【卒業/尾崎豊】歌詞の意味を考察、解釈する。

尾崎豊さんの「卒業」という作品の歌詞を解釈する際に、単なる若者の反抗だけで片付けることはできません。
この曲は、若者の内面に渦巻く複雑な感情や青春時代の葛藤を描きながら、成長と別れに向き合う心情を表現しています。

単なる不良ソングなのか

「卒業」は一部で「不良ソング」と呼ばれたり、過激な歌詞と言われることもありますが、その実態は一体どうなのでしょうか。

実際の楽曲を知ることで、この曲について考察してみましょう。
また、複数の解釈を試み、深い意味を探求してみたいと思います。

何から卒業するのか

それでは、尾崎豊さんの名曲「卒業」の歌詞を一緒に見てみましょう。

歌詞は文字数が多く、情熱的なフレーズが連続しています。
その内容は非常に印象的で、一度読んだり耳で聞いたりすると、その魅力から離れることができない作品と言えるでしょう。


校舎の影 芝生の上 すいこまれる空
幻とリアルな気持 感じていた
チャイムが鳴り 教室のいつもの席に座り
何に従い 従うべきか考えていた

校則や時間割といった学校内の規則に従うことよりも、別の選択肢を追求すべきではないのか。

この疑問から、尾崎豊さんの「卒業」という曲が始まります。
学校に限らず、オフィスでの定時勤務も同じような共通点を持っています。
他者が設けたルールによって縛られる日常生活について、彼の歌詞は深い考察を促します。

ざわめく心 今 俺にあるものは
意味なく思えて とまどっていた

学生という立場における無力さや未来への希望を見いだせない絶望感。
それらの感情が彼の歌詞には強く反映されています。
日常の現実に直面した際に、心の中に漂う虚無感を表現しています。

この支配からの 卒業

卒業して いったい何解ると言うのか
想い出のほかに 何が残るというのか

「この支配からの卒業」というフレーズは、非常に重要な意味を持っています。

単に学校や教師からの卒業だけでなく、「自己」からの卒業も含意されていると言えるでしょう。
この一節は、自己の束縛から解放されるという内面的な成長や変化を象徴しています。

人は誰も縛られた かよわき子羊ならば
先生あなたは かよわき大人の代弁者なのか
俺達の怒り どこへ向かうべきなのか

このフレーズ、本当に魅力的ですね。

多様な解釈が可能な内容

どんな楽曲であっても、一つの解釈に一致することはありません。
むしろ、無数の解釈が存在する方が自然といえるでしょう。

今回は「卒業」を聴く人々が、この曲をどのように解釈するかを考えてみましょう。
さまざまな解釈のパターンに分けることで、その多様性を理解できるでしょう。


夜の校舎 窓ガラス壊してまわった
逆らい続け あがき続けた 早く自由になりたかった

「卒業」のこのフレーズに感化されて、実際に窓ガラスを割った学生さんもいるとの報道がありました。

行動は全く逆ですが、同じようにその歌詞の単語に敏感に反応して、「窓ガラスを割るなんていけない」と思う方もいるでしょう。

確かに、単語だけを見ると「不良」というイメージを抱くこともありますが、尾崎豊さんが「卒業」で本質的に伝えたかったのはそこではないでしょう。


歌詞全体は理解したものの、なかなか魅力を感じない方もいるかもしれませんね。

若者特有の感性や、一部で言われる「厨二病」的な要素が、その理由となっている可能性もあります。
また、真面目に勉学に取り組んできた方なら、歌詞の中に表現される複雑な感情や葛藤を理解しにくいかもしれません。

しかし、事実として「卒業」は大ヒットした曲であり、その魅力には理由があるはずです。

さらに深く探求してみて、「卒業」の真の良さを見つけてみましょう。
その中には、多くの人々が共感し、心に響く要素が隠されていることでしょう。


仕組まれた自由に 誰も気づかずに
あがいた日々も 終る
この支配からの 卒業
闘いからの 卒業

「仕組まれた自由」というフレーズがこの曲の重要な要素であり、そこから哲学的な命題を見出すリスナーもいます。

「卒業」では自由を求めてもがき、窓ガラスを割ったりしていたけれど、それは本物の自由ではなかったというメッセージが込められています。

人生では何かしらに頼らざるを得ず、真の自由は存在しないかもしれませんが、多くの人はそれを求めるものです。
特に若者は世間を知らない分、自由を追求する傾向が強いです。

このように、「卒業」から普遍的な事実を探し出して聴くことは高度な鑑賞方法ですが、非常に意義深いものと言えるでしょう。


「卒業」は学校や大人に束縛されたくないという怒りを表現した曲と捉えられることもあります。

しかし、尾崎豊さん自身が学校生活よりも音楽の道を望んでいたと考えると、この曲は単なる怒りに収まらない作品と解釈できます。

ミュージシャンの心境を歴史的事実から推測することで、この曲の意味やメッセージにさらなる深みを感じることができるでしょう。

このように、様々な視点から「卒業」を鑑賞する方法があることは、ミュージシャンの心情を理解する上で重要ですね。

まとめ

以上、尾崎豊さんの「卒業」についてご覧いただきました。

尾崎豊さんの魅力については、歌詞の深読み具合によって感じ方が分かれるという点が影響しているかもしれません。

楽曲をサラッと聴いて「ありがち」と感じる方と、歌詞を読み込んで尾崎豊さんの生涯や当時の心理を想像することができる方との間には、解釈の違いが生じるのは当然の結果と言えるでしょう。

尾崎豊さんの「卒業」だけでなく、他の作品にも同様のことが言えます。

音楽をより本質的に近づいて楽しむためには、歌詞のさらに奥にあるメッセージや、ミュージシャンの心情を読み取る力が必要です。

これこそが、より深く音楽を理解し、楽しむ方法と言えるのではないでしょうか。