【リンジュー・ラヴ/マカロニえんぴつ】歌詞の意味を考察、解釈する。

人気急上昇中の若者に支持されているロックバンド「マカロニえんぴつ」が、2023年1月に楽曲「リンジュー・ラヴ」の配信をスタートさせました。
タイトルは「臨終」を連想させますが、この曲はどのようなストーリーを歌っているのでしょうか?
歌詞の意味について考察してみます。

亡くなった恋人の心情

音楽大学を卒業したメンバーで構成されるバンド、「マカロニえんぴつ」は、最近ではアニメの主題歌やCMソングなどの仕事が増え、幅広い層からの支持を受けています。
その彼らが、2023年1月にリリースした楽曲が『リンジュー・ラヴ』です。
この曲は、人気俳優の松山ケンイチ、佐藤健、井上真央が出演するTBS系列の金曜ドラマ「100万回言えばよかった」の主題歌として特別に書き下ろされました。

楽曲の作詞作曲を手がけたボーカルのはっとりは、「『もう戻れない恋』ではなく、『もう触れられない愛』というイメージが浮かんできました」とコメントしました。
言い換えると、この曲ははっとりがドラマの脚本から受けた「もう触れられない愛」というインスピレーションがテーマになっているようです。

最後の夜になりそうな気がして
あなたの背中に手を振ってた
どうかこのまま、お願い、振り返らないで
痛くて優しい最初の愛が抜けない

曲の冒頭にある歌詞です。
“離れたくないけれど、離れるしかない”という、主人公の無念さや寂しさが伝わってきます。
ちなみに、このドラマの主人公は、最愛の恋人を失った女性です。
それを踏まえて、次の歌詞を見てみましょう。

Oh my goodness かつてないほどフィットです
もう触れられない。そんなリンジュー・ラヴ

ドラマの内容と、「もう触れられない」という歌詞を考慮すると、楽曲のタイトルである「リンジュー」が「臨終」を象徴している可能性がありますね。

何度もあなたの名前を 届かない声でも呼びたい
まだ死ねない!抱き合って感じたい
「愛していたんだよ」って今さら遅いよなぁ
哀愁のフォークロックも、ディスコなユーロビートも
泣き止んだ夜にまた聴かせて?

亡くなった最愛の恋人が幽霊として登場するドラマの中で、この歌詞が描いているのは恋人が抱く心情かもしれませんね。
そのため、「もう触れられない」という歌詞は、亡くなった恋人の心情を表している可能性も考えられます。

自らの本来の存在すべき場所

Hey, god bless you! おれのせいだとブレず言う
もう見つけ合えない。そんなリンジュー・ラヴ

ドラマの文脈を考えると、この曲の主人公は、一人称を「おれ」として使っており、亡くなった恋人である直木の可能性が高そうです。
また、「god bless you」という言葉は、別れの際に使われることがありますね。
恋人への別れの挨拶として、「さよなら」という意味合いが含まれているかもしれません。
一方で、彼女の側は、「離れてしまうのはあなたが亡くなったからだ」といった言葉で、悲しみを恋人のせいにしている可能性も考えられますね。
このようなやりとりがもうできないことによる虚無感が、2行目の歌詞から感じられるのかもしれません。

最後の夜だとするなら ふざけない声で叫びたい
まだ消えない!燃えたって残る想い
「愛していたんだよ」って今さら遅いよなぁ

「燃えたって」は「火葬されたって」という意味になるのでしょうか?
この歌詞も、同曲の主人公が亡くなった恋人の視点である可能性を示唆しているようですね。

ブランコの星空 ベタベタの鍵穴
淋しそうなアパート 渡せなかった約束のカセット
「ごめんね、もう待てないや」

最後のセリフがどちらの登場人物のものかは確実ではありませんが、もし主人公が亡くなった恋人であると仮定すると、「現実世界で生きる彼女のことをもう待てない」という意味になるかもしれませんね。
主人公は自らの本来の存在すべき場所に移動するべきタイミングにいるのかもしれません。

お互いの思いやりが伝わる様子

何度もあなたの名前を…

何度もあなたの名前を 届かない声でも呼びたい
まだ死ねない!抱き合って感じたい
「愛していたんだよ」って今から遅いかなぁ?

「届かない声」という歌詞は、主人公が既にこの世にいないことを示唆しています。
愛を伝えたいという気持ちがありながらも、もうそれができないという切なさが非常に強く感じられます。

最後の夜にはやっぱりあなたの声で呼ばれたい
まだ死ねない!抱きしめて伝えたい
ありがとうぜんぶ。どうかずっと元気でいてね
僕のロックは 忘れた頃にまた聴かせてあげる

どうかこのまま、お願い、振り返らないで
あなたの背中に手を振ってた。

主人公がロックミュージックを好んでいた可能性がありますね。
共に過ごした時間への感謝や、ほのかに未来を予感させるような歌詞が心に深く響きます。
そして特に感動的なのは最後の2行です。
もう一度向き合ったら、互いに離れられなくなってしまうかもしれないという心情が伝わってきます。
「振り返らないで」という言葉が本当に深い哀しみを感じさせます。
お互いの思いやりが伝わる様子から、はっとりが言うように、「もう戻れない恋」という表現よりも、「もう触れられない恋」という言葉がより適切に感じられますね。

様々な視点から楽しめる

これまで、マカロニえんぴつの楽曲『リンジュー・ラヴ』について解説しました。
他にも「実際には恋人を亡くした女性の視点かもしれない?」など、様々な視点から楽しめる一曲です。
考察しながら聴いてみると面白いでしょう。