【ワタリドリ/[Alexandros]】歌詞の意味を考察、解釈する。

「ワタリドリ」は、[Alexandros]が2015年3月18日にリリースした10枚目のシングルです。

この曲は映画「明烏」の主題歌として使用され、またアサヒビールのCMソングとしてもおなじみです。特筆すべき点は、軽快なテンポと躍動感あふれるサウンド、さらに疾走感ある歌詞です。

この「ワタリドリ」の歌詞の意味を追求しつつ、[Alexandros]の今後についても考察していきたいと考えています。


I wanna fly so high
Yeah, I know my wings are dried
「翼仰げば」って人は云う

その向こうにあるは無情
飛べる者 落ちる者

ボーカルの洋平さんは、9歳から14歳までシリアで過ごし、地元の国際学校に通っていただけあって、英語が得意です!(本人によると中東のアクセントが少し混ざっているそうですが…)

この文脈を日本語で表現すると、「私は高みを目指したいけれど、翼はまだ乾いている」

つまり、理想の自分を追い求めたり、夢を抱いているけれど、その目標に向かうための準備がまだ整っていない(実力や能力がまだ充分ではない)ということですね。

人々は「翼を広げて飛べ」と励ましの言葉をかけることがありますが、その裏には飛べる人と飛べない人が現れる過酷な現実が待ち受けているという意味もあるのでしょう。

誰も見てない
気にも留めない
それでも飛び続けた

傷ついた言葉乗せ
運びたいから

自分の翼はかれているけれど、それでも飛び続けました。

その動機は「傷ついた言葉乗せ 運びたいから」。

以前自分に投げかけられた傷ついた言葉や経験。
それを心に刻んだまま前進する、という意味ですね。

もしかしたら、「乾いた翼」は「傷ついた翼」を指しているのかもしれません。

そのような感情を内に秘め、誰にも見られず、気に留められず、孤独な大空を飛び続けます。

追いかけて 届くよう
僕等一心に羽ばたいて
問いかけて 嘆いた夜
故郷(まち)は一層 輝いて

ワタリドリの様に今 旅に発つよ
ありもしないストーリーを
描いてみせるよ

サビの部分では、情熱が満ち溢れるフレーズが続きます。

前を走るリーダーを追いかけて、全力で飛び続けます。

しかし、時には、「これで良いのだろうか?」と疑問に思う日々(夜)がやってきます。

そのような瞬間に、故郷であるホームタウンは温かく輝き、心を温めます。

おそらく、安らぎを求めたくなる気持ちもあるかもしれません。

とは言え、その感情を振り切って、今、「旅」に出発します。

未来に存在しない物語を描き出す、言い換えれば、驚異的なことを成し遂げる…。

飛べる者もいれば、転ぶ者もいる、容赦のない世界かもしれませんが、私たちは自分たちの夢を実現するために高みを目指し、ワタリドリのように旅立ちます…。

このように、1番の歌詞を解釈してみました。


I wanna fly so far
away with my guitar
「一人じゃない」って人々は歌う

間違いじゃない 理想論でもない
ただ頼って生きたくはない

2番の冒頭、英語のフレーズを直訳すると、「ギターを手に持って遠くへ行きたい」という意味になります。

アーティストはギターや歌という武器を持って、「君はひとりじゃない」「大丈夫だよ」と励ましてくれます。

ただ、そのサポートに「依存」するのではなく、人々の「励まし」は単なるきっかけに過ぎないかもしれません。
最終的には、自身がその「励まし」を心に刻んで、自分の問題を解決し、生き抜くことが必要かもしれません。

そのような観点で考えることができます。

誰も聴いていない
気にも留めない
それでも歌い続けた

傷ついたあなたを
笑わせたいから

1番のBメロの歌詞で、傷ついたのは「自分」であると解釈しましたが、ここでは傷ついているのは「あなた」です。

たとえ誰も耳を傾けてくれなくても問題ありません。
しかし、「あなた」を笑顔にしたい(幸せにしたい)ために、歌い続けています。

つまり、1番では自分のために(高く)飛び続ける一方、2番ではあなたのために(遠くまで)飛び続ける(歌い続ける)という対照が表れています。

追い風 届けるよ
僕等一心に羽ばたいて
遠い過去を 背負ってた
あなたを未来へ運ぶよ

ワタリドリの様に今 群れをなして
大それた四重奏を
奏で終える日まで

2番のサビの部分ですが、遠くまで飛び続けるというフレーズは、あなたを過去から未来へ導くことを意味します。

つまり、歌という追い風が、あなたに活力を与え、前進する勇気を与えるきっかけとなれば素晴らしいと言えます。

そして、ワタリドリのように集まって奏でる「四重奏」。

そう、これはまさに[Alexandros]のメンバーのことを指しています。

私たちが奏でるメロディーが、少しでも「あなた」の力になれば・・・このように解釈することができます。

All this time we come and we grow
Now it’s time that we should go
But we both know that this is for sure
It’s not the end of the World

Well, see you one day

「ここまで来た道、成長の軌跡。」

「今、新たな旅の始まりが訪れた。」

「ただし、これが最後ではないと、お互いに知っている。」

「いつか再び出会うその日まで。」

“We”を、[Alexandros]のメンバーと捉える代わりに、「別れるべき二人」と考えたところです。

追いかけて 届くよう
僕等一心に羽ばたいて
問いかけて 嘆いた夜
朝焼け色に染まっていく

ワタリドリの様にいつか 舞い戻るよ
ありもしないストーリーを
いつかまた会う日まで

前のフレーズで解釈した「別れるべき二人」とは、ここでの言葉を通じて表現されたのは、自己の変遷です。

この箇所では、ワタリドリのようにいつか帰ってくることを歌っています。

言い換えれば、「別れるべき二人」とは、今ここにいる自分(僕等)と、これから旅立つ自分(僕等)です。

これまでの日々の悩みや嘆きに別れを告げ、朝日が明るい光を差し込み、空が朝焼け色に染まるようにしています。

「さあ、旅立ちの時」

[Alexandros]はこれまでさまざまな活動をしてきましたが、さらなる高みを目指して旅立つ。
ワタリドリのように。
そして、いつの日かまたこの場所に戻ってくる。

このように、歌詞を捉えてみました。