【Remember me/くるり】歌詞の意味を考察、解釈する。

人気バンドくるりは、2023年にデビュー25周年を迎えました。
今回は、そんな彼らの名曲「Remember me」(リメンバーミー)に迫ってみたいと思います。

くるり「Remember me」

2013年10月にリリースされたくるりの26作目のシングルは、彼らのメジャーデビュー15周年を祝う作品です。
このシングルは、人気番組「ファミリーヒストリー」のテーマソングとして特別に制作されました。


ファミリーヒストリーは毎週異なるゲストの家族にスポットを当て、綿密な取材を通じてその人々の背景や人物像を深く探るドキュメンタリースタイルの番組です。
この人気番組は2012年から定期的に放送されており、この特別な楽曲が制作された縁で、岸田も番組に出演した経験があります。
その際、この楽曲のインスピレーションとなった彼の父親との思い出について語ったこともありました。


白いスケッチブック、鉛筆、消しゴムのみを使用して制作されたシンプルな手書きアニメーションが、深い感情を引き出す今回のPVです。
連続する風景の変化を表現するために使われる消しカスや消し跡、そして筆圧の違いが、そのまま映像に残されており、これらがまるで人生の歩みを象徴している歌詞と呼応しています。
登場人物は黒く塗りつぶされており、その人々の人生の風景に共感することができるような表現がされています。
そのため、この作品は感情を呼び起こし、感動を覚える要素を持っています。


特にイントロ部分において、この楽曲はOasisの「Whatever」という曲に類似している印象を受けます。
もちろん、楽曲全体を聴いていけば、まったく異なる曲へと展開していくのが分かりますが、以前から岸田さんはOasisの熱烈なファンであることを公にしており、この楽曲に対する敬意やリスペクトが反映されている可能性も考えられます。
頻繁に聴く音楽は、自分の一部のように感じられることがあり、つい口ずさんでしまうこともあります。
そのため、似たようなメロディが現れるのも、十分に理解できることです。

歌詞の意味を考察

ほら 朝が来るよ
新聞は毎日パパの顔曇らせたまま
子供だって おとなになるよ

この楽曲は、くるりのリーダーである岸田さんが、自分の父親を思いながら制作したものとされています。
おそらくこの曲は、岸田さんのノスタルジックな思いが込められた一曲として成り立っているでしょう。
岸田さんのお父様は、朝毎にリビングで新聞を読み、その間に眉間にしわを寄せていたかもしれません。

ママになってみたいな 何処か遠くへと 行くのかい Do you remember me
いつか教えてよ あの時の涙のわけを 笑顔の思い出を

ここで少し意味の繋がりが不明確に感じられましたが、恋人同士が思い出話を交わしている場面かもしれない、と私は考えてみました。
「私、いつかはママになってみたいな」と彼女がつぶやいたのかもしれません。
そして最終的には、その彼女との関係は終わってしまったのかもしれない、とも思えます。
そうした背景から、「いつか教えてよ」というフレーズが出てくるのかもしれませんね。
ただし、これは私の妄想ですが。

さらば夕暮れ時の駅前の 豆腐屋のおじさん 待ってよ 今日は特別な味噌汁だよ
大きくなったな 夢はなんだろうな 覚えていたんだね 時は流れても
変わらないや 変わらないや

そして父が亡くなり、過去を振り返る機会が増えたことでしょう。
夕方になると帰宅途中の大人たちに声をかける、駅前にある豆腐屋さんのことや、父と語った将来の夢についての話。
あの頃から自分は、何も変わっていないのではないかと、過去を思い返したのかもしれません。

すべては始まり 終わる頃には 気付いてよ 気付いたら
産まれた場所から 歩き出せ 歩き出せ
遠く離れた場所であっても ほら 近くにいるような景色 どうか元気でいてくれよ

人生には誰しも起伏があり、避けられない挫折も経験することでしょう。
そうした時、故郷や家族の元に帰ること、生まれ育った町の情報に触れることは、新たな手がかりとなることもあります。
この楽曲からは、そういった思いがじわじわと伝わってくるようです。

まとめ

いかがでしたか?
この楽曲は、どこかノスタルジックな雰囲気が漂い、聴いていると心がじんわりと感動して泣きたくなるような良曲ですよね。
私自身、くるりの音楽は特に秋の澄んだ空気と相性が良いと感じます。
ぜひ歌詞をじっくりと眺めながら、音楽に耳を傾けてみてください。