WANIMA「1988」は、3rdフルアルバム『Catch Up』(2023年10月11日発売)に収録された1曲です。
歌詞の中で“1988”という数字がはっきり提示されるぶん、「これは何の年?」「どんなメッセージ?」と気になる人も多いはず。この記事では、曲の基本情報を押さえつつ、“1988”が象徴する意味と、歌詞に流れる再出発・赦し・生き抜く宣言を軸に読み解いていきます。
- 「1988」はどんな曲?(基本情報)
- タイトル「1988」は何を指す?“生まれ年”と“すべての始まり”の二重構造
- 歌詞全体のテーマ:雨の日=白紙になった予定から、前に進むまでのストーリー
- フレーズ考察①:「またさよならから始まる/振り向かないで」別れを“再出発”に変える言葉
- フレーズ考察②:「悪い思い出にはしないで/過ぎた事にカッとしないで」後悔との距離感
- フレーズ考察③:「進む為には恐れないで/何が何でも生きて立って」“生存宣言”としてのサビ
- フレーズ考察④:「目には見えないものほど…買えない」お金で測れない価値の賛歌
- 英語パートの意味:「Forgive and Forget / It started in 1988」が効かせる余韻
- 『Catch Up』の中で読む「1988」:WANIMAが“原点”を言い直す曲としての位置づけ
- まとめ:wanima「1988」の歌詞が伝える意味
「1988」はどんな曲?(基本情報)
「1988」はKENTAが作詞作曲を手がけ、編曲はWANIMA名義。リリース表記は2023/10/11で、アルバム『Catch Up』の3曲目に配置されています。
YouTubeでもアルバム収録曲として公開されており、作品としての“公式の入口”が複数用意されている印象です。
この曲は、サウンド面では前へ押し出す推進力が強い一方で、歌詞は「うまくいかない日」「白紙になる予定」といった“躓き”から始まります。つまり最初からキラキラした成功譚ではなく、立て直しの物語として設計されているのがポイントです。
タイトル「1988」は何を指す?“生まれ年”と“すべての始まり”の二重構造
歌詞には短い英語フレーズとして “I was born in 1988” が登場します。
ここから素直に読めるのは、「1988=語り手の生まれ年(原点)」という解釈。けれど、この曲の肝は“年号そのもの”よりも、年号に背負わせた意味にあります。
- 原点回帰(スタート地点の確認)
物事が崩れた日、心が折れそうな日ほど「自分はどこから来たのか」に戻る。その“戻り先”を、年号でガツンと提示している。 - 再出発の起点(いまを作り直す宣言)
予定が白紙になった“今日”を、もう一度「始まりの日」に変えてしまう。だから1988は過去の記念日というより、**“始め直すための合言葉”**に近い。
数字が固有名詞として強いぶん、聴き手それぞれが「自分の1988(=自分の原点)」を重ねやすいタイトルになっています。
歌詞全体のテーマ:雨の日=白紙になった予定から、前に進むまでのストーリー
歌い出しは“曇り空/Rainy Day/予定が白紙”という状況説明。
ここで描かれるのは、努力不足というより理不尽に崩れる日常です。だからこそ、その後に続くメッセージが効いてきます。
この曲の流れをざっくり整理すると、
- うまくいかない日(雨・白紙)
- 別れや終わりを引きずらない(過去の処理)
- 恐れず進む(生き抜く宣言)
- 目に見えない価値を讃える(人生観の提示)
- 赦しと忘却、そして“1988=始まり”へ着地
という構成。落ち込ませたまま終わらず、感情の整頓 → 行動の宣言 → 価値観の再確認まで一気に運びます。
フレーズ考察①:「またさよならから始まる/振り向かないで」別れを“再出発”に変える言葉
この曲は“さよなら”を悲劇として固定しません。むしろ、別れは次の章の始まりで、振り返り続けるほど足が止まる——そんな運動学がある。
ここがWANIMAらしいのは、感傷の肯定はするのに、そこに住み着かないところ。
「別れた事実」は変えられない。でも「別れの意味」は変えられる。そう言い切ることで、聴き手の“次の一歩”を作るフレーズになっています。
フレーズ考察②:「悪い思い出にはしないで/過ぎた事にカッとしないで」後悔との距離感
失敗や別れがしんどいのは、「出来事」よりも「自分の解釈」が心を削るから。
このパートは、過去を美化しろと言っているのではなく、“過去に対する自分の態度”を整えようと促しています。
ポイントは“怒りの反射”を止めること。
カッとなるのは自然だけど、そのまま握りしめると、今日の自分が過去に支配される。だから「悪い思い出にしない=意味づけを変える」へ進む。ここで曲は、再出発の準備運動を終えます。
フレーズ考察③:「進む為には恐れないで/何が何でも生きて立って」“生存宣言”としてのサビ
サビは一気に、精神論ではなく生存の宣言に寄っていきます。
“勝つ”でも“叶える”でもなく、まず“生きて立つ”。ここが強い。
- うまくいく保証はない
- でも、立っていれば次が選べる
- 立てない日は、立つまでの時間を許せばいい
このサビは、努力を煽るよりも先に「生存=価値」と置くので、しんどい時ほど刺さりやすい言葉になっています。
フレーズ考察④:「目には見えないものほど…買えない」お金で測れない価値の賛歌
中盤で歌詞は“価値観”の話に入ります。目に見えないものほど足りなくて、きっと買えない——だから感じて讃えよう、という流れ。
ここで言う“目に見えないもの”は、たとえば信頼、時間、健康、仲間、心の余裕。
「買えない」からこそ、失った時に初めて気づく。だから先に讃えておこう、という人生観がこの曲の背骨です。
雨の日(白紙の日)に効くのは、まさに“数字にできない価値”を思い出させてくれるからだと思います。
英語パートの意味:「Forgive and Forget / It started in 1988」が効かせる余韻
終盤に出てくる “Forgive and Forget” と “It started in 1988” は、曲の結論に近い部分。
ここで“赦しと忘却”が出るのは、過去の自分や他人への怒り・後悔を手放して、もう一度スタートを切るため。
そして“1988”が回収されることで、メッセージはこうまとまります。
- 赦して、手放して
- それでも人生は続く
- 始まりはいつだって自分で作れる(=1988)
英語にすることで、少し距離が生まれて“標語”っぽく聞こえるのも上手いところ。感情の沸騰ではなく、行動に落ちる言葉になります。
『Catch Up』の中で読む「1988」:WANIMAが“原点”を言い直す曲としての位置づけ
公式サイトのトラックリストでも「1988」は『Catch Up』の序盤、3曲目に置かれています。
アルバムタイトルが“Catch Up(追いつく/取り戻す)”であることを踏まえると、「1988」は“取り戻すべきもの=原点”を示す役割を担っているようにも読めます。
つまりこの曲は、アルバムの途中で感動的に効かせるバラードではなく、作品全体のテーマ(取り戻す・追いつく)を最初に提示する宣言曲に近い立ち位置。
だからこそ、雨の日から始めて「赦し」「生存」「価値観」「始まり」までを短距離走で詰め込んでいるのだと思います。
まとめ:wanima「1988」の歌詞が伝える意味
「1988」は、年号を使いながら本質的には**“原点に戻って、始め直す”**歌です。
予定が白紙になった日、過去に腹が立つ日、別れを引きずる日——そんな時に、
- 過去の意味づけを変える
- 赦して手放す
- まずは生きて立つ
- 目に見えない価値を讃える
- 始まりは自分で作る(=1988)
という順で、心を立て直してくれる。
もし今あなたが「何も進んでない気がする」と感じているなら、1988を“あなたの原点の数字”に置き換えて聴いてみてください。曲のタイトルが、ただの年号じゃなく“再起動ボタン”に変わるはずです。


