【五明後日/DISH//】歌詞の意味を考察、解釈する。

DISH//(ディッシュ)と山崎まさよしがコラボレーションして創り上げた、ドラマ『ザ・トラベルナース』のテーマソング『五明後日』は、遺言を題材にしています。

この曲は、人間関係の重要性や生き方についてのメッセージを含む歌詞を通じて、深い意味を探求しています。

涙の中の希望と回復: 「五明後日」に込められたメッセージ

2022年11月3日に、DISH//は『五明後日(ごあさって)』という新曲を配信リリースしました。

この楽曲は、彼らが敬愛するミュージシャン、山崎まさよしと共に制作したバラードである。

この曲は、岡田将生が主演を務めるテレビ朝日の連続ドラマ『ザ・トラベルナース』の主題歌として採用されました。

歌詞は、北村匠海によって執筆され、看護師の世界を描いたドラマの内容に沿って、「大切な人への遺書」をモチーフにしています。

北村は、「生命を扱う物語特有の深さやはかなさ、そして明暗を織り交ぜ、様々な感情を引き出すことができた楽曲になったと思います」と述べています。

この楽曲に込められた意味について、ファンの間では既に多くの解釈が交わされています。

諦めそうだな
ため息ばかりしては
カーテンを閉めた
手紙に影が消える

君宛なのにさ
らしくない言葉だらけ
紡いだけど
許してくれるかな

物語は、主人公が深い疲労感に包まれている様子から始まります。

彼は、社会の厳しさや絶え間ない人生の悩み、自分の運命に対する無力感に直面し、生きる希望を失いかけています。

カーテンを閉じて外界の光を遮る行為は、彼が外部の世界から自らを隔て、心を閉ざしている象徴です。

この物語の節目に登場する「手紙」は、彼が最も愛する「君」に向けて書いた遺書であることが明らかになります。

彼は心からの言葉を伝えたいと願いながらも、不本意ながら「自分らしくない言葉」で手紙を書くことになります。

手紙を読む彼女の反応を思い浮かべつつ、「許してもらえるだろうか」と彼は考えます。

こうした瞬間から、主人公の深い愛情が伝わってきます。

涙目の光が
愛でた花は
もう枯れたりしないよ
風邪気味の命が
窓を開けたよ
笑えた気がしたんだ
今日も
明日も
明後日も
明明後日も
ありがとう、ありがとう
と思う。

「涙目の光」は、主人公が涙を流しながら眺める太陽の輝きを示唆していると解釈されます。

また、「花」は生命の象徴として用いられています。

太陽が丁寧に照らすことで力強く開花する花のように、彼女の支えと愛情があったからこそ、主人公には生きる勇気が沸いてきたのだと表現されています。

「風邪気味の命」という言葉は、精神的に不調を感じる状態を暗示しており、人生の失敗やトラブルに直面した際の落胆を描いています。

誰もが時には沈みがちになるものの、通常は時間が経てば立ち直る力を見つけることができます。

しかし、中には長期間にわたり気持ちが晴れない人もおり、これがまるで「心が風邪をひいた」状態に喩えられています。

この状況を踏まえると、「風邪気味の命」は、自分自身を取り巻く世界から孤立し、生きる希望を見出しにくい状態を表していると言えます。

そんな状況の中で、彼女が心の窓を開ける役割を果たしたのです。

未来がどうなるかは誰にも予測できない中、主人公は「笑えた気がした」と表現し、その変化を信じ、感謝の気持ちを抱いています。

「五明後日」は、文字通りには明後日の次の次の日を指し、長期的な視点で生きる希望と前向きさを持ち続けることの重要性を象徴しています。

直ぐには気分が晴れなくとも、時間をかけて心境が変わっていくことへの期待が込められています。

光と影の中で見つける永遠の愛

傷を隠したよね?
バレバレさ
僕が君へ
雨を降らした
傘も差し出せなくて

「もう来なくていいのに」
心にもない石を
投げつけた
僕は僕が嫌いだ

彼女が自分の痛みを隠しているのを、主人公は直ぐに見抜きます。

彼が原因で彼女が苦しんでいるということが、「僕が君に雨を降らせた」というフレーズから伺えます。

しかし、その事実を知りつつも、彼の不慣れさは「傘を差し出せない」という表現で浮かび上がります。

歌詞の後半部では、このシーンの背景が描かれています。

この曲が医療ドラマのテーマソングであり、主人公が遺書を残していることから、彼が病気で入院している状況が想像されます。

彼女が見舞いに来た際に、彼は「もう来なくても良い」と無理に突き放すようなことを言ってしまったようです。

彼女が去った後の孤独や、病気の苦しみから解放されたいという切実な願いが、その時の彼の心情に影響を与えたのでしょう。

彼は彼女に感謝しながらも、自分の行動によって彼女を傷つけてしまったことを後悔し、自責の念に駆られています。

当て付けの光で
笑えなくても
君が居れば良い
風邪気味の命も
水を飲めば
手を伸ばせるはずなんだ
今日も
明日も
明後日も
明明後日も
好きだよ、好きだよ

時として、燦々と降り注ぐ太陽の光さえも、その強烈さが心地悪く感じられる瞬間があります。

「当て付けの光」というフレーズは、他人からの慰めの言葉がかえって心に刺さり、隠された敵意を感じ取ってしまう心理状態を表しているようです。

にも関わらず、彼女の存在があれば笑顔になれると表現する部分では、彼女への深い依存と重要性が伝わってきます。

乾いた大地に水を注ぐかのように、彼女のさりげない一言が沈んだ心に深く浸透していく様子が描かれています。

これにより、彼は次に会った時には彼女に対してより優しく接することができるだろうと期待されています。

彼の彼女への愛情は変わることなく、永遠に続くという信念が感じられます。

「好きだよ、好きだよ」と繰り返される直接的な愛情表現が、この歌の魅力を一層引き立てています。

最後の別れに込めた無尽蔵の愛と希望

花が咲いて
枯れて実を宿して
また咲いて
でももう次はないんだって
連鎖する想い出と
手を繋いでは離して
生きて
生きて
生きて
生けたら。

花は開花し枯れた後に実を結び、新たな花を咲かせますが、それは決して同じ生命が繰り返されるわけではありません。

人間の命もまた、一瞬の輝きの後には消え去るものです。

それでも、記憶は人々の心の中で継続し、次世代へ伝えられていくのです。

そのため、私たちはこの限られた時間を一人で過ごすのではなく、他人との繋がりの中で生きていきたいと願います。

「手を取り合い、また離れる」過程を経て、互いに関わり合いながら生活を送りたいという思いが、初めは自己閉鎖していた主人公の心境の変遷を物語る歌詞となっています。

泣かないで
笑ってよ
僕のいない日々で
悲しまないでよ
この空の向こう側
見ているからね
最後のラブレター
今日も
明日も
明後日も
明明後日も
ありがとう、好きだよ
またね

主人公の生涯の幕引きが刻一刻と迫っています。

彼が「泣かずに笑って」と彼女を慰めるシーンは、その哀愁がさらに心を打ちます。

さらに、彼が「私がいない未来で悲しむな」と彼女の将来を気遣う様子も見え隠れします。

彼女のそばで過ごせなくとも、遠くから見守ることを約束し、彼女が彼にもたらした幸せな笑顔でこれからも幸せに過ごしてほしいと彼は願っています。

遺書として彼女に託されたのは、「最後の愛の手紙」であり、終わりなき感謝と愛情が込められています。

そして、再びどこかで再会できることを期待し、「またね」という言葉で伝える彼の温かな心情が感じられます。

『五明後日』: 死と絆を通じた人生の再考

『五明後日』によってDISH//は、死という避けられない宿命に直面する人間の脆さと、人間関係の力からくる強さの両方を表現しているように思えます。

人生で上手く行かないことのほうが多くあるにも関わらず、支援者の存在を心から大切にし、限られた時間を全力で生き抜くというポジティブな心境を促します。

この曲とその背景となるドラマの物語を通じて、自らの生き様や人生観を改めて考え直す機会を得ることができるかもしれません。