んでも きっと残るから」は、永遠を信じたいという祈りにも似た言葉。

しかし同時に、「SAD SONG」「LOVE SONG」と繰り返すフレーズからは、愛が続いていくことで悲しみが訪れるという矛盾も描かれています。これは、人間が誰かを深く愛するほどに、「失うこと」への恐怖もまた深くなることを象徴しています。

つまり、「SAD SONG」は現在の幸せを抱きしめながらも、終わりを意識せずにはいられない人間の心を描いた楽曲だと言えるのです。


「sad song」と「love song」が交錯する表現技法

曲中で何度も登場する「SAD SONG」「LOVE SONG」という言葉は、単なる繰り返しではなく、感情の流れを象徴するキーワードとなっています。

前半では「これ以上は求めない」など、諦めや不安が目立つ語調で「SAD SONG」が登場し、後半にかけては「歌にしよう」「消えないようにしよう」という能動的な決意に変わっていきます。

この構造は、ちゃんみなが感情を受け止め、それを音楽という形で昇華させようとしている過程そのもの。つまり「悲しみを歌にすることで、誰かの愛に変えていく」プロセスが、歌詞全体の流れに表現されているのです。


印象的なフレーズを深読み: “死んでもこの愛だけは”“言えない言葉” など

「死んでもこの愛だけは残るから」という一節は、人生の有限性と感情の永続性を対比させた非常に印象的な表現です。これは恋人との関係だけではなく、「夢」や「友情」、「家族愛」にも通じる言葉です。

また、「言えない言葉にしてくれた」や「何回歌っても涙が出る」は、音にならない感情を、音楽という手段でようやく表現できたという喜びと切なさが詰まっています。

こうした詩的なフレーズの中に、ちゃんみなの真骨頂とも言える“美しくて痛い表現”が凝縮されています。


この曲がリスナーに響く理由:共感・切なさ・祈りとしての歌

「SAD SONG」が多くの人の心を打つ理由は、「誰にでも当てはまる感情」が歌詞に込められているからです。

恋愛に限らず、夢を追う過程や大切な人との関係の中で、人は常に“終わり”を意識しながら“今”を生きています。そしてその“今”が幸せであればあるほど、「これが終わってしまったらどうしよう」と不安になる。

ちゃんみなはこの“人間らしい不安”を否定せず、肯定するかのように歌っています。そのことが、聴く人に安心感や涙、そして前を向く力を与えてくれるのです。

「悲しいけど、幸せだった」「終わるかもしれないけど、続いてほしい」という気持ちを抱くすべての人にとって、「SAD SONG」は祈りのような一曲なのです。


締めの一言

ちゃんみなの「SAD SONG」は、その美しい旋律とともに、心の奥に潜む“終わりへの恐れ”と“今を生きる喜び”の狭間を優しく描き出した楽曲です。この楽曲に触れたとき、多くの人が涙を流すのは、彼女の音楽が“自分の気持ち”を代弁してくれていると感じるからでしょう。

ぜひ、あなた自身の物語と照らし合わせながら、もう一度この「SAD SONG」を聴いてみてください。