1. 「月曜日の歌」に込められた別れと孤独の物語
NEEの「月曜日の歌」は、一見ポップで軽快なメロディーが印象的ですが、歌詞を読み解くとその奥には深い孤独と喪失感が潜んでいます。歌の冒頭から描かれるのは、「君がいない世界」に直面する主人公の感情です。週明けの月曜日という設定は、日常が再び始まるタイミングでありながら、主人公にとってはその日常が「君」がいないものになったことへの実感がより強くなる象徴的な日です。
月曜日は多くの人にとって「憂鬱な日」とされがちですが、この楽曲ではそれがより個人的で感情的な意味を持っています。別れの余韻に浸る主人公の姿からは、恋愛関係の終焉が人生にどれだけ大きな影響を及ぼすかが伝わってきます。
2. 歌詞に表れる「ヒーロー」としての自分像とその矛盾
「絶対的ヒーローだった僕」と主人公は歌いますが、これは過去の自分への皮肉にも聞こえます。恋人の前で強がっていた自分、自分なりに支えようと必死だった姿を思い返す一方で、結局は何も守れなかった無力感がにじみ出ています。
この「ヒーロー像」は、現代の若者が社会や他者の期待に応えようとする姿にも重なります。特に恋愛において「相手を守る存在でありたい」と願う気持ちが、別れを機に崩れ去ることで、理想と現実のギャップが浮き彫りになります。
歌詞は一見シンプルですが、このような心理的葛藤を内包しており、聴くたびに異なる解釈を与えてくれる奥行きを持っています。
3. 音楽と映像で表現されたNEEの独自の世界観
NEEの「月曜日の歌」は、音楽と映像の両方でユニークな世界観を築いています。MVには、着ぐるみの犬「ラビ」が登場し、不思議な生き物たちとともに奇妙でどこか哀愁のある物語を繰り広げます。この映像表現は、歌詞の持つ孤独感とリンクしており、視覚的にも感情を増幅させる役割を果たしています。
NEEの楽曲はジャンルを超えたサウンドとともに、視覚的インパクトを強く与えるアートワークやMVが特徴であり、「月曜日の歌」もその例外ではありません。メンバー自身が手がけるコンセプトや演出が、音楽以上の体験としてリスナーに提供されています。
4. ボーカル・くぅのインスピレーションと楽曲制作の背景
NEEのボーカル・くぅは、インタビューで「月曜日の歌」の着想について、子どものころに観ていたバラエティ番組の雰囲気や、自分が感じていた違和感から着想を得たと語っています。「明るいのにどこか怖い」「楽しいのに妙に哀しい」といった感情が、この楽曲のトーンに反映されています。
くぅはまた、「聴いた人が自分の中にある何かと繋がれるような曲を作りたい」とも語っており、「月曜日の歌」はその想いが強く反映された作品といえるでしょう。幼少期の曖昧な記憶や感覚を丁寧にすくい取り、それを現代の音楽に昇華させるその手法は、NEEならではの魅力でもあります。
5. リスナーが共感する「月曜日の歌」の魅力とその影響
「月曜日の歌」は、多くのリスナーにとって「自分の気持ちを代弁してくれる曲」として高く評価されています。特に、週の始まりに感じる気だるさや不安、孤独といった感情を、こんなにもストレートに、かつ美しく表現している楽曲は珍しいと言えるでしょう。
SNS上では、「この曲を聴くと泣きそうになる」「まさに今の自分の気持ち」といった声が多く見られ、Z世代を中心に強い共感を得ています。音楽が持つ癒しや自己投影の機能を、この楽曲は最大限に引き出しているのです。
NEEというバンドは、楽曲ごとに異なるテーマを取り上げつつも、どこか「人間らしい弱さ」に寄り添う姿勢を一貫して持っており、「月曜日の歌」もその代表的な作品のひとつとなっています。
