Vaundy「ずっとラブソング」歌詞の意味を考察|キャトルミューティレイションは何を表す?

Vaundyの「ずっとラブソング」は、奇妙で大きなイメージと、身近な恋心が同居する楽曲です。

とりわけ耳に残るのが、ラブソングには意外な「キャトルミューティレイション」という言葉。なぜ、愛を伝える歌にこの言葉が登場するのでしょうか。

その意味を考える鍵は、相手の心を動かしたい願いと、自分も愛されたい願いが重なっていることにあります。

この記事では、不思議な言葉や宇宙を連想させるイメージ、そして相手にも歌を求める表現から、この曲に込められた愛情のあり方を考察します。

※以下は歌詞に基づく一つの解釈であり、作者の意図を断定するものではありません。

「ずっとラブソング」はどんな曲?

「ずっとラブソング」は、2025年8月27日に配信リリースされたVaundyの楽曲です。作詞・作曲もVaundyが手がけています。member.vaundy.jp

2025年12月16日には、公式サイトでミュージックビデオの公開が告知されました。監督はVaundy本人で、小松新、マイカ・ピュ、安達祐実、Vaundyが出演しています。vaundy.jp

タイトルだけを見ると、まっすぐで親しみやすい恋愛の歌を想像するかもしれません。しかし歌詞には、その印象から大きく飛び出す言葉が登場します。

その意外性こそが、この曲を読み解く入口です。恋愛の気持ちを、なぜ日常的な言葉だけでは表さないのか。そこに注目すると、大胆な表現の内側にある切実さが見えてきます。

キャトルミューティレイションの意味を考察

本来の意味を確認する

キャトルミューティレーションとは、牛などの家畜の体が切られて死んでいるという、怪奇現象として語られてきた事例を指す言葉です。imidas.jp

宇宙人やUFOと結びつけて語られることがありますが、言葉自体が宇宙人の関与を証明するわけではありません。また、UFOが人や動物を連れ去るイメージは、厳密にはアブダクションと区別されます。www.wdic.org

この曲を読む際も、単純に「宇宙人による誘拐」という訳語に置き換えず、言葉の持つ不気味さや非日常性まで含めて考えると、表現の面白さが見えてきます。

恋の衝撃を、説明のつかない出来事に重ねている

歌の中でこの言葉が担う役割は、辞書的な意味だけでは決まりません。恋愛の文脈に置かれることで、日常の常識では説明しきれない衝撃を呼び込んでいると考えられます。

誰かを好きになると、昨日まで気にならなかった言葉や表情が、自分の一日を左右するようになります。短い会話を何度も思い返したり、相手の反応一つで気分が変わったりする。そうした変化は、本人にとっては小さな事件です。

この曲では、その感覚が途方もない大きさにまで膨らんでいるように聞こえます。

ありふれた愛情表現では届かない気持ちを、異物感のある単語に託す。その大胆さが、タイトルの親しみやすさと響き合っているのではないでしょうか。

ただし、ここを「相手を傷つけたい願望」と断定するのも早計です。本来の語義と、歌の中で生じる比喩の働きは、分けて考える必要があります。

街の消失と隕石は、恋愛とどうつながる?

歌詞に登場する街の消失や隕石のイメージは、この曲に、普段の生活が永遠には続かないという感覚を持ち込んでいます。www.uta-net.com

そこから読み取れるのは、恋が日常の見え方を変えること、そして大切な人と過ごせる時間にも限りがあることです。

告白するか迷っているとき、人は明日も同じように会えるつもりで、言葉を先延ばしにしてしまいます。けれど、その前提が崩れたらどうでしょうか。

相手に何を伝えるか、何を一緒にしたいかが、急に切実な問題になります。

この観点からすると、隕石は恋の衝撃を表す比喩とも、時間の有限さを強調する想像とも読めます。

ここで注目したいのは、壮大な出来事を想像するほど、一人の相手への気持ちが浮かび上がる構図です。

街や世界の行方を思い描きながら、意識が向かうのは目の前の相手。その大きさの落差が、愛情の強さを際立たせていると考えられます。

思い出を歌にすることは、気持ちを伝え直すこと

この曲には、音楽を組み立てる発想と、誰かへの愛情を形にする発想が重なっています。

思い出は、出来事が順番どおりに並んだ物語として残るとは限りません。

声の調子、ある日の景色、うまく言えなかった一言。そんな断片が、時間がたってから意味を持つこともあります。

ラブソングを作る行為は、その断片を相手に届く形へ整えることだと考えられます。自分の中にあるだけの感情を、他者と分かち合える表現に変えるのです。

その際に大切なのは、言葉の巧みさだけではないでしょう。

どれほど上手に気持ちを説明しても、相手の状態を無視すれば独りよがりになります。自分が伝えたいことと、相手が受け取れることは、必ずしも一致しないからです。

この曲の音楽的なイメージからは、愛情表現にも、相手の呼吸やタイミングを感じ取る姿勢が必要なのだと読み取れます。

歌を完成させることと、二人の気持ちを近づけること。その二つが重なっているところに、この曲らしいロマンチックさがあります。

悲しみを抱えたまま、希望を表に出す

この歌の前向きさには、過去の痛みを含めて、今の愛情に意味を見いだそうとする姿勢が感じられます。

ここで考えたいのは、苦しみが必ず報われると保証しているわけではない、ということです。

つらかった経験そのものが、あとから良い出来事に変わるわけではありません。それでも、誰かと出会ったことで、以前とは違う気持ちで過去を振り返れるようになることはあります。

傷ついた自分にも、もう一度誰かを大切にしたいと思える瞬間が訪れる。その変化が、この歌の希望につながっているのではないでしょうか。

希望を語ることには、勇気が要ります。

期待して傷つくのが怖ければ、冗談にしたり、何も望んでいないふりをしたりしたほうが楽だからです。

この曲は、その防御を少し解いて、相手との未来を望む気持ちを表に出す歌としても受け取れます。大胆な言葉の奥には、期待することを諦めたくないという思いがあるように感じられます。

相手にも歌を求める言葉が示す、愛の双方向性

この曲を考えるうえで見逃せないのが、相手にも歌ってほしいと求める表現です。それは最後だけに現れるものではなく、前半のサビにもあり、終盤で再び響きます。www.uta-net.com

そこにあるのは、相手を振り向かせたい気持ちだけではないでしょう。

自分の思いを受け止めてもらいたい。相手の気持ちも知りたい。そうした、応答への願いが感じられます。

愛情を伝える人も、いつも強くいられるわけではありません。堂々とした振る舞いの内側に、拒まれることへの怖さが隠れている場合もあります。

この視点で読むと、大げさで奇妙な言葉にも、人間らしい照れや切実さがにじみます。

相手を驚かせるほどの表現を用意しながら、本当に欲しいものは、自分に向けられた温かな返事なのかもしれません。

また、歌を求めるという表現には、相手にも自分なりの方法で気持ちを表してほしいという余地があります。同じ言葉を返してもらうことだけが、愛情の確認方法ではないのでしょう。

なお、応答を求めることと、実際に思いが通じたことは別です。恋愛の成就を断定せず、その願いが差し出されている点に、この曲の余韻を感じたいところです。

タイトルの「ずっと」は、未来に向けた願い

「ずっとラブソング」というタイトルは、愛が永遠に続く宣言にも聞こえます。しかし、変化や終わりの気配がある歌詞と重ねると、揺らぎを含んだ言葉として読めます。

未来を完全に約束することはできない。それでも、相手を大切にする気持ちを持ち続けたい。

その願いを表すのが、この「ずっと」なのではないでしょうか。

この解釈なら、宇宙規模の大きなイメージと、身近な愛情表現が一つにつながります。自分ではどうにもできない出来事がある世界で、それでも誰かに思いを届けようとする。その意志が、この曲のラブソングとしての芯になっていると考えられます。

そして、相手の歌も聴きたいと願うことで、愛情は一人の中から二人の間へと開かれていきます。

「ずっとラブソング」は、奇抜な言葉で耳を引きながら、誰かに思いが届くこと、そしてその人から思いを返してもらうことへの願いを描いた楽曲として味わえるのです。

Vaundyの楽曲に描かれる記憶や愛情をさらに考えたい方は、「忘れる前に」の歌詞考察記事もあわせてご覧ください。

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