「Philosophy」は“18祭”で生まれた共感の歌
「Philosophy」は、NHKの特別番組「18祭」のために[ALEXANDROS]が書き下ろした楽曲です。「18祭」は、18歳世代の若者たちとアーティストが一緒に作品を作り上げるプロジェクトであり、この曲も彼らの実体験や思いを元に生まれました。
実際に、楽曲制作にあたり[ALEXANDROS]は18歳の若者たちの声を直接聞き、それぞれの悩みや葛藤、夢や不安を取り入れました。そのため「Philosophy」の歌詞には、単なる応援歌ではない、生々しい現実とリアルな言葉が散りばめられています。理想と現実の間で揺れる若者たちに寄り添うような内容が特徴です。
歌詞冒頭『何回やっても失敗…』から伝わる挫折と笑顔
歌詞は「何回やっても失敗だ それでもまたTryだ」と、挫折の連続から始まります。この一節は、繰り返される失敗の中でも何度でも挑戦を続ける若者の姿勢を描いています。続く「泣きながら笑った それでこそMy Life」というフレーズからは、泣くことと笑うことが同時に存在する矛盾が、まさに人生そのものだという前向きな諦観が読み取れます。
このように、表面だけのポジティブではなく、「うまくいかない自分も受け入れよう」という、深い共感を呼ぶメッセージが込められています。失敗してもいい、感情を押し殺さなくてもいいという“許し”が、リスナーの心を打ちます。
「マイナスの感情はマイナスで×ればいいよ」の本質とは
「マイナスの感情はマイナスで×ればいいよ」は、一見するとユーモアを感じさせる表現ですが、実はとても深い哲学が込められています。マイナス同士を掛け合わせればプラスになるという数学的な論理を、感情に置き換えているのです。
これは、ネガティブな気持ちを無理にポジティブに変換するのではなく、ネガティブを認め合うことで前に進む力に変えようというメッセージと解釈できます。現代社会では「前向きであること」が強調されがちですが、この曲はそうした風潮に対して、「そのままの自分でもいいんだ」と語りかけてくれます。
「目線だけ上げて睨む方が僕らしいや」で示す自己主張
「下を向いたまま 目線だけ上げて睨む方が僕らしいや」というフレーズは、自己主張の形をユニークに描いています。無理に顔を上げて笑顔を作る必要はない、むしろ不器用でも自分らしさを貫く方が価値があるというメッセージです。
[ALEXANDROS]のVo.川上洋平は、インタビューでも「かっこ悪い自分もさらけ出していい」と語っており、この曲でもその姿勢が反映されています。「前を向け」という単純な励ましではなく、「自分のやり方で向き合えばいい」という優しい背中の押し方が、多くのリスナーの共感を呼んでいます。
「僕の哲学は揺れ続けるだろう」に込められた柔軟性
ラストのフレーズ「僕の哲学は揺れ続けるだろう」は、この曲全体の核心とも言える一節です。哲学とは本来「不変の信念」と思われがちですが、この曲ではむしろ「揺れ続ける」ことこそが哲学であると示しています。
これは、自分自身の価値観や考え方が日々変化していくことを受け入れる柔軟性の重要さを説いています。特に10代・20代の若者にとって、「揺れている自分=未熟」ではなく、「揺れるからこそ生きている」と捉える視点は、とても前向きで力強いものです。
✨まとめ
『Philosophy』は、若者たちの不安や葛藤、そして希望を[ALEXANDROS]らしい哲学で優しく包み込んだ楽曲です。挫折やマイナス感情、揺れ動く心――それらを否定せず、むしろ肯定しながら進むことの大切さを伝えています。「自分らしさ」を押し殺さずに生きる強さをくれる一曲として、多くの人の心に寄り添い続けています。