【時代/中島みゆき】歌詞の意味を考察、解釈する。

2020年1月に公開された映画『記憶屋 あなたを忘れない』の主題歌に採用された中島みゆきの『時代』。
リリースから約50年が経過しても、この曲は色あせることなく魅力的なままです。
今回は、その楽曲の魅力に迫ってみましょう。

教科書にも載っている名曲

1975年にリリースされた中島みゆきのセカンドシングル『時代』は、今からおよそ45年前の作品ですが、多くの人々に親しまれています。
この曲は、2007年に「日本の歌百選」にも選ばれ、現在では教科書にも載っているほどの名曲です。
リリース当初から数多くのアーティストによってカバーされ、大切に歌い継がれてきました。
そして、この楽曲の力強さは今も衰えることなく健在です。
驚くべきことに、2020年に公開された映画『記憶屋 あなたを忘れない』では、主題歌としても使用されたのです。

さらに驚くべきことに、その映画で使用されたのは、中島みゆき本人が1993年に収録したオリジナルの音源です。
この事実を踏まえながら、楽曲の素晴らしさを再認識しましょう。
まずは、その曲の冒頭の歌詞をご紹介いたします。

今は こんなに悲しくて
涙もかれ果てて
もう二度と笑顔には
なれそうも ないけど

美しい声で歌われているのは、実は悲しい歌詞が織り成すものです。
しかしこの曲の重要な要素は、「今は」という部分なのです。

そっと優しく背中を押す

心が砕けて、笑顔の欠片も見当たらないほど傷ついた「今」を迎えている人々に対して、中島みゆきは温かく寄り添うような言葉をかけています。

そんな時代もあったねと
いつか話せる日がくるわ
あんな時代もあったねと
きっと笑って話せるわ

確かに、その歌詞には心が温まるメッセージが込められていますね。
中島みゆきは「頑張れ」とか「大丈夫」といった直接的な励ましの言葉を使わずに、自然と前向きな気持ちになれるような優しさを伝えています。

だから 今日は
くよくよ しないで
今日の風に
吹かれましょう

確かに、その部分も背中を強く押すような歌詞ではなく、むしろ「無理をしなくていいんだよ」という温かいメッセージが込められていますね。
辛い時に聴くと、思わず涙がこみ上げてしまいそうな感動があります。

時代はまわる

まわる まわるよ
時代はまわる
喜び悲しみくり返し
今日は別れた 恋人たちも
生まれ変わって
めぐりあうよ

おそらく誰もが一度は耳にしたことのある有名なフレーズですよね。
「時代はまわる」という言葉は当たり前のことを歌っているように思えますが、その奥には深い意味が込められています。
実際、歌詞の2行目で歌われている通り、喜びと悲しみは時代の変遷と共にやって来るものなのです。
つまり、良いことばかりが永遠に続くわけではなく、同様に悪いことも永遠に続かないということを教えてくれるメッセージなのではないでしょうか?
「今は」辛い時でも、必ずまた笑顔になれる日が訪れるという希望を感じさせてくれます。
なぜなら、時代は回るからです。

心や体に傷を抱えた人々に寄り添うようなメッセージが込められていますね。
辛い状況にある方やそうでない方も、ぜひこの曲を聴いてみてください。
きっと少しでも心が前向きになるかもしれません。