「愛の花」という曲は、2023年4月に放送が始まったNHKの連続テレビ小説『らんまん』の主題歌として使用されています。
『愛の花』の歌詞には、何か特別な意味やメッセージが込められているようです。
歌詞の中で描かれている主人公についても、詳しく考察してみましょう。
「らんまん」とのリンク
NHKの連続テレビ小説『らんまん』は、2023年4月に放送がスタートしました。
物語は、高知出身の植物学者である牧野富太郎の生涯を基にしており、主人公の槙野万太郎(演:神木隆之介)と彼の妻である寿恵子(演:浜辺美波)の人生が描かれます。
槙野万太郎は愛する植物のために一途に人生を歩んでいきます。
そして、このドラマ『らんまん』の主題歌として、あいみょんの『愛の花』が2023年4月5日に先行配信されました。
あいみょんは、2022年3月にNHKの「18祭」で楽曲『双葉』を披露し、18歳の世代の人々の人生に彩りを与えました。
彼女は『愛の花』の作詞作曲について、「ただひたすらに愛する力を持つ主人公や主人公の奥さんと向き合いながら制作した」と述べています。
『愛の花』の歌詞には「愛する力」が綴られており、その中にはどのような思いが込められているのでしょうか。
愛する人に夢を託す
今回の考察では、あいみょんの『愛の花』の歌詞について、特定の状況を想定してみました。
その状況は「亡くなった妻が空から夫(や子ども)を見守っている」というものです。
連続テレビ小説『らんまん』の今後の展開はまだ明確ではありませんが、物語のモデルとなった牧野博士の妻である壽衛子(すえこ)夫人は、博士が66歳の時に亡くなったと伝えられています。
この事実を考慮しながら、ここでは壽衛子夫人の視点をイメージしながら『愛の花』の歌詞を解釈してみたいと思います。
まずは1番の歌詞を見てみましょう。
言葉足らずの愛を
愛を貴方へ
私は決して今を
今を憎んではいない
「愛」という概念は簡単に説明できるものではありません。
この歌の冒頭では、「言葉足らずの愛」を残された家族に届けたいという思いが垣間見えます。
その後の歌詞では、「私は決して今を 憎んではいない」と歌われています。
「愛」という言葉の説明が難しいですが、この瞬間に憎しみがないということは、愛が存在していることを示唆しているかもしれません。
亡くなった妻が穏やかな気持ちで夫や子どもたちを見守っているように感じられます。
次の歌詞を見てみましょう。
歪んだ雲が空を
空を濁して
私の夢は全て
全て置いてきたの命ある日々
静かに誰かを
愛した日々
「歪んだ雲」という表現は、天国の妻と残された夫を隔てる雨雲を指していると考えられます。
その雲に遮られている間は、妻は地上の生活を見ることができず、夫との日々の思い出に浸ることしかできないかもしれません。
壽衛子夫人は、苦しい生活の中でも夫が研究に集中できるように献身的に支えていたと伝えられています。
また、彼女は「牧野植物園」という植物標本館の設立を夢見ていたと言われています(実際に牧野植物園は後に開園されました)。
「私の夢は全て 全て置いてきたの」というフレーズは、立派な植物園を作るという夢を夫に託したことを意味しているのかもしれません。
残された側の視点
では、次に2番の歌詞を見ていきましょう。
恋に焦がれた人は
人は 天の上
いつかあの場所で強く
強く手を結び抱いて
この一節では、最愛の人の温もりを切望しているような描写があります。
「天の上」にいる「恋に焦がれた人」という表現から、この視点は残された夫(牧野博士)のものであると解釈できます。
「また妻に会い、その手に触れたい」という願いは、「あの場所」と呼ばれる場所で実現されることを望んでいるようです。
この「あの場所」は、出会った場所や思い出の土地、遠い故郷など、さまざまな想像が広がるかもしれません。
夫は恋焦がれた相手を静かに思いながら、歌詞は続いていきます。
緑ゆれてる
貴方の声が聴こえた気がする
「緑ゆれてる」という表現は、草木が風にそよいでいる様子をイメージしているのかもしれません。
牧野博士は、妻が亡くなった後も真摯に植物と向き合っている姿が浮かんできます。
「貴方の声が聴こえた気がする」という一節からは、天国の妻と同じように、彼自身も心からパートナーを愛し続けていることが爽やかに伝わってきますね。
少しの葛藤と、ずっと見守っていくという決意
木漏れ日と笑う
大切な人を
失う未来なんてこないで?
夫は妻を失い、子どもたちは母を失った。
そんな彼らには、これ以上つらい別れを経験させたくないという主人公の願いが込められているのかもしれません。
歌詞の語尾に「?」があることから、その願いと同時に先立った現状の寂しさが心に押し寄せ、葛藤を抱えている様子が感じられます。
幸せに生き続けてほしいという思いと、早く彼らがそばにいてほしいという寂しさが入り混じっているようです。
この切ない心情の中で、歌詞は続いていきます。
空が晴れずとも
愛を胸に祈るわ
貴方に刺さる雨が
風になり
夢を呼び
光になるまで
雲が時に互いの世界を分けてしまうことがあっても、「愛を胸に祈るわ」という一節があります。
この歌詞は、残された家族の幸福を心から願っていることを表しています。
離れていても、家族は心で結ばれているのでしょう。
また、「貴方に刺さる雨」という表現は、夢を邪魔しようとする困難や障壁を指していると考えられます。
しかし、「雨」は「風になり 夢を呼び 光になる」という風に変わり、逆境を乗り越えて夢を実現し、未来の誰かの道しるべとなることを意味しているのかもしれません。
最愛の人をずっと応援し、愛し続ける強い思いが感じられますね。
家族の笑顔が「愛の花」
最後に、終盤の歌詞を探ってみましょう。
最後のメロディーでは、最初のメロディーと2番のメロディーが繰り返されます。
まずは最初のメロディーを見てみましょう。
空が晴れたら
愛を 愛を伝えて
涙は明日の為
新しい花の種
天国にいる妻の視点から見ると、「愛を伝える」という行為は、まるで「太陽の光を空から送り届ける」かのようなイメージを抱かせます。
このフレーズは、心温まる感情と優しさを感じさせますね。
さらに、後半では「涙」という表現が特に印象的です。
涙が「明日のため」であり、「新しい花の種」であると解釈できるとすれば、どんな悲しみや苦しみも成長の糧となることを意味しているのかもしれません。
雨が植物の成長を助けるように、「涙」も人々を成長させるのかもしれません。
空が晴れたら
逢いに 逢いに来て欲しい
涙は枯れないわ
明日へと繋がる輪
亡くなった方の純粋な心情が伝わってきますね。
彼らが、思い出した時に空を見上げることで会いたいと願っているようなニュアンスです。
その後の歌詞では、「涙は枯れないわ」と表現されています。
このフレーズは、「涙は枯れることなく、たくさん泣いて成長してほしい」という思いが込められているのかもしれません。
最後に登場する「明日へと繋がる輪」は、どんなに涙を流しても人生は続いていくという真理を表しているかもしれません。
壽衛子夫人は、天高くから家族を見守っています。
彼女の穏やかさや優しさが心に染み入り、最後の歌詞が綴られます。
言葉足らずの愛を
愛の花を貴方へ
これまでの考察を総合すると、「愛」とは「植物をやさしく包む陽光」のようなイメージかもしれません。
定義しにくい「愛」と「愛の花」を、ここで贈ります。
花が咲くことは、人が笑うことにつながるのです。
その観点から考えると、「愛の花」とは、陽光に包まれた花のような、幸せいっぱいの笑顔を意味するかもしれません。
「木漏れ日」と笑う博士を、遠くから見守る壽衛子夫人。
彼女が何よりも望んでいるのは、残された家族の笑顔です。
それこそが、彼女が咲かせたい真の「愛の花」なのかもしれませんね。
ドラマの今後の展開にも期待
今回は、あいみょんの「愛の花」の歌詞の意味を考察しました。
各言葉は温かさを感じさせるものでしたが、じっくりと考えると興味深い発見がありましたね。
冒頭で触れた「愛する力」が、心地よく伝わってくる曲だったのではないでしょうか。
今回は壽衛子夫人の視点を中心に考察を進めましたが、この歌詞にはまだまだ他の可能性が眠っているようです。
『らんまん』のストーリーの展開によっても、解釈の余地は広がっていくでしょう。
ドラマの進行を注視しながら、これからも「愛の花」のイメージをゆっくりと育んでいきたいと思います。
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