awich「Pendulum」歌詞の意味を考察|愛かお金か、揺れるペンデュラムが選ぶもの

Awich「Pendulum」は、ABEMAの恋愛リアリティ番組『LOVE CATCHER Japan』のために書き下ろされた楽曲で、「愛か、お金か」という残酷なテーマを真正面から描いた一曲です。

タイトルの“Pendulum(振り子)”が示すように、歌詞の中の語り手は、愛情・欲望・不安・自己肯定のあいだを絶えず揺れ動きます。「awich pendulum 歌詞 意味」が気になって検索した人にとっては、単なる“恋愛ソング”というより、愛と打算の狭間で揺れる人間の本音を描いた心理ドラマとして読むと、ぐっと深みが増すはずです。

この記事では、歌詞の具体的なフレーズに触れつつ(※長い引用は避けて要約します)、曲全体のテーマや、『LOVE CATCHER Japan』とのリンク、さらにアルバム『THE UNION』や「かくれんぼ」との関係までまとめて考察していきます。


『Pendulum』とは?Awichが描く“揺れる愛と選択”の物語【基本情報・楽曲概要】

「Pendulum」は2023年12月15日に配信リリースされたシングル「Pendulum / かくれんぼ」に収録された楽曲で、作詞はAwich、プロデュースはChaki Zulu。
ABEMAオリジナル番組『LOVE CATCHER Japan』の主題歌として書き下ろされ、「愛か賞金か」を迫られる参加者たちの心理戦を彩るテーマソングになっています。

サウンド面では、ダークで重心の低いトラップビートの上に、メロディアスなフックとラップが滑らかに行き来する構成。浮遊感のあるシンセと低音の効いた808が、歌詞に描かれる「終わりなき迷路」や「揺れる心」のイメージをサウンドレベルでも支えています。

タイトルの“Pendulum”は、単に振り子という物理的なイメージだけではなく、「右か左か」「正しいか間違いか」「愛か金か」と、極端な二択の間で揺れ続ける人の感情・判断そのもののメタファーとして機能しています。歌全体が、振り子のように行きつ戻りつしながら、最終的に“自分はどう生きるか”という一点に収束していく構造になっているのがポイントです。


歌詞全体のテーマ考察|「お金か愛か」に揺れるペンデュラムの意味

歌詞の核にあるのは、「Money on my mind」と「Love me for my life」という、マインドとハートの二項対立です。どちらも短い英語フレーズで繰り返されますが、「お金のことも現実として頭から離れない」「でも、一生を賭けられるような愛も求めている」という、相反する欲望が並列されているのが分かります。

この二つのフレーズの間をつなぐのが、“大切なものを失わないように誓う”という決意のラインです。ここでいう「大切なもの」は、恋人そのものでもあり、自分の芯・誇り・信念でもあるように読めます。番組の設定上は「真実の愛か、賞金500万円か」という分かりやすい二択ですが、Awichが歌詞で描いているのは、もっと内面的で個人的な葛藤――「損得勘定で動く自分」と「純粋でありたい自分」の間で揺れる心です。

サビでは、相手の瞳を見つめながらも「嘘はつかないで」と懇願するようなラインが繰り返されます。これは相手に対してだけでなく、自分自身に向けたメッセージでもあるでしょう。「本当は何を望んでいるのか」「本当に欲しいのは金か、愛か、それとも別のものか」。振り子の揺れは、他人との駆け引きのように見えつつ、その実、自分の心との対話でもあるのです。


サビ部分の歌詞解釈|“大切なものを失わぬように”という誓いが示す本音

サビは、視線と誓いと不安がぎゅっと凝縮されたパートです。相手を強く見つめ、「心の中で誓う」「大切な何かを失わないように」と歌うことで、語り手がすでに大きなリスクを感じていることが伝わります。

ここで印象的なのは、「何を守りたいのか」があえて曖昧にされている点です。

  • 目の前の恋人との関係か
  • ここまで積み上げてきた人生やキャリアか
  • それとも、自分の中にかろうじて残っている“純粋さ”そのものか

どれにも読み取れるように書かれているからこそ、聴き手それぞれが「自分の大切なもの」を投影しやすくなっています。

また、サビには「もう二度と迷わないように」「二度と離さないように」といった強い意志表明も繰り返し登場します。迷い続けるペンデュラムでありながら、「この瞬間だけは迷わない」と自分に言い聞かせる――その緊張感が、メロディの高まりと相まって、ドラマチックなクライマックスを生んでいるといえるでしょう。


Aメロ〜ラップパートの歌詞考察|Trap・仮面・迷路のイメージが語る現代の恋愛ゲーム

Aメロやラップパートでは、より具体的なイメージが次々と投げ込まれます。
たとえば、出会った瞬間から「歯車が狂い出した」ように感じる描写、眠れないほど張り詰めた心、鏡に映る自分との“約束”、そして「世界で一番狂おしいTrap」という表現。これらはすべて、甘い誘惑と危うさを同時にはらんだ恋愛の状態を、トラップミュージックの世界観とうまく重ねたメタファーです。

中盤では、「波のように押し寄せるもの」「仮面から覗く顔」「終わりなき迷路」といったイメージが続きます。ここでは、

  • 番組のような“ゲーム的な恋愛”
  • SNS時代特有の“盛った自分=仮面”
  • そして、何度選び直しても出口の見えない人生の分岐

といったモチーフが交錯しているように読めます。

「どれが本当の自分なの?」と自問するラインは、まさにアイデンティティ・クライシスそのもの。仕事モードの自分、恋愛モードの自分、番組の中で“演じる自分”…その全部がどこか嘘っぽく感じられる中で、「それでも自分の生き方を貫かなくては」と繰り返し確認しているのがこのパートの肝です。

ラスト近くでは、「赤いバラ」「輝くダイヤモンド」といった典型的なロマンスや富の象徴が登場しますが、それらが“嘘だと知りながら信じる”対象として描かれているのも興味深いところ。恋愛もお金も、どこまでいっても幻想が混じる――それでも、自分の信じたものに賭けていくしかない、という覚悟がそこにはにじんでいます。


恋愛番組『LOVE CATCHER Japan』とのリンク|駆け引きと心理戦を映す主題歌としての役割

『LOVE CATCHER Japan』は、「真実の愛を選ぶ“ラブキャッチャー”」と「恋愛を偽って賞金を狙う“マネーキャッチャー”」が同じ空間で恋愛ゲームを繰り広げる番組です。参加者は、愛を信じるか、お金を取るか、あるいは相手がどちら側の人間なのかを常に疑い続けなければなりません。

そんな番組の主題歌として「Pendulum」が選ばれているのは、歌詞の世界観が番組の構図と驚くほど重なっているからです。

  • 「愛かお金か」で揺れる心
  • 相手の目を信じたい気持ちと、裏切りへの恐怖
  • 仮面と本音のあいだで揺れる自分

これらはそのまま、番組の参加者たちが直面するジレンマでもあります。

Awich自身も、「私たちはずっと駆け引きをしているんじゃないか」と、この曲についてコメントしており(ABEMAのインタビュー記事より)、恋愛だけでなく、仕事や人間関係全般における“取引”の感覚も歌の背景にあることが示唆されています。
だからこそ、「awich pendulum 歌詞 意味」を考えるとき、単なる番組タイアップ曲として片付けるのではなく、“現代を生きる私たち全員の物語”として読み解く視点が重要になってきます。


Awichの他作品との比較|『THE UNION』『かくれんぼ』と通底する自己肯定と覚悟のメッセージ

「Pendulum」は単独シングルでありつつ、最新アルバム『THE UNION』の世界観とも地続きの位置にあります。『THE UNION』は、タイトルどおり「手を取り合うこと」「それぞれの居場所を尊重しながら連帯していくこと」をテーマにした作品であり、自己理解と他者とのつながりの両方を描いたアルバムです。

同じ『LOVE CATCHER Japan』の挿入歌として使われている「かくれんぼ」は、『THE UNION』収録曲のひとつで、痛みや弱さを抱えたままもがく人にそっと寄り添うような楽曲。
一方「Pendulum」は、より攻めたビートと鋭い言葉で、「それでも自分の生き方を選び取る」という能動的な姿勢を打ち出しています。

両曲を並べて聴くと、

  • 「かくれんぼ」=傷ついた心に寄り添う“ケア”の歌
  • 「Pendulum」=揺れながらも自分の選択に責任を持つ“覚悟”の歌

というコントラストが見えてきます。どちらにも共通しているのは、「誰かに選ばれるための自分」ではなく、「自分で自分を選び直す」視点です。

『THE UNION』という“連帯”を掲げたアルバムのボーナストラックとして「Pendulum」が収録されているのも象徴的で、他者とつながる前提としての“自己肯定”が、この曲にも強く刻まれていると言えるでしょう。


「Pendulum」の歌詞は、恋愛リアリティ番組の主題歌という枠を超えて、“揺れたままでもいい、でも最後の一歩は自分で決めるしかない”という、Awichらしいタフで優しいメッセージを届けています。
「awich pendulum 歌詞 意味」をきっかけにこの曲に出会ったなら、ぜひ番組本編や『THE UNION』『かくれんぼ』もあわせてチェックして、自分なりの“ペンデュラム”の意味を掘り下げてみてください。