すでに日本を代表するアーティストとも言える「YOASOBI(ヨアソビ)」ですが、そんな彼らが2021年7月2日に発表した『三原色』もそれまでの楽曲同様に話題となりました。
キャッチャーなメロディーはもちろん、特にその共感度の高い歌詞とストーリーは多くの人の心を揺さぶりました。
この記事では、そんな【三原色/YOASOBI】の歌詞の意味を考察、解釈していきたいと思います。
『三原色』の原作ともなった小説『RGB』はどんな物語?
YOASOBIがリリースした『三原色』は、『RGB』という小説を基に作られた曲です。
『RGB』は、脚本家の小御門優一郎氏が書き下ろした小説です。
些細なことがきっかけで小学生以来会わなくなってしまった3人の幼馴染たちが大人になって再会する物語です。
3人は光の三原色である「RED」「GREEN」「BLUE」の頭文字であるR、G、Bと言う名前が付けられており、その色彩を活かしながら作品が進められていきます。
大まかなストーリーとしては、それぞれが思っていた疎遠になってしまった理由は思い込みの違いだったことが分かり、盛り上がった3人はあの頃のように楽しい気持ちで朝まで遊び明かすという内容です。
非常に共感できる部分も多く、所々に「エモい」要素が散りばめられているので、とても素晴らしい小説になっています。
短編小説になっているので、ぜひ『RGB』を読んでから『三原色』を聴いてみましょう。
三原色の歌詞の意味を考察、解釈
まずは疎遠になってしまった3人の関係が、Bの呼びかけによって動き出す様子が描かれていきます。
サビ、Aメロ、Bメロ
どこかで途切れた物語
僕らもう一度その先へ
たとえ何度離れてしまっても
ほら繋がっているそれじゃまたね
交わした言葉
あれから幾つ朝日を見たんだ
それぞれの暮らしの先で
あの日の続き
再会の日待ち合わせまでの時間がただ
過ぎてゆく度に胸が高鳴る
雨上がりの空見上げれば
あの日と同じ様に
架かる七色の橋
いきなりサビから始まる爽快感も魅力的ですが、「久しぶりの再会」にドキドキしている様子が歌詞から読み取ることができます。
この部分の歌詞は原作の描写と同じになっており、3人が待ち合せの場所に向かう途中で同じ虹を見つめる様子が歌詞を読むだけでイメージできますよね。
サビ
ここで
もう一度出会えたんだよ
僕ら繋がっていたんだずっと
話したいこと
伝えたいことって
溢れて止まらないから
ほらほどけていやしないよ、きっと
巡る季節に急かされて
続く道のその先また
離れたってさ
何度だってさ
強く結び直したなら
また会える
ここからは再会した3人の心情を読み解くことができます。
久しぶりに会ったことで、話したかった事や気になっていたことなどが溢れるように言葉になって出てきます。
結婚話や衝撃のカミングアウトなど、原作では様々な話が飛び出しますが、歌詞では「3人は物理的な距離が離れていても心のどこかで繋がっていた」という部分を強調しています。
原作の「RGB」では、SNSを通じて3人がお互いの存在を認識しており、そういった意味でも「繋がり」がより心に感じられたと言えるのかもしれません。
2番
Ah 何だっけ?
思い出話は止まんないね
辿った記憶と回想
なぞって笑っては
空いた時間を満たす
言葉と言葉で気づけばショートカット
明日のことは気にせずどうぞ
まるで昔に戻った様な
それでも
変わってしまったことだって
本当はきっと幾つもある
だけど(Oh)今日だって(Oh)
あっけないほど
あの頃のままで
ここからはYOASOBIでは珍しいラップパートに入っていきます。
ikuraさんがここまでテンポよく心地よいラップを歌えるのは意外ですよね。
余談ですが、『三原色』はEnglishバージョンも公開されていてもちろんこのラップパートもすべて英語の歌詞となっているのですが、ikuraさんは日本人とは思えぬ流暢なラップを披露しています。
それもそのはず、ikuraさんは幼少期にシカゴに住んでいたことがある帰国子女なのです。
歌詞では、3人の止まらぬ会話によってはしゃいだり笑いあったりする場面をあえてラップパートにすることで、3人の止まっていた時間が一気に動き出した様子を上手く表現しているのです。
会わない間に変わってしまった物事はたくさんあるのは当然だけど、3人が揃えばあの頃の続きのような感覚でいられるという心情を「あっけないほどあの頃のまま」とオシャレに表現しています。
大サビ前
気づけば空は白み始め
疲れ果てた僕らの片頬に
触れるほのかな暖かさ
あの日と同じ様に
それぞれの日々に帰るねえここまで歩いてきた道は
それぞれ違うけれど
同じ朝日に今照らされてる
また重なり合えたんだ
動き出した時計はすぐに止められるはずもなく、朝まで遊び続けた3人。
「気づけば空は白み始め」と言う歌詞から、すでに夜が明け始めていることがわかります。
話したいことも話せた満足感からの心地よい疲れを感じながらも、再び3人それぞれの生活に戻っていくことになります。
再会できた喜びを嚙みしめるような歌詞が印象的です。
大サビ
どこかで途切れた物語
僕らもう一度その先へ
話したいこと
伝えたいことって
ページを埋めてゆくように
ほら描き足そうよ、何度でも
いつか見上げた赤い夕日も
共に過ごした青い日々も
忘れないから
消えやしないから
緑が芽吹くように
また会えるから
物語は白い朝日から始まる「また明日」
再会する前に見た虹はそれぞれの色が重なり合っておらず、3人それぞれが違う考え方を持っていました。
しかし、「白い朝日」という歌詞からも分かるように、3人は再び重なり合い、同じ気持ちになることができたのです。
REDとGREEN、BLUEという三原色を合わせると「白(WHITE)」になるという「加法混色」と、3人が打ち解けて白い朝日を浴びる、という何ともオシャレな作りとなっていたことがこの部分で分かるのです。
「いつか見上げた赤い夕日も」
「共に過ごした青い日々も」
「緑が芽吹くように」
この3つの歌詞のように、ちゃっかりと「赤青緑」と日本語の色で3人を表現するというかなりオシャレな歌詞は、歌詞好きな人にはたまらない演出と言えるでしょう。
まとめ
今回は、【三原色/YOASOBI】の歌詞の意味を考察、解釈してきました。
誰しも経験したことのあるような「親しい人との別れや再会」を、三原色に例え上手に表現したこの楽曲は、多くの人が共感できるような歌詞が特徴です。
「また明日」という「関係性の継続」を示唆する言葉で終わらせているのもグッときますよね。
テンポの良いメロディーも魅力的ですが、ぜひもう一度歌詞を見ながら聴いてみてはいかがでしょうか?