【猫/DISH//】歌詞の意味を考察、解釈する。

「猫」という曲は、ダンスロックバンド・DISH//によって2017年に公開されました。
2020年には、「THE FIRST TAKE」という番組で熱唱され、再び注目を集めました。
この楽曲は、「別れ」について歌われており、その解釈について考察してみましょう。

昨日に何があったのか

『猫』という楽曲は、DISH//のファンから早くから「名曲」と称されています。
この曲は、2017年の夏にリリースされた10枚目のシングル『僕たちがやりました』のカップリング曲として発表されました。

この素晴らしい楽曲が広く人気を博したきっかけは、アーティストのパフォーマンスを編集なしの一発撮りで収めたYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」です。
2020年3月に、ボーカルの北村匠海が出演し、『猫』を披露したことで日本中で爆発的な人気を獲得しました。

興味深いことに、『猫』の作詞作曲は大人気アーティストであるあいみょんが手がけています。
温かくも切なさを感じるメロディーに乗せて歌われている『猫』の意味について、考察していきましょう。

夕焼けが燃えてこの街ごと
飲み込んでしまいそうな今日に
僕は君を手放してしまった

明日が不安だ とても嫌だ
だからこの僕も一緒に
飲み込んでしまえよ夕焼け

だけどもそうはいかないよな
明日ってウザいほど来るよな
眠たい夜になんだか笑っちゃう

『猫』の歌詞を読むと、主人公の心情が一人語りで表現されています。

歌詞の内容では、大切な人との別れを迎えた当日の心情が描かれています。
未来の生活が不安で、その大切な人がいない明日を想像することが辛く感じられます。
主人公は、明日が来なければいいのに、現実として明日はやってくることを受け入れられない様子がうかがえます。

これらの歌詞から、主人公が大切な人との別れを望んでいなかったことが伝わってきますね。

家まで帰ろう 1人で帰ろう
昨日のことなど 幻だと思おう
君の顔なんて忘れてやるさ
馬鹿馬鹿しいだろ、そうだろ

注目すべき点は、歌詞に登場する「昨日」に何らかの出来事があったということです。

続く歌詞を見ていきましょう。

「君の膵臓をたべたい」とのリンク

君がいなくなった日々も
このどうしようもない気だるさも
心と体が喧嘩して
頼りない僕は寝転んで
猫になったんだよな君は
いつかフラッと現れてくれ
何気ない毎日を君色に染めておくれよ

歌詞のサビでは、主人公が大切な「君」を失ってしまい、そのことに失望している様子が描かれています。

特に興味深いのは、「猫になったんだよな君は」というフレーズです。
このフレーズからは、猫の習性に注目すると仮説が生まれます。
猫は死を察知すると姿を消すという習性があります。
したがって、『猫』の歌詞は失恋による別れではなく、死別の可能性が考えられるのです。

さらに、「昨日のことなど」というフレーズを考察すると、「昨日のこと」は「君」が亡くなってしまったことを指しており、「今日」は葬儀の後かもしれません。

もちろん、この解釈はやや突飛なものかもしれませんが、実はあいみょん自身がこの歌詞について映画「君の膵臓をたべたい」からのインスピレーションを受けたと語っています。
この映画は、主人公と亡くなった旧友との思い出を描いたものであり、同曲も死別を歌っている可能性が考えられるのです。

夕焼けが燃えてこの街ごと
飲み込んでしまいそうな今日に
僕は君を手放してしまった

若すぎる僕らはまた1から
出会うことは可能なのかな
願うだけ無駄ならもうダメだ

確かに、歌詞からは2人が若いことがうかがえますね。
その点も、映画の内容と関連しているように考えられます。

叶わない願い

家までつくのが こんなにも嫌だ
歩くスピードは
君が隣にいる時のまんま
想い出巡らせ
がんじがらめのため息ばっか
馬鹿にしろよ、笑えよ

君がいなくなった日々は
面白いくらいにつまらない
全力で忘れようとするけど
全身で君を求めてる
猫になったんだよな君は
いつかまたあの声を聞かせてよ
矛盾ばっかで無茶苦茶な僕を
慰めてほしい

主人公はいつも「君」と同じ歩幅で歩いていたことから、彼(彼女)のことを深く思っていたことがうかがえます。

彼(彼女)を忘れようとしても、それができないという想いが描かれており、喪失感を感じるだけでなく、失恋以上の切なさも伝わってきます。

君がもし捨て猫だったら
この腕の中で抱きしめるよ
ケガしてるならその傷拭うし
精一杯の温もりをあげる
会いたいんだ忘れられない
猫になってでも現れてほしい
いつか君がフラッと現れて
僕はまた、幸せで

主人公は、「君」がどんな状態であっても受け入れようとする思いが歌われています。

しかし、それでも別れの原因によっては叶わない場合もあります。

具体的な別れの内容は明示されていませんが、もし失恋が原因であれば、「現れてほしい」ではなく、「戻って来てほしい」「振り向いてほしい」という表現が使われるかもしれません。

最後の2行では、心からの願いが吐露されたような感じがあり、心に深く響きますね。

この歌詞から、みなさんはどんな別れが歌われていると思われますか?
ぜひそれぞれの考えを思い巡らせてみてください。

他の解釈も可

この記事では、「死別」を仮説として解釈しましたが、『猫』には他の解釈も楽しめる要素があります。

例えば、猫の「気まぐれさ」にフォーカスして考えると、ずっと思っていた「君」が突然別の人のところに行ってしまったというような失恋ソングにも聞こえますね。

オリジナルの楽曲の世界観を楽しみつつ、ぜひご自分でも考察してみてください。
新たな発見があるかもしれませんよ。