【眠れぬ夜/フジファブリック】歌詞の意味を考察、解釈する。

2010年7月28日にリリースされたアルバム「MUSIC」に収録されている「眠れぬ夜」は、美しいピアノ伴奏と繊細なストリングスの導入部分が特徴です。
歌が始まると、段々とバンドサウンドが絡み合い、志村さんの深い感情が胸に迫るような歌声で聴衆を魅了します。
そして、曲が終盤に差し掛かると、壮大な音楽へと変貌し、聴き手を感動させる瞬間が広がります。


この楽曲は、2003年のインディーズ時代に既に存在していました。
メンバー全員がその楽曲のポテンシャルに非常に高い評価をしていたにもかかわらず、志村さんはその曲を出すことをためらっていました。
5枚目のアルバムの制作段階で、メンバーが新たな曲を模索していたとき、志村さんがついにこの楽曲を取り上げ、これをアルバムに収録することを提案しました。
前作のアルバム「CHRONICLE」では、志村さんが自身の個人的な側面を打ち明ける機会を持ち、それがこの楽曲を歌う気持ちにつながったのかもしれません。


以下は、この楽曲に対する個人的な感想や歌詞の解釈についての考察です。
歌詞の魅力をお楽しみいただければ幸いです。

また今夜も眠れぬ夜になりそうな気がした

部屋の壁の色褪せ方が気になる今日この頃

もういいだろうと意味は無くとも
君の声を聞きたくなる

この楽曲が制作された6年前から、その曲を心に秘めていた志村さんは、おそらく君に対する思いを抱え続けていたのかもしれません。
日々、君のことを思いながら眠ることができない日々が続いたことでしょう。
君を思い巡らせ、特別な行動を起こすわけではなく、ただ部屋の壁を見つめて、そこに色あせた痕跡を感じる日々。
こんな生活が長く続いたにもかかわらず、もう立ち向かう必要がないと思うことができなくて、意味もなく過去を思い出し、君の声を再び聞きたくなる瞬間がやってきてしまうのです。

そしてできれば何より君に先ず
伝えたい事がある
嫌がられる程何もかも
さらけてしまえたらいい

もし君と再び出会う機会があれば、最初に伝えたいことがあります。
たとえそれが受け入れられない結果につながるかもしれないとしても、自分の思いを隠すことなく、率直に告げたいと思っています。
胸を張って、自分の気持ちを正直に表現する勇気を持てたからこそ、この楽曲を生み出すことができたのでしょう。

歌詞カードには記載のない言葉

何度もこの楽曲を聴いている方々はおそらくご存知かと思いますが、この曲には歌詞カードには記載のない言葉や、歌が終わった後に微かに声が入っています。
これらの要素は、音量を少し上げないと聞き取りづらいほど控えめに配置されています。

悲しまなくてもいい

上述の部分は、最後のサビを歌い終えた後、直ちに現れる歌詞カードに記載のない言葉を指します。
この要素が楽曲の解釈にも影響を与える可能性があるでしょう。
その “いい” の歌声が終わると、すぐにギターが調和する瞬間も、なんとも儚さを感じさせます。

結構いいんじゃないかな?…うん。

上記に言及されているのは、楽曲が終了した後、周囲の笑い声と共に聞こえる志村さんの声です。
曲の演奏が終わり、その瞬間に彼の声が加わることで、彼が曲の仕上がりに満足し、喜びを感じたことが伝わります。
音量を上げ、耳を傾けて、その声をじっくり聴いてみてください。
何か特別な感覚や意味を感じることがあるかもしれません。


「眠れぬ夜」について、いかがでしたでしょうか。
文章を通じて伝えられたかどうかはわかりませんが、もし曲を聴いてくださり、フジファブリックの音楽を楽しんでいただけたなら、それが何よりも嬉しいことです。