【sabotage/緑黄色社会】歌詞の意味を考察、解釈する。

「サボる」という言葉は通常、良い意味で使用されることは少ないですが、緑黄色社会(通称:リョクシャカ)の楽曲「sabotage(サボタージュ)」ではこの言葉が堂々とタイトルに使われています。
とは言え、この曲の歌詞を注意深く見てみると、その内容は決してネガティブなものではなく、人生の楽しみ方やポジティブな側面を見つけることができる楽曲と言えるでしょう。
歌詞の意味に焦点を当てて考察してみると、伝えたい想いがどのように表現されているのか、以下で詳しく解説していきます。

「G線上のあなたと私」の主題歌

愛知県を拠点とする男女メンバー4人からなるバンド、緑黄色社会(りょくおうしょくしゃかい)についての話題です。
今回注目する楽曲は、彼らの人気曲「sabotage」です。
この曲はシングルとして2019年11月6日にリリースされました。
さらに、この曲はTBS系火曜ドラマ「G線上のあなたと私」の主題歌としても起用されました。

歌詞の意味を解析しながら、緑黄色社会が伝えようとしたメッセージを深掘りしてみたいと考えています。

タイトルの意味

楽曲のタイトルである「サボタージュ」は、日本語で言うところの「サボる」や「怠ける」といった意味を持っています。
このタイトルからは、一般的には否定的な印象を受けるかもしれませんが、実際の歌詞の内容には、希望や明るさを感じる部分も多く含まれています。
この曲における「サボってしまう」という要素がどのような意味を持っているのか、これから段階的に解説していきます。

ネガティブな思考が広がり、自信を喪失してしまう

せーので駆け出したはずなのにどうして
まるで私だけがサボタージュ

楽曲の最初の歌詞には、「同世代の友達とは同じタイミングで生まれ、同じ学校を卒業したはずなのに、なぜ私だけが怠け者なのか?」という意味が込められています。
この部分から読み取れるのは、同じスタートを切った仲間たちが著しく成長している中で、自分だけが何かを怠ってしまったような気がしているという感情です。
実際にはサボっていたわけではなく、努力も頑張ってきたにも関わらず、周囲の人々がそれ以上に努力しているように感じられ、自分の努力が足りていないという焦りや置いてけぼりにされた気持ちを感じているようです。


こうした内容には、多くの人が共感するのではないかと思います。
周囲には、一生懸命取り組んでいる人もいれば、時には休息を選ぶ人もいます。
自分自身は、努力はしてきたけれども、他人と比べてどの位置にいるのかは難しい部分かもしれません。
努力の程度は、他人と比べることが難しく、実際のところは分からないことです。
その結果、他人よりも優れたスキルや成果を持つ人を見ると、自分自身が凹んでしまうことがよくあります。
彼らは内面で相当な努力を積んで成功しているかもしれないのに、その過程は目に見えず、同じ土台で比較してしまい、自分に対してショックを受けてしまうことがあります。
そして、自分自身がサボっていたのではないかと自己評価を下げてしまい、その結果、ネガティブな思考が広がり、自信を喪失してしまうことがあります。

負の感情は、驚くほど恐ろしい

YESかNOの間でなんとなく生きて
まとわりついた悪いクセ

この部分では、肯定的な言葉はあまり用いられていないことがわかります。
はっきりとした選択をせずに、あいまいなまま日々を過ごしてしまった経験が語られています。
ただ漠然と流れていくように生きてしまうことで、その傾向が生き方に刻み込まれてしまう可能性があります。
決断ができずに悩み、結局ははっきりしないまま事が終わってしまうことは、多くの人が経験したことだと思います。
この部分から読み取れるのは、表面的な想いの裏に潜む意味です。
「こんな風にならないように」という警鐘が鳴っているようです。
サボることや適当に生きることは、実際にはあまり好ましくないことであるという教訓を示唆しているようです。


そんなはずはない
だって集めてきた 好きなモノやヒト
あれ なんだったっけ

深く考え込むことで、何もかもが無に帰してしまうようです。
これまで自身が築いてきた経験や努力、培ってきた人間関係、競い合い切磋琢磨してきた仲間たち―これらが、自分の一部として大切であるはずなのに、それすらも見失ってしまっています。
「自分は駄目だ」「私の努力は報われない」というネガティブな感情が心を支配すると、大切なものまで見失ってしまうのです。
このように強烈な負の感情は、驚くほど恐ろしく、身近な人々にも影響を及ぼす可能性があることを意識しています。
おそらく、この歌詞からは、こうした気づきを得ることを狙っていたのかもしれません。

様々な経験が個人のアイデンティティを形成する

まだ間に合うかな
私このまま消えちゃわないように刻むの

適当に生きていく人生は、おそらく他の人々の心には残らないかもしれません。
実際、それは消えてしまうことと同じことです。
しかし、その一方で、努力を向けたり、成果を上げたり、仲間と共に努力したりすることで、これらの経験が人々の思い出や記憶として刻まれていくことを意味しています。
楽しい瞬間や辛い瞬間、悲しい出来事など、様々な経験が個人のアイデンティティを形成しています。
そして、これらの経験が周囲の人々に影響を与え、自分自身の存在を周囲に印象づけていくのです。
この歌詞はおそらく、「このままの生き方は充実しない!」、「何か大切なことに取り組んで、自分の足跡を残したい!」といった強い思いを伝えているのではないでしょうか。

大切な気持ちの持ち方

ならばここからだって奮い立てよ

この部分の歌詞は、以前までのネガティブな考え方を指している可能性があります。
そして、このような状態から抜け出せることに気づいたなら、今が新たなチャンスだと表現されています。
この歌詞セクションには、緑黄色社会の情熱的なエネルギーが宿っているように思えます。
ネガティブな感情に負けずに、前進する勇気を共有したいという願いが感じられます。
まるで、一歩踏み出そうとしている人々へのストレートな応援の歌のようです。
緑黄色社会の優しさと、同じ状況にいる人々を勇気づけたいという思いが、この歌詞から溢れています。


好きなモノやヒト
集めて行け

以前は、自分の内にある大切なものたちを見失ってしまったかもしれません。
しかし、それらがなくなってしまったり、見失ってしまったりしても大丈夫です。
これからそれらを再び集めていくことができるのです。
たとえすべてを失ったとしても、またゼロから始めて大切なものを築いていくことができるのです。
失ったことに落ち込んで戻れない人々もいるでしょう。
このような人々への励ましの言葉のような部分です。
未来を楽しんでいくために大切な気持ちの持ち方を、この歌詞から読み取ることができます。

楽しい瞬間や幸せな瞬間を心ゆくまで楽しむ

何も出来なくたって持ってなくたって
追いかけてる今が楽しいんだって思えたの

この歌詞は、読んでいるだけでも力が湧いてくるような明るさがあります。
他人が楽しんでいる姿を見ると、自分にもやる気と行動力が湧いてくることがあります。
この歌詞から、緑黄色社会がバンド活動を含めて人生を楽しんでいるという感情が伝わってきます。
彼らが楽しみながら活動している姿は、まさにキラキラと輝いていて、多くの人々に憧れを抱かせます。
そして、その想いが歌詞から溢れ出るほど、ファンたちにも伝わってくるのです。
自分自身には独自のペースがあり、他人と比べることは意味がありません。
ただ無我夢中で自分がやりたいことに打ち込むことが、いかに幸せで楽しいことか。
ここから伝わってくるのは、何よりも大切なことは楽しむことだという想いではないでしょうか。


きっと浮かれている
だけど輝いてる
ああ生きている

ここの歌詞は、端的に言えば「調子に乗っている」と言えます。
通常、この表現はネガティブな側面で使われることが多いですが、この歌詞ではその意味合いが明るい側面に転換されているように感じます。
調子に乗っていることは、幸せな瞬間を楽しんでいる状態であり、その喜びに浸っていることを指します。
実際によく考えると、この状態には悪い要素はなく、むしろポジティブな要素が豊富です。
良いことがあったなら、その幸せを全身で味わってしまいましょう。
それが人生を輝かせる方法であり、生きている実感を感じる瞬間なのです。
辛いことや悩みに囚われるよりも、楽しい瞬間や幸せな瞬間を心ゆくまで楽しむことが、生きている意味を感じる手段だと言えます。
この歌詞からは、人生の素晴らしさや、楽しむことや喜ぶことが良いことであり、輝かしいことであるという気づきが感じられます。

まとめ

歌詞には、緑黄色社会が伝えたい多くの感情が込められていました。
人生の中で感じる劣等感や不安に押しつぶされそうな瞬間。
これは誰もが共感しやすいテーマであり、そのためか歌詞は心に自然に馴染んでくるように感じました。
そして、最も重要なメッセージは、人生を楽しむ方法についてです。
生きていく過程で、自分自身に心から没頭することが、人生を満喫する秘訣だと伝えています。
この曲は、人々の試練から成功までの道のりが、歌詞の中に詰まっているような印象を受けました。