SHISHAMOは、等身大の恋愛感情をまっすぐに描く歌詞で多くのファンの心を掴んでいるガールズバンド。その中でも「終わり」という楽曲は、恋愛の“終わり”という誰もが一度は経験する切なさをテーマにしており、多くのリスナーの心に深く響いています。
本記事では、この曲の歌詞を丁寧に読み解き、どのような感情や情景が描かれているのかを考察していきます。歌詞に隠された本音、恋の喪失感、それでも前に進もうとする姿勢――そのすべてに迫ります。
1. 歌詞の大まかなあらすじと背景
「終わり」は、別れをテーマにしたバラード調の楽曲です。曲全体を通して、すでに関係が終わった後の主人公の内面が描かれており、「まだ好きだけど、もう戻れない」という揺れ動く気持ちがストレートに綴られています。
特定の“事件”が起きたわけではなく、日々の中で少しずつすれ違い、終わりを迎えた関係。だからこそ、恋が終わったという実感と、未練が入り混じるリアルな感情が浮かび上がります。
2. 印象的なフレーズ・キーワードから読み解く “終わり”の意味
歌詞の中でも特に印象的なのが、以下のようなフレーズです：
- 「あなたのことを嫌いになれたらいいのに」
- 「連絡先を消せないままのスマホ」
- 「まだどこかで期待している自分がいる」
これらの言葉は、未練と自責、自立への葛藤を象徴しています。ただ「別れた」だけではない、心の中に残る影のような存在。それを「終わり」と表現することで、主人公は“感情の終焉”をどう受け入れるか苦悩しているのです。
また、「終わり」という言葉自体が、ただの出来事ではなく“関係性と感情のフェードアウト”を意味している点も見逃せません。
3. 主人公（歌い手）の感情の変化とその構図
歌の冒頭では、「忘れたい」「嫌いになりたい」といった突き放す感情が描かれています。しかし、曲が進むにつれて「まだ好き」「会いたい」という素直な感情が顔を出し始めます。
これは、頭では理解していても、心が追いついていない状態を表現しています。SHISHAMOの持ち味である“感情の揺らぎ”がここでも如実に表れており、多くのリスナーが「わかる…」と共感するポイントです。
そして最後には、「このまま忘れていくしかない」と締めくくられ、感情の整理というより“諦め”に近い終着点へと向かっていきます。
4. 作詞／作曲者 SHISHAMO 宮崎朝子が語る “終わり” に対する思い・インタビューからの補足解釈
SHISHAMOのボーカル・ギターであり作詞作曲を担う宮崎朝子さんは、過去のインタビューで「等身大の恋愛や、自分の感情を素直に出すことを大切にしている」と語っています。
「終わり」に関しても、リアルな経験や心の動きを反映しているとされており、誰か一人の体験というより“誰もが感じ得る恋の終わり”を抽象的に表現した楽曲だと読み取れます。
そのため、共感の幅が広く、「まるで自分の気持ちを歌ってくれているようだ」と感じるリスナーが後を絶たないのです。
5. リスナー視点での共感ポイント＆“終わり”から得られるメッセージ
この曲は、別れたことを乗り越えた人よりも、“まだ整理がついていない人”の心に深く刺さる構成になっています。言い換えれば、傷口を優しく撫でるような楽曲です。
そして、「終わり＝新しい始まり」という前向きな要素はあえて描かれていません。だからこそ、無理に前を向かせることなく、“今の自分を肯定してくれる”ようなメッセージ性を持っているのです。
「無理に忘れなくていい」「まだ好きでもいい」――そんな優しさが詰まっているからこそ、聴く人の心にそっと寄り添うのです。
◆Key Takeaway：
SHISHAMOの「終わり」は、恋の終わりに向き合うすべての人に捧げられた、切なくもリアルなラブソング。未練や葛藤、諦めといった複雑な感情を丁寧に描きながら、リスナーに「そのままの気持ちでもいい」と寄り添ってくれる楽曲です。歌詞を通じて自分の心と向き合う時間を持つことで、少しだけ前を向ける――そんな力が、この曲には秘められています。
