YOASOBIの「三原色」は、離れてしまった人とのつながりを、赤・緑・青という三つの色で描いた楽曲です。
明るく爽やかな曲調から、幼なじみの再会を歌った友情ソングとして受け取られることも多いでしょう。しかし、歌詞を読み進めると、その中にはもっと現実的で、切実な人間関係のあり方が描かれています。
人は成長するにつれて、それぞれ違う場所へ進んでいきます。昔のように毎日会えなくなることもあれば、気まずさや忙しさから連絡が途絶えてしまうこともあります。
それでも、いちど離れた関係が、そこで完全に終わるとは限りません。
「三原色」が描いているのは、変わってしまったことをなかったことにする物語ではなく、変化した自分たちのまま、もう一度つながり直していく物語です。
この記事では、YOASOBI「三原色」の歌詞の意味を、原作小説『RGB』、三人の幼なじみの関係、雨上がりの虹、光の三原色、そして最後に現れる白い朝日から考察します。
- YOASOBI「三原色」とはどんな曲?
- 原作小説『RGB』のあらすじ|三人の幼なじみが再会する物語
- 冒頭の「途切れた物語」が意味するもの
- 何気ない別れが、長い空白になることもある
- 雨上がりの虹が表すもの|離れていた時間を越える橋
- 再会しても、時間が戻るわけではない
- ラップパートが表現する、あふれる思い出と言葉
- 「結び直す」という表現が示す、人間関係の現実
- タイトル「三原色」は、絵の具ではなく光の三原色
- 赤・青・緑は、それぞれ何を表している?
- 「白い朝日」は、何もない白ではない
- 朝を迎えた三人が、それぞれの日常へ戻る意味
- 最後の「また明日」は、次の再会を信じる言葉
- 公式MVとahamoのスペシャル映像は別作品
- 英語版「RGB」と原作小説『RGB』の違い
- 「三原色」が人とのつながりをテーマにしている理由
- YOASOBI「三原色」に関するよくある質問
- あわせて読みたいYOASOBIの楽曲考察
- まとめ|「三原色」は、違う人生を歩む人たちが何度でも出会い直す歌
YOASOBI「三原色」とはどんな曲?
「三原色」は、2021年7月2日に配信リリースされたYOASOBIの楽曲です。NTTドコモの料金プラン「ahamo」のCMソングとして制作されました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 楽曲名 | 三原色 |
| アーティスト | YOASOBI |
| 配信開始日 | 2021年7月2日 |
| 作詞・作曲・編曲 | Ayase |
| ボーカル | ikura |
| 原作小説 | 『RGB』 |
| 原作者 | 小御門優一郎 |
| タイアップ | NTTドコモ「ahamo」CMソング |
| 収録作品 | 『THE BOOK 2』 |
| 英語版 | 「RGB」:2021年7月16日配信 |
楽曲の原作は、脚本家の小御門優一郎が書き下ろした小説『RGB』です。NTTドコモは、2021年3月19日に公開した公式発表の中で、男女三人の友情と「つながり」を描いた作品であると説明しています。NTTドコモの公式発表
その後、「三原色」は2021年12月1日発売の2nd EP『THE BOOK 2』にも収録されました。The Orchard Japanによる作品情報
Billboard JAPANが2026年8月11日に更新した一覧では、国内ストリーミング累計再生数が4億回を突破した楽曲として紹介されています。Billboard JAPANのストリーミング累計再生数一覧
原作小説『RGB』のあらすじ|三人の幼なじみが再会する物語
「三原色」の背景にあるのは、幼い頃に同じ時間を過ごした三人の物語です。
原作の登場人物は、光の三原色に対応するR・G・Bという形で描かれます。
Rは赤、Gは緑、Bは青。
三人はかつて親しい時間を共有していましたが、成長するにつれて、それぞれ違う生活を送るようになります。小さなすれ違いや、うまく言葉にできなかった気持ちも重なり、以前のように自然に会える関係ではなくなっていきます。
けれども、長い時間が過ぎたあと、三人は再び顔を合わせます。
ここで大切なのは、原作が一人の視点だけで進む物語ではないことです。
同じ出来事であっても、三人が覚えていることや、相手に抱いていた気持ちは、それぞれ異なります。自分にとっては些細だった出来事が、別の誰かにとっては忘れられない記憶になっているかもしれません。
だからこそ、三つの色には単なる人物紹介以上の意味があります。
同じ時間を過ごした三人であっても、それぞれ別の人生を歩み、別の色を持っている。その違いを抱えたまま再び出会うことが、「三原色」の物語の出発点です。
冒頭の「途切れた物語」が意味するもの
楽曲の冒頭では、三人の関係が途中で止まってしまった物語として表現されます。
ここで注目したいのは、物語が終わったとは描かれていないことです。
終わった物語であれば、そこには結末があります。しかし、途中で途切れた物語には、まだ描かれていない先があります。
連絡を取らなくなった友人。
卒業してから会えていない仲間。
一度気まずくなったまま、時間だけが過ぎてしまった相手。
そうした関係も、必ずしも失われたわけではありません。ただ、物語のページが一時的に止まっているだけなのかもしれません。
「三原色」は、その続きをもう一度描くところから始まります。
何気ない別れが、長い空白になることもある
幼い頃の別れは、たいてい特別なものではありません。
その日はいつも通りに帰り、また近いうちに会えると思っている。けれども、進学や就職、引っ越し、生活環境の変化が重なれば、気づかないうちに会えない時間が長くなることがあります。
大きなけんかをしたわけではない。
相手を嫌いになったわけでもない。
それでも、以前と同じ関係を維持することは難しくなっていく。
「三原色」が切ないのは、こうした現実を丁寧に受け止めているからです。
人間関係が遠ざかる理由は、いつも明確な裏切りや決別とは限りません。むしろ多くの場合は、誰も悪くないまま、日々の積み重ねによって距離が生まれます。
だからこそ、再会には懐かしさだけでなく、少しの緊張も伴うのです。
雨上がりの虹が表すもの|離れていた時間を越える橋
再会へ向かう場面では、雨上がりの空に架かる虹が描かれます。
虹は、離れた場所を結ぶ橋のようにも見えます。
かつて一緒に過ごしていた時間と、それぞれ別々に歩んできた現在。その二つの時間をつなぐものとして、虹が現れていると考えられます。
また、虹が雨のあとに現れることも印象的です。
もし三人の関係に不安やすれ違いがなかったなら、再会の喜びはここまで強く感じられなかったかもしれません。会えない時間があったからこそ、もう一度顔を合わせる瞬間に特別な意味が生まれます。
さらに、虹は一つの光が多様な色として見える現象です。
赤・緑・青という三人だけでなく、それぞれが重ねてきた経験や感情も、決して一色には収まりません。
異なる色が並びながら、一つの景色をつくる。
虹は、違う人生を歩んできた三人が再びつながる、この楽曲全体の構造を映しているようにも感じられます。
再会しても、時間が戻るわけではない
久しぶりに会った友人と話していると、何年も空いていた時間が、一瞬で埋まったように感じることがあります。
昔の出来事を思い出し、話題が次々に広がり、気づけば以前と同じように笑っている。
「三原色」に描かれているのも、そのような再会の高揚感です。
ただし、この曲は単純に昔へ戻れたと歌っているわけではありません。
三人は、離れていた時間の中で、それぞれ変わっています。生活環境も、考え方も、抱えている事情も、子どもの頃とは同じではありません。
それでも、その変化によって過去のつながりまで否定されるわけではないのです。
変わった部分がある。
それでも、変わらず大切に思える部分もある。
「三原色」は、この二つを同時に認めています。
昔の関係をそのまま取り戻すのではなく、大人になった自分たちのまま、新しい関係を始めていく。その姿勢に、この楽曲の温かさがあります。
ラップパートが表現する、あふれる思い出と言葉
「三原色」では、ikuraがラップパートにも挑戦しています。
この部分は、長い年月を経て再会した三人の間から、言葉が次々にあふれてくる場面と重なります。
話したいことが多すぎて、会話が止まらない。
思い出を確かめ合ううちに、離れていた時間が少しずつ埋まっていく。
そうした感覚が、テンポよく連なる言葉によって表現されているように聞こえます。
さらに、楽曲の終盤ではYOASOBIのバンドメンバーも歌唱に参加しています。一人の声から複数の声へ広がっていく構成は、別々だった存在が重なり合う物語とも響き合います。Billboard JAPANによる楽曲・MV紹介
歌詞だけでなく、声の重なりそのものが、人と人のつながりを感じさせる仕掛けになっているのです。
「結び直す」という表現が示す、人間関係の現実
「三原色」の中心にあるのは、離れた関係を結び直すという考え方です。
ここで描かれているのは、最初から最後まで決してほどけない絆ではありません。
生活が変われば、会えなくなることがあります。
忙しさから、連絡を返せなくなることもあります。
相手の気持ちを勝手に決めつけて、距離を置いてしまうこともあるでしょう。
人とのつながりには、弱くなる時期があります。
しかし、それは終わりを意味するとは限りません。
もう一度連絡する。
思っていたことを言葉にする。
気まずさを抱えながらでも、相手に会いに行く。
そうした行動によって、関係はもう一度つくり直せます。
強い絆とは、ずっと同じ距離を保ち続けることではないのかもしれません。
離れてしまったあとにも、もう一度つながろうと思えること。
「三原色」が描いているのは、そのような現実的でしなやかな友情です。
タイトル「三原色」は、絵の具ではなく光の三原色
この曲の意味を考えるうえで、特に重要なのが「三原色」という言葉です。
三原色と聞くと、絵の具を思い浮かべる人もいるかもしれません。しかし、原作のタイトル『RGB』が示しているのは、光の三原色です。
RGBは、次の三つの色を表します。
- R:Red=赤
- G:Green=緑
- B:Blue=青
絵の具や印刷用インクは、色を重ねるほど暗くなる性質があります。
一方、光の三原色は、赤・緑・青を重ねるほど明るくなり、三つの光がそろうと白く見えます。スマートフォンやパソコンの画面も、この仕組みを利用しています。キヤノンによる光の三原色の解説
この違いを踏まえると、楽曲の最後に朝の白い光が描かれる理由も見えてきます。
白は、三人の個性が消えた結果ではありません。
それぞれ違う色を持った三人が重なることで生まれた、新しい光なのです。
赤・青・緑は、それぞれ何を表している?
楽曲の終盤には、赤・青・緑に対応する情景が描かれています。
ただし、赤は情熱、青は冷静さ、緑は優しさというように、三人の性格を単純に分類する必要はありません。
色の意味は、歌詞に登場する具体的な景色から考えるほうが自然です。
| 色 | 歌詞に描かれる情景 | 読み取れる意味 |
| 赤 | 一緒に見上げた夕日 | 共有した記憶と、過去に過ごした時間 |
| 青 | ともに過ごした日々 | 幼い頃の友情や、忘れられない青春 |
| 緑 | 新しく芽吹く命 | 関係の再生と、これから続いていく未来 |
| 白 | 再会のあとに迎える朝日 | 三つの色が重なって生まれる、新しい始まり |
赤い夕日は、かつて三人が同じ景色を見ていた時間を思い出させます。
青い日々には、まだ幼かった頃の友情や、少し未熟だった自分たちの姿が重なります。
そして緑の芽吹きは、一度止まっていたように見えた関係が、再び育ち始めることを表しているようです。
つまり、この三つの色は、人物の個性だけを示しているのではありません。
過去の思い出、共有していた時間、そしてこれからの再生。
三人の友情が歩んできた時間そのものが、色彩によって描かれていると考えられます。
「白い朝日」は、何もない白ではない
終盤に現れる白い朝日は、「三原色」の結末を読み解くうえで欠かせない表現です。
白は、しばしば何も描かれていない状態や、新しい出発点の象徴として用いられます。
しかし、この楽曲の白には、それだけでは説明できない意味があります。
RGBの光を重ねると白になることを踏まえれば、ここでの白は、空っぽの状態ではありません。
赤い思い出も、青い日々も、緑の芽吹きも、すべて含んだうえで生まれる色です。
過去を忘れたから、新しい朝を迎えられるのではない。
それぞれが経験してきた時間を持ち寄ったからこそ、新しい朝が始まるのです。
別々の道を歩んできたことは、三人の関係を壊しただけではありません。
その時間によって、それぞれが自分の色を深めてきたとも考えられます。
だからこそ、再会したときの白は、以前と同じ関係への逆戻りではなく、異なる人生が重なった先に生まれる新しい光なのです。
朝を迎えた三人が、それぞれの日常へ戻る意味
再会した三人は、いつまでも同じ場所にとどまるわけではありません。
話し続けた夜が明ければ、それぞれが自分の暮らしへ戻っていきます。
ここにも、「三原色」の現実的な視点があります。
本当のつながりは、常にそばにいることだけで成立するものではありません。
住む場所が違っていてもいい。
仕事や生活のリズムが違っていてもいい。
しばらく会えない時期があってもいい。
別々の道を歩いているからこそ、それぞれの人生があります。
それでも、同じ朝の光に照らされていることを思い出せれば、相手とのつながりは失われません。
三人は一つの存在になるのではなく、それぞれの色を持ったまま、また会える関係へ変わっていくのです。
最後の「また明日」は、次の再会を信じる言葉
楽曲の最後には、短い別れの言葉が置かれています。
この言葉は、実際に翌日会うという約束だけを意味しているわけではないでしょう。
大人になれば、毎日顔を合わせることは難しくなります。次に会えるのが、数日後とは限らないかもしれません。
それでも、また会えると信じて別れることはできます。
かつて三人は、何気ない別れのあとに長い空白を経験しました。
しかし、再会を経たあとの別れには、以前とは違う意味があります。
今度は、関係が離れても終わりではないと知っているからです。
また会うために言葉を交わす。
次の時間を想像しながら、それぞれの場所へ戻る。
このささやかな一言によって、「三原色」は再会の物語を完結させるのではなく、その先へ続く物語として閉じています。
公式MVとahamoのスペシャル映像は別作品
「三原色」には、異なる二つの映像作品があります。
最初に公開されたのは、2021年3月30日の「ahamo Special Movie」です。
監督の松本窓と漫画家のむつき潤が制作を担当し、楽曲のショートバージョンに合わせて、三人の主人公の思い出や再会へ向かう感情を描いています。YOASOBI「三原色」ahamo Special Movie
一方、フルバージョンの公式ミュージックビデオは、2021年7月3日に公開されました。
こちらはアニメーション制作会社のCloverWorksが手がけ、石浜真史が絵コンテと演出を担当しています。CloverWorks公式サイトの作品情報
YOASOBI「三原色」Official Music Video
どちらも三人のつながりを扱っていますが、公開時期や制作陣、映像の構成は異なります。
二つを見比べると、同じ物語がそれぞれ違う色合いで表現されていることに気づけるでしょう。
英語版「RGB」と原作小説『RGB』の違い
「RGB」というタイトルは、原作小説だけでなく、「三原色」の英語版にも使われています。
英語版の「RGB」は、2021年7月16日に配信されました。英語詞はKonnie Aokiが担当しています。Apple Musicの英語版作品情報
YOASOBI / RGB「三原色」English Ver.
整理すると、原作小説『RGB』は小御門優一郎による物語であり、楽曲「RGB」は「三原色」の英語バージョンです。
同じタイトルですが、片方は物語、もう片方は楽曲です。
原作と英語版に共通する名前が使われていることからも、赤・緑・青という色の構造が、この作品の中心にあることが分かります。
「三原色」が人とのつながりをテーマにしている理由
「三原色」が発表された2021年は、人と直接会うことが難しい場面も多かった時期でした。
会いたい相手と自由に会えない。
何気ない食事や会話が、以前ほど当たり前ではなくなる。
そのような状況の中で、人とつながることの意味を見直した人も多かったはずです。
NTTドコモの公式発表によると、Ayaseは原作がなぜ『RGB』というタイトルなのかを考え、その意味を音楽と歌詞の両方に取り入れることを意識していました。NTTドコモによるAyase・ikuraのインタビュー紹介
離れている時間があることと、つながりが失われることは、同じではありません。
会えない時期が続いても、共有した時間まで消えるわけではない。
そして、もう一度言葉を交わせば、関係は新しい形で動き始めます。
「三原色」の明るさは、寂しさや空白が存在しないから生まれているのではありません。
離れることの切なさを知っているからこそ、その先にある再会の光が強く感じられるのです。
YOASOBI「三原色」に関するよくある質問
「三原色」は何を歌った曲ですか?
離れていた三人の幼なじみが再会し、それぞれ違う人生を歩みながらも、もう一度つながりを確かめ合う物語です。
友情、再会、すれ違い、成長、そして関係を結び直すことが主なテーマです。
「三原色」の原作は何ですか?
脚本家の小御門優一郎が書いた小説『RGB』です。
2021年3月19日にahamoの特設企画で公開され、赤・緑・青に対応する三人の視点から、人とのつながりを描いた作品として紹介されました。
「三原色」はアニメの主題歌ですか?
テレビアニメの主題歌ではなく、NTTドコモ「ahamo」のCMソングです。
ただし、公式ミュージックビデオをアニメーション制作会社のCloverWorksが担当しているため、アニメ作品のような映像表現が楽しめます。
赤・緑・青の三色が白になるのはなぜですか?
赤・緑・青は光の三原色であり、三つの光を重ねると白く見えるためです。
楽曲では、別々の色を持つ三人が再び重なり合うことを、朝の白い光に重ねていると考えられます。
英語版「RGB」はいつ公開されましたか?
2021年7月16日に配信されました。
日本語版「三原色」の英語バージョンで、英語詞はKonnie Aokiが担当しています。
あわせて読みたいYOASOBIの楽曲考察
色彩や記憶、人とのつながりという視点からは、次の楽曲もあわせて楽しめます。
まとめ|「三原色」は、違う人生を歩む人たちが何度でも出会い直す歌
YOASOBIの「三原色」は、幼なじみ三人の再会を描きながら、人とのつながりは一つの形にとどまらないことを伝える楽曲です。
人は成長するにつれて変わります。
会えない時間が生まれ、以前と同じ関係ではいられなくなることもあります。
しかし、それまで一緒に過ごした時間が消えてしまうわけではありません。
赤い記憶も、青い青春も、緑のように芽吹く未来も、それぞれが違う色のまま重なり合える。
その先に現れる白い朝は、何もなかったことにして始める朝ではなく、過去も変化も受け止めたうえで迎える、新しい朝です。
離れていても、違う道を歩いていても、もう一度つながることはできる。
「三原色」は、そんな再会への希望を、色鮮やかに描いた一曲なのです。


