My Hair is Bad「秋めき」歌詞の意味を考察|なぜ君は絵の中で振り返るのか?

My Hair is Badの「秋めき」では、秋の気配を感じるたび、あの頃の君の姿がよみがえります。夏休み明けの教室や告白した駅をたどった先で、君は絵の中で振り返ります。思い出の中で君ともう一度目が合うようなこの場面には、過ぎた時間を手元に留めたい「僕」の願いがにじみます。

「秋めき」は、2026年9月9日発売の7枚目のフルアルバム『cats』の9曲目。作詞・作曲は椎木知仁、編曲はMy Hair is Badと柿澤秀吉(秀吉)です。 公式の収録情報・歌詞掲載ページ(歌ネット) My Hair is Bad

「秋めき」は、まだ夏が残る秋の入り口

「秋めき」は、少しずつ秋らしくなる気配を指します。夏休みが明けた教室では、日焼けした肌が目に留まります。秋が近づいたからこそ、その色が過ぎた夏のしるしに見えてくる。季節の境目で、僕はそれまでの日々を振り返ります。

ブランド名やアイシャドウまで覚えているところに、記憶の鮮明さが表れています。椎木知仁は、以前から好きだった教室を舞台に、センチメンタルな曲を書きたいと思ったと話しています。ギターを重ねず三つの音で録音し、そのシンプルさが言葉を前に出してくれたと振り返っています。 椎木知仁のインタビュー(Real Sound) Real Sound|リアルサウンド

フリスビーに届かない手と、過ぎていく9月

君が投げたフリスビーに、僕の手は届きません。そのすぐあとに9月が描かれることで、季節まで手をすり抜けていくように聞こえます。何かをつかもうとして空を切る一瞬に、あの頃を引き留められなかった感覚が重なります。

告白した駅を背に秋風が抜ける場面でも、思い出の場所と、先へ進む季節が重なります。フリスビーに届かなかった手で、今度は君の絵を描く。過ぎた日々をどう覚えておくかを、僕は自分の手で選ぼうとしているようです。

過去を振り返る僕と、絵の中で振り返る君

冒頭の「振り返る」は、僕が過去をたどる心の動きです。終盤で同じ言葉が君のしぐさに変わると、僕が見つめていた思い出の向こうから、君がふと応えてくれるように感じられます。

熟れた実の甘さまで絵に残るという表現には、風景と一緒に当時の味までよみがえる感覚があります。終盤の絵で君を包む光は色褪せていますが、君の姿はきれいに残っています。年月の経過と、あの瞬間の鮮やかさが、同じ絵に収まっているのです。

「remember me」は、君にも覚えていてほしいという願い

「僕のことを覚えていて」。この英語は、最初は履歴に、次は記念日に添えられます。最後には、僕はこの言葉を君に向けます。君の姿を描き残していた僕が、今度は自分の姿も君の記憶に残っていてほしいと口にするのです。 歌ネット

君が思い出す景色は、君だけのものです。秋の匂いがしたとき、そこに僕はいるだろうか。歌はその問いを残したまま、もう一度季節の気配に戻ります。

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