【美しい鰭/スピッツ】歌詞の意味を考察、解釈する。

以下、日本を代表するロックバンド「スピッツ」の最新シングル『美しい鰭(ひれ)』をご紹介します。
この曲は劇場版「名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)」の主題歌にも起用されており、今回は歌詞の意味を解説しながら、スピッツならではの魅力を探ってみましょう。

スピッツの46thシングル『美しい鰭』

スピッツの46thシングル『美しい鰭』は、2023年4月12日に発売されました。
この曲は最新の名探偵コナン映画の主題歌として、草野マサムネが特別に書き下ろしました。
実に3年10か月ぶりとなる本作は、2019年に発売された『優しいあの子』以来の待望のリリースとなりました。
先行配信が開始されると、SNSを中心に大きな反響を呼び、配信チャートでは19のカテゴリーで首位を獲得しました。
MVは上白石萌歌をはじめとする出演者と共に公開され、映画監督の松居大悟が監督を務め、日常と特別な空間が融合したショートムービー仕立ての映像が完成しました。
また、映画自体も興行収入100億円を超え、シリーズ史上最大のヒット作となりました。
この人気を受けて、東宝MOVIEチャンネルでは映画本編と『美しい鰭』をコラボさせた「主題歌スペシャルムービー」が公開されました。
ぜひ、MVと一緒にお楽しみください。

一般的な同調傾向と独自性

波音で消されちゃった はっきりと聞かせろって
わざとらしい海原

このAメロは、特に変則的な拍子を持っており、まるで社会全体の縮図のようです。
「波音」を「声の大きい人々」と解釈してみましょう。
そういった人々が集まると、数の力によって多様な意見が一つに統一されてしまいます。
広大な「海原」の中に、果たしてどれほどの声が消えていったのでしょうか。

100回以上の失敗は ダーウィンさんも感涙の
ユニークな進化の礎

「ダーウィン」とは、イギリスの自然科学者であり、「種の起源」という著書の著者です。
彼はその本の中で「進化論」を提唱しました。
この理論は、すべての生物種が共通の祖先から派生し、環境に対して自然選択によって進化しているというものです。
言い換えれば、生物は環境への適応に基づいて進化し、最も適応したものだけが生き残るという考え方です。
このアイデアを考慮しながら歌詞を見ると、どれほど失敗しても決してくじけない強い意志や、成長の過程で見出した独自の個性が表現されているのではないでしょうか。

「美しい鰭」とは、自己を表現する手段

あの日のことは忘れないよ
しずくの小惑星の真ん中で

この部分の歌詞は、非常に神秘的な印象を与えます。
その言葉からは、生命の誕生を思わせる壮大なイメージが広がっています。
おそらく、生まれ変わった日というよりも、精神的な再生を象徴している瞬間を暗示しているのではないでしょうか。

流れるまんま 流されたら
抗おうか 美しい鰭で
壊れる夜もあったけれど 自分でいられるように

サビは、美しくて爽快感に満ちたメロディで、一度聞いたら忘れられないものです。
独創的な音楽やノスタルジックなサウンドに、スピッツの魅力が凝縮されています。
この部分では、「抗おうか」という周囲の流れに逆らおうとする意志が初めて現れます。
では、タイトルにもなっている「美しい鰭」とは何を指しているのでしょうか。
「鰭」とは、魚などが泳ぐために使う運動器官です。
歌詞を考えると、それは行動のための手段と解釈できます。
つまり、「美しい鰭」とは、社会の海原で自己を貫くための特別な手段を意味しているのかもしれません。
それは趣味や特技かもしれませんし、大切な人や物による行動の原動力かもしれません。
「美しい」と形容されることから、主人公にとって非常に貴重な存在であることが伝わってきます。
絶望的な夜を何度も経験しながら、自己を保つ方法を必死に模索してきたのでしょう。
それが彼らにとっての「生きがい」であり、周囲の環境に対抗する手段だったのかもしれません。


今回は、スピッツの最新シングル『美しい鰭』について、歌詞の意味を解釈しながら魅力を探ってみました。
歌詞の奥深さや神秘性、そしてスピッツ独自のサウンドは、どの聴衆にも直感的に分かるもので、何度聴いても魅了されます。
ぜひ、反復しながら自分なりに考察してみて、お楽しみください。
また、表題曲以外にも新曲『祈りはきっと』と『アケホノ』がカップリングとして収録されています。
この2曲は現時点ではアルバムには収録されない予定なので、この機会をお見逃しなく!
『美しい鰭』を通じて、最新のスピッツをたっぷりと堪能してみてください。