【眠り姫/SEKAI NO OWARI】歌詞の意味を考察、解釈する。

2012年にリリースされたSEKAI NO OWARI(セカイノオワリ、通称:セカオワ)の曲『眠り姫』は、今でも多くのファンに愛されています。
この楽曲は、SEKAI NO OWARI独自のファンタジックな世界観に包まれた歌詞が特徴で、その意味について考察してみましょう。

“死”をテーマにした作品

SEKAI NO OWARIの楽曲『眠り姫』は、2012年に発表された彼らの3rdシングルで、同年にリリースされたメジャー1stアルバム『ENTERTAINMENT』にも収録されています。
この曲は、リリースから時間が経過してもなお、多くのファンに愛され続けている人気の楽曲です。

タイトルの『眠り姫』と楽曲のサウンドからは、SEKAI NO OWARI独特のファンタジックな雰囲気が感じられますが、この曲の歌詞は、バンドのメンバーである深瀬が作詞したもので、その歌詞にはどのような意味が込められているのか、それを考察してみましょう。

君と僕とで世界を冒険してきたけど
泣いたり笑ったりして
僕らはどんなときでも手を繋いできたけど
いつかは いつの日かは

曲の冒頭で、主人公の「僕」が「君」との共有した日々を振り返っている様子が描かれています。
楽曲のタイトルである『眠り姫』からは、童話のようなイメージが浮かびますが、歌詞の中でも「冒険」という言葉が用いられ、おそらく2人が過ごした普段の日常を物語のように捉えているのではないかと思われます。
そして、主人公は「いつか」到来する未来に対して不安を感じている様子が描かれています。

ある朝 僕が目を覚ますと この世界には君はいないんだね
驚かそうとして隠れてみても 君は探しにこないんだ

主人公が不安を感じている未来とは、この世界から「君」が姿を消すことを指しています。
『眠り姫』のリリース時には、そのミュージックビデオに女優の宮崎あおいが「死の女神」として出演し、この点が話題になりました。
このMVの演出を考えると、「この世界には君はいない」という歌詞は、実際には「君」の死を象徴している可能性が高いと考察できます。
したがって、楽曲『眠り姫』は、”死”をテーマにした作品と捉えられるでしょう。

「現実の死」を強く意識している

Ah 君はいつの日か深い眠りにおちてしまうんだね
そしたらもう目を覚まさないんだね
僕らがいままで冒険した世界と僕は一人で戦わなきゃいけないんだね
ボーっと火を吹くドラゴンも僕ら二人で戦ったね
勇者の剣も見つけてきたよね
Ah このまま君が起きなかったらどうしよう
そんなこと思いながら君の寝顔を見ていたんだ

楽曲のサビ部分では、「ドラゴン」や「勇者の剣」といった、ゲームの世界に関連する言葉が頻繁に登場します。
おそらく、これらの言葉も冒頭の「冒険」と同様に、日常生活での困難を乗り越えた出来事などを比喩的に表現しているのではないかと考えられます。
ゲームの世界ではプレイヤーが死んでも再び復活できますが、現実の世界では一度失ったものは戻ってこないのが現実です。
生き物として、いずれは永遠の眠りにつく運命にあることも理解しています。
曲はファンタジーな世界観で描かれていますが、同時に歌詞の主人公は「現実の死」という現実を強く意識しているように感じられます。

「君」のいない世界で生きることが最も恐ろしいこと

歌詞の2番以降でも、周囲の人々の死への不安や恐れが表現されているように感じられます。

こんな青空のときでもどんな嵐のときでも
手を繋いできたけど
こんなに嬉しいときもどんなに悲しいときも
いつかは いつの日かは
ある朝 僕が目を覚ますと この世界には君はいないんだね
起こそうとして揺さぶるけど 君はもう目を覚まさないんだ

「青空」と「嵐」は、良い日と悪い日を象徴している可能性があります。
主人公にとっての「君」は、嬉しいことも悲しいことも共有できる大切な存在であるようです。
歌詞では、2人が常に一緒にいたことが強調され、将来的に1人になることへの不安が主人公の心情から伝わってきます。

Ah 君はいつの日か深い眠りにおちてしまうんだね
そしたらもう目を覚まさないんだね
僕らがいままで冒険した世界と僕は一人で戦わなきゃいけないんだね
Ah まだ見ぬ宝も僕ら二人で探しに行ったね
星が降る夜に船を出してさ
Ah このまま君が起きなかったらどうしよう
そんなこと思いながら君の寝顔を見ていたんだ

「星が降る夜」は、前のシングルである「スターライトパレード」の歌詞とも共通するテーマ性が見受けられます。
2人が共に過ごす中で、大切な思い出が増えていく様子が歌われているのかもしれません。
これまでの歌詞を振り返ってみると、「眠り姫」の主人公は、自身の死よりも相手の死を強く恐れているように感じられます。
「僕」にとって「君」のいない世界で生きることが最も恐ろしいことであり、この恐れの根底には「君」への深い愛情があると考えられます。
要するに、「眠り姫」は死をテーマにしつつ、大切な人への愛情を歌った楽曲と捉えることができます。
そして、楽曲タイトルである「眠り姫」にも、主人公にとって「君」がいかに大切な存在であるかが表れているようです。

「眠り姫」のアンサーソング

今回、SEKAI NO OWARIの楽曲『眠り姫』の歌詞について深く考察しました。
歌詞は「死」をテーマに取り上げており、終わりがあるからこそ、人は深い愛を育むことができるという教訓を伝えているように感じます。
興味深いことに、アルバム『ENTERTAINMENT』には、同じく「死」をテーマにした楽曲『不死鳥』も収録されています。
この曲は「眠り姫」のアンサーソングとも言われており、両曲を一緒に聴いてみることで、より深い洞察を得ることができるかもしれません。