「エール(YELL)」は、卒業シーズンになると必ずどこかで耳にする、いきものがかりの代表曲のひとつです。
2009年に発表されて以来、合唱曲として、そしてJ-POPバラードとして、多くの世代に歌い継がれてきました。
この記事では、「エール いきものがかり 歌詞 意味」というキーワードで検索してきた方に向けて、
- 曲が生まれた背景
- 歌詞に込められたテーマ
- 1フレーズごとの心情解釈
- 卒業ソングとして愛される理由
などを、歌詞をなぞりながらじっくり考察していきます。
- 「エール(YELL)」はいきものがかりの代表的卒業ソング【曲の概要とタイアップ】
- 「エール」の歌詞が伝えるテーマは?別れを恐れない前向きなメッセージ
- 1番Aメロ歌詞の意味:「わたしは今どこに在るの」と自分の居場所を探す主人公
- Bメロ〜サビ歌詞の意味:「サヨナラは悲しい言葉じゃない」に込められた本当のエール
- 2番以降の歌詞の意味:旅立つ人と見送る人、それぞれの視点から読む「エール」
- タイトル「YELL/エール」の意味とは?英語の“YELL”と日本語「エール」のニュアンスの違い
- なぜ「エール(YELL)」はいまも学校で歌われ続けるのか【卒業ソングとして愛される理由】
- 自分へのエールとして「いきものがかり/エール」を聴きたくなるシチュエーション例
- おわりに:あなたの「エール」はどんな思い出と結びついている?
「エール(YELL)」はいきものがかりの代表的卒業ソング【曲の概要とタイアップ】
「YELL(エール)」は、いきものがかりの15枚目のシングル「YELL/じょいふる」に収録された楽曲で、2009年9月23日にリリースされました。
この曲の大きな特徴は、
- NHK「みんなのうた」2009年8〜9月放送曲
- 第76回NHK全国学校音楽コンクール・中学校の部の課題曲
という“合唱曲”としてのルーツを持っていることです。
作詞・作曲はいきものがかりのリーダー・水野良樹、編曲は松任谷正隆。
まさに“王道J-POP × 合唱”が出会った一曲であり、
- 中学生の等身大の不安や希望
- 旅立つ人と見送る人、双方の視点
- 「サヨナラ」を前向きに捉え直すメッセージ
が丁寧に描かれています。
その結果、「エール(YELL)」は今や“卒業ソングの定番”として、学校の合唱や卒業式で繰り返し歌われる存在になりました。
「エール」の歌詞が伝えるテーマは?別れを恐れない前向きなメッセージ
「エール」が描いているのは、単なる“別れの悲しみ”だけではありません。
歌詞の中心にあるのは、
- 今いる場所から旅立っていくときの不安
- それでも一歩踏み出していく勇気
- 離れてもつながり続ける絆への信頼
といった、成長の痛みを含んだ“前向きな別れ”です。
象徴的なのが、サビで歌われる
「サヨナラは悲しい言葉じゃない」
というフレーズ。
一般的に“さよなら”は「別れ=悲しいもの」というイメージがありますが、この曲ではそれをあえて否定し、
- 悲しみだけじゃなく、「新しいスタートの合図」でもある
- 出会えたこと、共に過ごした時間があるからこその「サヨナラ」
として捉え直しています。
つまり、「エール」は
“別れを乗り越えて、それぞれの夢へ進むことを肯定する歌”。
聴いていると泣きたくなるのに、どこか背中を押されるような不思議な感覚は、まさにこのテーマ設定から生まれていると言えます。
1番Aメロ歌詞の意味:「わたしは今どこに在るの」と自分の居場所を探す主人公
1番のAメロは、非常に内省的な問いかけから始まります。
歌詞に登場する
「わたしは今どこに在るの」
というフレーズは、
「自分はいったい何者で、どこを目指しているのか」
という思春期特有の揺らぎを、そのまま言葉にしたような一節です。
続く描写では、踏みしめてきた足跡を見つめ返したり、秋めく窓辺で夢を描こうとしたりと、
- 過去の自分を振り返る
- 未来をなんとなく思い描く
- でも、現在地がよくわからない
という、まさに“中学生〜高校生の心のモヤモヤ”が描かれます。
ここで重要なのは、主人公がすでに**「夢を持っている人」ではない**ということ。
何か大きな目標に一直線…というより、
- 何を目指せばいいのかも定まっていない
- ただ、時間だけが流れていく
- 気づけば季節も変わっている
そんな“あいまいな不安”が歌われているのです。
この「居場所がわからない」という感覚は、多くの人が経験するもの。
だからこそ、聴く側も「これ、昔の自分だ…」と自然に感情移入してしまいます。
Bメロ〜サビ歌詞の意味:「サヨナラは悲しい言葉じゃない」に込められた本当のエール
Aメロで描かれた“迷い”に続いて、Bメロ〜サビでは視点が少しだけ外側へ広がっていきます。
Bメロでは、
- 「翼はあるのに飛べずにいる」
- 「ひとりになるのがこわい」
といったニュアンスの言葉が並び、
主人公が「変わりたい」と思いつつも、一歩を踏み出せないもどかしさが描かれます。
ここで大事なのは、“翼”という言葉。
- 本当は飛び立つ力(可能性)は持っている
- でも、まだそれを信じきれない
- 仲間と一緒にいる“ぬくもり”に甘えたい気持ちもある
という二面性を象徴する比喩になっています。
そしてサビで、あのフレーズが登場します。
「サヨナラは悲しい言葉じゃない
それぞれの夢へと続くエール」
ここでようやく、曲のタイトルでもある“エール”の意味が明確になります。
- 離れること=終わり ではなく、お互いが自分の夢に向かって進むためのはじまり
- 「サヨナラ」という瞬間は、お互いにエールを送り合うための儀式
と捉え直しているのです。
だからこのサビは、
聴くたびに涙が出るのに、同時に背中を押されるという、
矛盾するようでいてとても人間らしい感情を呼び起こします。
2番以降の歌詞の意味:旅立つ人と見送る人、それぞれの視点から読む「エール」
2番以降の歌詞では、
「旅立つ側」と「見送る側」、その両方の気持ちが浮かび上がるような言葉が増えていきます。
- 新しい世界へ飛び立とうとする人
- その背中を見送りながら、自分の胸にも静かに“決意”を抱く人
「どちらか片方」の物語ではなく、2つの視点が重なり合う構造になっているのが、この曲の面白いところです。
たとえば、
- 「同じ空を見上げている」ようなイメージ
- 違う場所にいても、心のどこかはつながっている感覚
といったフレーズからは、
距離が離れても、共有してきた時間や価値観はそう簡単には消えない、というメッセージが感じられます。
また、2番では**「これから出会う未来の自分」**にもさりげなく言及しており、
- 今の自分に不安を抱えながらも
- 未来の自分が少しだけ誇れるような選択をしたい
という、前向きな“決意”がにじんでいます。
このあたりは、
- 卒業してそれぞれ違う進路に進む友人同士
- 上京して地元を離れる人
- 就職で別の場所に行く先輩を見送る後輩
など、さまざまな状況に重ねて解釈できる部分です。
聴く人によって「自分がどの立場にいるのか」が変わるぶん、
何度聴いても違う物語に見えてくるのも、「エール」の魅力と言えるでしょう。
タイトル「YELL/エール」の意味とは?英語の“YELL”と日本語「エール」のニュアンスの違い
タイトルは英語で「YELL」、カタカナで「エール」と表記されますが、
ここにはちょっとした言葉遊びとニュアンスの違いがあります。
- 英語の “yell” … 本来は「叫ぶ」「大声で呼ぶ」という意味
- 日本語の「エール」 … 「応援」「励ましの言葉」を指す外来語
つまり、このタイトルには
「声を張り上げて、あなたを全力で応援したい」
という、言葉にならない感情の大きさが込められていると考えられます。
歌詞の中でも、“静かにささやく励まし”というよりは、
- 胸の内で何度も呟く
- 叫びたいけど、ぐっとこらえて飲み込む
- その代わり「サヨナラ」という言葉に想いを込める
というような、熱い感情と控えめな優しさの間を揺れ動く姿が描かれています。
“YELL”と“エール”の両方をタイトルに掲げることで、
- 表には出さないけれど、実は激しい想い
- それを丁寧な言葉とメロディに乗せて伝える
という、いきものがかりらしいバランスが表現されていると言えるでしょう。
なぜ「エール(YELL)」はいまも学校で歌われ続けるのか【卒業ソングとして愛される理由】
2009年にNコン(NHK全国学校音楽コンクール)中学校の部課題曲として生まれた「エール」は、その後も合唱曲として広く歌われ続けています。
今でも学校で歌われる理由として、主に次の3点が挙げられます。
① “中学生の目線”で書かれているリアルさ
水野良樹は、自身の中学生時代の体験をもとにこの曲を書き下ろしたと言われています。
そのため、歌詞には
- 「夢を語れ」と言われてもピンとこない
- でも、このままではいけない気がしている
- 友だちといる時間だけが、自分の居場所に感じられる
といった、“大人には説明しづらい感情”が丁寧に落とし込まれています。
このリアルさが、当時の中高生はもちろん、
大人になってから聴き直したときにも、強いノスタルジーを呼び起こすのです。
② メロディが“合唱”にも“J-POP”にもフィットする
壮大なメロディラインとドラマティックな展開は、合唱アレンジとの相性が抜群。
- パートごとのハーモニーの重なりで、サビの高揚感が際立つ
- 声量だけでなく「言葉の表情」を大切に歌える
といった点が、合唱曲としての魅力になっています。
一方で、いきものがかりのオリジナルバージョンは、J-POPバラードとしても完成度が高く、
- カラオケで一人で歌っても
- 卒業式で全員で歌っても
どちらも成立する“懐の深さ”があります。
③ 「大人になってから刺さる歌」でもある
学生時代に「エール」を歌った経験のある人が、大人になってから再びこの曲に触れると、
「あの頃は意味がわからなかった歌詞が、今になってようやくわかる」
という体験をすることが少なくありません。
- 仕事の異動や転職
- 結婚や引っ越し
- 大切な人との別れ
大人になっても“サヨナラ”の場面は何度も訪れます。
そのたびに「エール」のフレーズがよみがえり、
人生の節目ごとに何度でも聴き返される歌として根付いているのです。
自分へのエールとして「いきものがかり/エール」を聴きたくなるシチュエーション例
最後に、「エール」を“自分へのエール”として聴きたくなるシチュエーションを、いくつか挙げてみます。
・卒業式や送別会の前夜に
- クラスメイトや先輩・後輩の顔を思い浮かべながら
- 「サヨナラ」をどう受け止めればいいのか迷っているとき
「悲しいだけじゃないサヨナラ」を教えてくれる一曲として、心を整える助けになってくれます。
・新しい環境に飛び込む前の不安な朝に
- 入学・転校・転職・引っ越しなど、新しい一歩を踏み出す日
- 「ちゃんとやっていけるかな」と不安でいっぱいのとき
Aメロの迷いと、サビの力強いメッセージのコントラストが、自分の背中を押してくれるでしょう。
・地元を離れて暮らす夜に、ふと寂しくなったとき
- 実家や地元の友だちを急に思い出したとき
- 離れてしまった人たちとの距離を感じてしまったとき
「同じ空の下でつながっている」というイメージをくれるこの曲は、
“見えない絆”をもう一度信じさせてくれる歌でもあります。
・大切な誰かの旅立ちを、笑顔で送り出したいとき
- 推しの卒業発表
- 仲の良い同僚の退職
- 家族の独立
「止めたいけど、応援したい」
そんな矛盾した気持ちを抱えたときこそ、「エール」はぴったりです。
おわりに:あなたの「エール」はどんな思い出と結びついている?
「エール いきものがかり 歌詞 意味」というキーワードで記事を読んでくださったあなたにとって、
この曲はどんな場面や誰の顔と結びついているでしょうか。
- あのときの教室
- 体育館のステージ
- マイクを持った友だちの震える手
- 泣きながら笑っていた自分
そうした一つひとつの記憶こそが、
この曲があなたにくれた“エール”そのものなのかもしれません。
歌詞の解釈は、聴く人の数だけあっていいもの。
この記事の考察をヒントにしながら、ぜひあなた自身の「エール」の意味も、心の中で言葉にしてみてください。


