【闘う戦士(もの)たちへ愛を込めて/サザンオールスターズ】歌詞の意味を考察、解釈する。

映画「空飛ぶタイヤ」の主題歌として選ばれ、注目を浴びた「闘う戦士(もの)たちへ愛を込めて」です。
この曲はサザンからの応援の言葉で、社会で頑張る人々に力を与えることでしょう!

今回はこの曲の歌詞の意味を深堀していきましょう。

歌詞の意味を考察、解釈

悲しい噂 風の中
悪魔が俺に囁いた
この世はすべて裏表
嘘と真実(まこと)の化かし合い

1番のAメロ部分では、この現実世界で真実と虚偽が入り混じり、しばしば都合の良い言葉で他人を欺いたり、自身に利益をもたらすために策略を張ったりする現象について歌われています。
誠実な人ばかりではなく、世の中には様々な人が存在することを指摘しています。
残念ながら、「正直者が損をする」という言葉が現実に当てはまる場面もあるのです。
特に社会で活動すると、多くの人がこの状況を経験することでしょう。
上司の指示に従うしかない場合もあれば、会社の利益を最優先に考え、問題を見過ごすことが必要な場合もあるかもしれません。
本当は行儀の悪いことをしていることを自覚していながらも、自身の安全を確保するためにはその道を進むしかないこともあるでしょう。
おそらく、この歌詞の主人公も同様に、この葛藤を感じながらも、それに立ち向かうことが難しい状況にあるのでしょう。


一か八かの勝負時
いつもアイツが現れる
悪意のドアをこじ開けて
心の隙間に忍び寄る

どれほど公正な方法で対処しようとしても、悪意のある大人たちは常に試合の最中に不正を働こうとします。
そのため、必死に抵抗しても、このような相手にはなかなか勝つことは難しいのです。
さらに、その相手は巧妙に不正を隠し、ますます力を蓄え、権力の頂点に立つ道を進んでいきます。
この歌詞は、非常に悲しい現実について語っており、その真実が描かれています。


自分のために人を蹴落として
成り上がる事が 人生さ
それを許さず抗(あらが)う相手には
殺(や)られる前に殺(や)るのが仁義だろう?

1番のBメロ部分でも、厳しい現実について継続的に歌われています。
この過酷な社会で生き抜くためには、時には他人を排除せざるを得ないことがあります。
それをしなければ、自身が排除され、不幸な状況に陥ることがあります。
この冷酷な現実を言葉に表現する際に、「生き残るためには仕方なく他者を排除する」というメッセージが込められています。
これはまるで生存競争のような状況を描写しているかのようです。


寄っといで 巨大都市(デッかいまち)へ
戦場で夢を見たかい?
しんどいね 生存競争(いきていくの)は
酔いどれ 涙で夜が明ける

この巨大都市と呼ばれる場所では、非常に過酷で冷酷な生存競争が繰り広げられています。
ここで働く人々は皆、社会の「戦士」として、自身を取り巻く敵対勢力や競合他社に打ち勝つために熾烈な戦いを続けます。
この状況は極めて厳しいものであり、そのためには精神的にも非常に強靭である必要があります。
しかし、競争の激しい社会の中で、多くの人々が心の奥底で「これは本来誤りである」と感じていることがあります。
その本当の気持ちに涙を流しながら、酒に酔いしれることもありますが、朝が訪れれば再び「戦士」として会社に向かわなければならない現実が待っています。


時に気高く 情け深く
組織ん中で振る舞えば
同じ匂い嗅ぐハイエナが
餌を求めて群れをなす

2番のAメロでは、公正な手段で闘い続ける人々に焦点が当てられています。
誠実さを保ちながら戦い、そして時折成功を収めることもあるでしょう。
しかし、その成功によって獲得した報酬や利益を狙う、ハイエナのような存在が存在することもあるのです。
社会には悪意を抱く人々が多く存在するため、自身の安全や利益を守るためには警戒することが不可欠です。


疑惑の影が追ってくる
悪い予感に身悶える
魔力を持ったオンナ達
それに魂を売るオトコ達

正当な手段で行動しているにもかかわらず、自分に対する疑念がかかることは時折あります。
悪意をもつ人たちによって陥れられることもあるのです。
このような状況は、前述の「空飛ぶタイヤ」のストーリーとも一致しています。
さらに、誰かを罠にかけようとする場合、対象が男性であれば、ハニートラップなどの策略を用いることもあります。
この歌詞の「魔力を持った~」の部分は、そのような狡猾な作戦を思わせるものとして表現されているようです。


西陽が俺の孤独を憐れんで
振り返ればそこに長い影
道に倒れた人を踏み越えて
見据えたゴールへとひた走る

西陽が地平線に差し込み、自身の影が次第に長く伸びていく光景が広がり、最終的に真っ暗な夜に包まれていく様子が描かれています。
これは、自身の影、つまり他人を蹴落として進むことのできる冷酷な側面がますます強調され、最終的には暗い未来へと向かっていくというイメージを表現しています。
それでも、生き残るためには、弱い者を無視して勝利への道を進まなければ、権力を手に入れることはできない現実が存在します。


さあ、おいでタフな野郎は
根性ねえ奴ぁ オサラバ
Night and Day この企業(ばしょ)で
闘う戦士(もの)たちへ愛を込めて

この現代社会で成功するには、強靭で粘り強い性格が必要です。
善意で行動していても、弱気な人々は瞬く間に周囲の厳しい競争に押し潰されてしまうことがあります。
もし社会での生活を続けたいと望むのであれば、自身を「戦士」として鍛え、精神的に強くなる必要があります。


大量の株が売られていった
何故だろう?
嘘がひとり歩き始めた
どうしたの?
弊社を「ブラック」とメディアが言った
違う違う

株価の急落、奇妙な噂の広まり、また「ブラック企業」として非難されることなど、これらはすべて企業にとって大きな打撃となります。
こうした打撃を受けた場合でも、必死に働いて評判を回復する努力を続ける必要があります。


寄っといで 巨大都市(デッかいまち)へ
戦場で夢を見たかい?
しんどいね 生存競争(いきていくの)は
酔いどれ 恋も捨てて…

この部分の歌詞は、1番のサビとほぼ同じですが、「恋も捨てて」というフレーズが初登場ですね。
生き抜く意志を持つなら、恋愛に捉われない覚悟も必要です。
恋に夢中になりすぎると、すぐに挫折する可能性があるからです。
そして、その後に2番のサビが続き、曲は終了します。
この歌詞全体を通じて、多くの人が「少し悲しいけれど、頑張らなければ」という気持ちになったことでしょう。
おそらく、この歌詞を書いた桑田佳祐さんも、厳しい現実に対する悲しみを抱えており、その現実に立ち向かう戦士たちに愛情を込めたエールを送っているのだと思います。