RGB(赤・緑・青)に込められた「幼なじみ3人の再会」モチーフ
YOASOBIの楽曲「三原色」は、原作小説『RGB』に基づいて制作されています。この物語では、幼なじみの3人がそれぞれの人生を歩みながら、再び交差していく様子が描かれています。楽曲タイトルにもなっている「三原色(RGB)」は、3人それぞれを象徴する色であり、彼らの個性と関係性の象徴でもあります。
一度離れてしまった友情が、時間を経て再び交わる。その過程には葛藤や不安もありますが、それ以上に「かつて確かにあった絆」が音楽という形で呼び起こされていきます。歌詞全体に通じるテーマは、「時間を越えても消えないつながり」です。
三原色という色象徴が映す“つながり”と“個性の混ざり合い”
光の三原色(Red, Green, Blue)は、それぞれが独立して輝くと同時に、重なり合うことで新たな色、最終的には「白」を生み出します。この色の性質は、「三原色」というタイトルが示すもうひとつの深層テーマを表現しています。
3人が持つ異なる価値観や経験は、たとえぶつかり合うことがあっても、混ざり合うことで新しい何かを生む。その象徴が「白い朝日」として歌詞のラストに登場するのです。つまり、「三原色」というのは、“再び一つになれる”ことを信じる希望の比喩なのです。
歌詞に散りばめられた“青春の甘酸っぱさと再会の高揚感”
楽曲の随所には、青春の記憶や感情を呼び起こす描写が多く登場します。「胸が高鳴る」「架かる七色の橋」などのフレーズは、再会の場面における高揚感や不安を同時に描いており、聞き手の胸にも熱く響きます。
また、YOASOBIらしいストーリーテリングの中で、時間と距離を越えた再会の奇跡が、鮮やかな言葉と音で再構築されています。過去の思い出に触れながら、現在の自分がそれをどう受け止め、未来へどう向き合っていくかが、歌詞の奥底に潜んでいます。
「赤」「青」「緑」それぞれの色が描く思い出と情景
「赤」は情熱や夕焼けを、「青」は静けさや友情の安定感を、「緑」は成長や自然のやわらかさを、それぞれ象徴していると解釈できます。これらの色が、単なる視覚的なイメージにとどまらず、3人の関係性や心情を色濃く描き出す手段として活用されています。
歌詞の中に登場する「赤く染まった空」や「青い日々」、「芽吹く緑」などの言葉は、それぞれのキャラクターの過去や現在、そして未来を視覚化しており、聴き手の想像力を刺激します。まるで1枚の絵画を描くように、色がストーリーを紡いでいるのです。
白い朝日のラストフレーズが示す“新しい始まり”と再出発のメッセージ
楽曲の最後に登場する「物語は白い朝日から始まる/また明日」という一節は、YOASOBIが最も伝えたかったメッセージの核心部分とも言えます。再会によって生まれた感情や再確認された絆は、単に過去を懐かしむだけでなく、新たな一歩を踏み出すきっかけになるのです。
“白”という色は、何色にも染まる可能性を持つ「始まりの色」です。つまり、ここから先の物語は自由であり、まだ何も決まっていない。再び繋がった3人が、それぞれの道を歩みながらも、「また明日」と言える関係でいられることの希望。それがこの曲の結末であり、私たちにも「新しい朝」が訪れるというポジティブな余韻を残します。
総まとめ
YOASOBI「三原色」は、色をモチーフにした深い物語性と、人とのつながりの美しさを描いた一曲です。赤・青・緑という三原色は、個々の個性であり、同時に混ざり合うことで「未来」や「希望」という白に変わる可能性を秘めています。
歌詞を読み解くことで、自分自身の人間関係や過去の記憶にも重ねられる普遍性があり、多くのリスナーに響く作品に仕上がっています。再会、絆、そして未来へ進む勇気——それがこの楽曲の本質です。