【怪物/YOASOBI】歌詞の意味を考察、解釈する。

今や飛ぶ鳥を落とす勢いで一気にミュージックシーンの主役に躍り出た「YOASOBI(ヨアソビ)」ですが、特に最近『怪物』という曲にハマったという声を良く耳にするようになりました。

同曲は、2021年1月より放送されているテレビアニメ「BEASTARS(ビースターズ)」の第2期オープニングテーマとなっており、大きな話題となりました。

この「BEASTARS」の原作者である板垣巴留さんが書き下ろした短編小説「自分の胸に自分の耳を押し当てて」をもとに製作されたのがこの『怪物』です。

曲のテンポやメロディーの良さはもちろんですが、その歌詞の独特な世界観が更に曲の魅力を引き立てています。

この記事では、そんな『怪物/YOASOBI』の歌詞の意味を考察、独自解釈していきたいと思います。

『怪物』の世界観

YOASOBIの『怪物』は、冒頭でも紹介した通り「BEASTARS」の第2期オープニングテーマであり、原作者が書き下ろした短編小説「自分の胸に自分の耳を押し当てて」をもとに製作された楽曲です。

アニメと短編小説も同じテーマをもとに製作されているので、『怪物』=「BEASTARSの世界」と考えて良いでしょう。

「BEASTARS」は、擬人化された肉食獣と草食獣が共存している世界(「チュリートン学園」に通う動物たちの世界)です。

主人公はハイイロオオカミの少年レゴシ。

そしてレゴシは草食獣であるウサギのハルという少女に心を惹かれる。

ある日学園内で草食獣の生徒が肉食獣の生徒に食殺され、レゴシが容疑者として疑いの目を向けられてしまい事件に巻き込まれていきます。

レゴシは事件の真相を追うこととなるのです。

「表向きは草食獣と肉食獣が共存する素晴らしい世界」

「しかし実際は草食獣の食殺が秘密裏に行われている」

主人公のレゴシは、こういった現実に迷い、悩み、そして自分の意思で答えを導き出していくのです。

歌詞の意味を考察、独自解釈

それではここからは『怪物』の歌詞にスポットを当てて考察、解釈していきましょう。

「BEASTARS」の世界観と自分自身にある葛藤

素晴らしき世界に今日も乾杯

街に飛び交う笑い声も

見て見ぬフリしてるだけでの作りもんさ

気が触れそうだ

クラクラするほどの良い匂いが

ツンと刺した鼻の奥

目を覚ます本能

今日は誰の番だ?

この世界で何が出来るのか

僕には何が出来るのか

ただその真っ黒な目から

涙溢れ落ちないように

冒頭から「BEASTARS」の世界観が上手く表現されていますよね。

全員が楽しそうに暮らしているけど、本当のことから目を背けている。

そういった現状を「乾杯」と皮肉っている所にセンスが光ります。

冒頭部分の後半では、草食獣を食したいという肉食獣の本能を表現していて、そこから自分に何が出来てどうしたら大事な人(真っ黒な目=ウサギのハル)を守れるのかという葛藤を表現しています。

理想の未来を手に入れるための奮闘

願う未来に何度でもずっと

喰らいつく

この間違いだらけの世界の中

君には笑ってほしいから

もう誰も傷つけない

強く強くなりたいんだよ

僕が僕でいられるように

サビの部分では、実際に葛藤するだけではなく自分の考える理想の未来を実現するために奮闘している状況を表しています。

ここでも「君には笑ってほしいから」と大事な人(ハル)が出てくることからも、レゴシにとってハルがどれほど大事な存在なのかがわかりますよね。

「強く強く」と2回繰り返している部分にも強い意志を感じます。

そしてサビの最後の「僕が僕でいられるように」では、肉食獣としての本能を抑え込み大事な人を守る「理想の自分=僕」でいられるようにと願うのです。

肉食獣としての本能との葛藤

清く正しく生きること

誰も悲しませずに生きること

はみ出さず真っ直ぐに生きること

それが間違わないで生きること?

ありのまま生きることが正義か

騙し騙し生きるのが正義か

僕の在るべき姿とはなんだ

本当の僕は何者なんだ

教えてくれよ

教えてくれよ

冒頭部分から肉食獣としての本能を抑え込み大事な人を守りたいという願望を持ち実際に行動していく描写を歌詞の中でしていくものの、それでも肉食獣の本能は簡単に抑え込めるものではない。

強い強い葛藤を誰でもない何かに叫ぶその歌詞は、葛藤の大きさを見事に表現しています。

「教えてくれよ」とあえて2度繰り返すことで、更に葛藤の大きさを際立たせていますよね。

本当の答えはわからない

今日も

答えのない世界の中で

願ってるんだよ

不器用だけれど

いつまでも君とただ

笑っていたいから

跳ねる心臓が

体揺らし叫ぶんだよ

今こそ動き出せ

いくら葛藤を続けてみても、答えを出すことができない。

それは、肉食獣としての本能が確実に自分にはあり、そして草食獣との共存を望んでいる自分も確実にいる。

本当の答えはわからないけど、「自分の思うままに動き出そう」という決意を表現しています。

この『怪物』という楽曲と「BEASTARS」で伝えたい本質

そして何より重要なフレーズがこの曲の最後にあります。

それは「僕の中のぼくを超える」という歌詞です。

「本当の答えはわからないけど、僕が僕でいられるようにただ君を守るために走るんだ」

導き出した「自分なりの結論」を貫くことで、「更に強くなる」ことを望んだレゴシ。

この最後の歌詞があることで、楽曲を聴いている人に「信じた道を進んでいけば過去の自分を超えることができる」というメッセージを与えることができるのです。

まとめ

今回は、『怪物/YOASOBI』の歌詞の意味を考察、独自解釈してきました。

この曲の題材となっている「BEASTARS」は、肉食獣と草食獣という実際の世界ではありえない世界観ではありますが、その主人公レゴシの葛藤は、人間の実生活でもあり得るものです。

夢や家族、恋人、友人、受験など、人生における様々な葛藤の際に、迷い悩み自分なりの結論を出したら動き出すことが重要であると、この曲は教えてくれています。

ぜひ「過去の自分を超えたい」と思った時には、この『怪物』を聴いてみてはいかがでしょうか?

関連 【三原色/YOASOBI】歌詞の意味を考察、解釈する。