SHISHAMO『恋する』歌詞考察|不意に始まる恋と“イレギュラー”な感情のリアル

1. 「不意にドキドキする君」――歌詞から読み解く“癖になる恋”の描写

SHISHAMOの「恋する」は、まるで自分でも気づかぬうちに始まった恋の感情を描いています。特に印象的なのは、「不意にドキドキする君」というフレーズ。この一文は、恋のきっかけが予測不能であること、そして自分の感情がコントロールできないほどに高まっている様子を端的に表現しています。

“恋”は計画的にはじまるものではなく、「タイプじゃないはずなのに」といった一文も含め、予想外の展開で心が揺れる様子が、リスナーの共感を誘います。歌詞全体から感じられるのは、恋の“クセになる”一面。どこか危うく、でも止められない心の動きが、言葉の一つひとつに込められています。


2. 英訳で見る意外なニュアンス:「irregularity」「vice」が意味するもの

「恋する」は英訳された際、“irregularity(不規則さ)”や“vice(悪癖、弱点)”といった言葉が使われています。これにより、歌詞が持つ“抗えない恋”のニュアンスがより明確に浮き彫りになります。

たとえば、「恋は人生のイレギュラー」という表現は、日常の中に突然割り込んできた感情の異質さを示しており、それが“vice”として訳されることで、理性では止められない感情の奔流として伝わります。日本語ではどこかやわらかく聞こえる「恋心」も、英語ではより直接的でエモーショナルな印象になります。


3. Aメロ・Bメロ・サビ構成の感情曲線を追う――ファン・ブロガーの共感視点

この楽曲の魅力のひとつに、メロディ構成と感情の起伏の連動があります。Aメロでは日常の風景の中に紛れ込んだ“恋”の芽生えが、静かに描かれます。Bメロでは、自分でもコントロールできない気持ちに困惑する様子が強調され、そしてサビではその感情が一気に爆発するように展開します。

多くのファンや音楽ブロガーは、サビの力強さと切なさが同居する感情の起伏に共感しています。「タイプじゃないのに気になる」「いつの間にか夢に出てきた」など、恋に落ちる瞬間のリアリティが巧みに表現されており、リスナーの“あるある”体験と結びつきやすい構造になっています。


4. 宮崎朝子が語る創作背景――“夢に出た昔の恋”を膨らませた理由

SHISHAMOのフロントマンであり、作詞作曲を担う宮崎朝子は、「恋する」の制作にあたって過去の恋の記憶をヒントにしたと語っています。インタビューでは、「夢に出てきた昔の恋人のことが忘れられなくて、その余韻を元に歌詞を書いた」と述べており、幻想と現実の境界が曖昧な“恋の余熱”を表現したかったことが分かります。

また、彼女は「けなげな女の子を書くのが好き」とも語っており、この曲の主人公も、どこか不器用で、でもまっすぐに相手を想っている人物像が浮かび上がります。現実にいそうで、でもどこか儚い存在――そんなキャラクターが、共感と感動を呼んでいるのです。


5. 10周年アルバムでの再録意義とファン・プレイリストに見る愛され方

「恋する」は、SHISHAMOの結成10周年記念アルバム『恋を知っているすべてのあなたへ』に再録されました。この事実は、バンド自身がこの曲を“節目の象徴”と捉えていることを意味します。長年愛され続けてきた理由の一つに、「恋心の原点に立ち返らせてくれる楽曲」というファンの声があります。

また、SpotifyやApple Musicなどのプレイリストでは、恋愛テーマの特集にたびたび選ばれており、「初恋」「片思い」「気づかぬうちに恋していた」といったキーワードとともに紹介されることが多いです。これにより、新しい世代のリスナーにも支持され、SHISHAMOの代表曲として定着しています。


🎵 総まとめ:恋する歌詞の魅力は「不完全さ」と「リアルさ」

SHISHAMOの「恋する」は、完璧ではない“恋”のかたちをリアルに描いた楽曲です。感情の起伏、心の葛藤、予測不能なトキメキ…。そのどれもが、私たちの心にそっと寄り添ってくれるようなあたたかさを持っています。

本記事では、歌詞・構成・英訳・作詞者の視点・アルバムでの位置づけと、多角的に「恋する」の意味を考察しました。この記事が、あなたの“恋の記憶”とどこか重なる部分があれば幸いです。