UNISON SQUARE GARDEN「君の瞳に恋してない」は、タイトルの時点で“矛盾”を仕掛けてくる、いかにもユニゾンらしい一曲です。アルバム『MODE MOOD MODE』のラストに置かれ、ポップで華やかな音像(ピアノ&ホーン)なのに、言葉はややこしくて、だけど不思議と前向きに着地する。そんな“ひねり”がクセになります。
この記事では、歌詞を丸ごと引用せずに(※著作権配慮)、印象的な言葉やモチーフを手がかりに「結局なにを言ってる歌なの?」を読み解いていきます。
- 『君の瞳に恋してない』の基本情報(収録作品・MV・作詞作曲の概要)
- タイトルの意味:「君の瞳に恋してる」へのオマージュと“否定形”が生む逆説
- 歌詞のストーリーを整理:主人公と「君」の距離感は近いのか、遠いのか
- 「恋してない」と言い切る理由:照れ・予防線・本音のすり替えを読む
- キーフレーズ考察① “嵐”や“濡れる”が示す状況(揺れる日常/感情の荒天)
- キーフレーズ考察② “バスタオル”のリアルさ:関係性の信頼・生活感のサイン
- キーフレーズ考察③ “小さじ一杯のカラクリ”=仕掛けと希望(信じる技術)
- 光のモチーフ(太陽・金色など)が描く「多幸感」と「現実感」の同居
- サウンド面から読む歌詞の効き方:ホーン&ピアノのポップさが意味を増幅する
- MVの世界観と歌詞のリンク:トリック的演出が示す“仕掛け”のテーマ
- 『MODE MOOD MODE』の中での位置づけ:ユニゾンらしい言葉遊びと救い
- まとめ:結局「君の瞳に恋してない」は、何を否定して何を肯定しているのか
- よくある疑問Q&A(元ネタ曲との関係/どんな解釈が多い? など)
『君の瞳に恋してない』の基本情報(収録作品・MV・作詞作曲の概要)
- 収録:7thアルバム『MODE MOOD MODE』12曲目(アルバム収録曲として掲載)
- 発売日:2018年1月24日(『MODE MOOD MODE』)
- 作詞・作曲:田淵智也
- MV:2018年2月ごろにフル公開のニュースが出ており、映像は“仕掛けだらけ/トリックアートのよう”と紹介されています
まず押さえたいのは、この曲がアルバムのラストにいること。ユニゾンは最後の曲で「その作品の読後感」を決めにくることが多くて、ここでも“人生もうちょっとやってみるか”みたいな余韻へ持っていく役割を担っているように感じます(※ここは筆者解釈)。
タイトルの意味:「君の瞳に恋してる」へのオマージュと“否定形”が生む逆説
「君の瞳に恋してない」という日本語は、耳に入った瞬間に引っかかります。
なぜなら普通は「恋してる」になりそうなのに、わざわざ否定形にしているから。
ここで起きているのは、たぶん“逆説”です。
- 「恋してない」と言うことで、逆に意識してる/気になってるがバレる
- 「恋」と名づけた瞬間に、感情が軽く見えたり、陳腐化するのを避けたい
- あるいは“恋”よりも、もっと生活に近い場所で君を見ている(後述のモチーフが効いてくる)
つまりタイトルは、恋の肯定ではなく、恋の定義からズラす宣言。ここがまず、この曲の面白さの入口です。
歌詞のストーリーを整理:主人公と「君」の距離感は近いのか、遠いのか
歌詞の語り口は、一直線なラブソングというより、頭の中が忙しい独白に近いです。冒頭から「困った」「不穏」みたいな語感が飛び出して、主人公が自分の思考癖に振り回されていることが見えてくる。
でも一方で、サビ的な箇所では「君」の存在が急に具体化する。たとえば「バスタオルは任せた」みたいな生活の匂いがする言い方(短いフレーズですが強烈)で、二人が“現実世界でちゃんと隣にいる”感じが出ます。
この曲のストーリーは大きく言うと、
- 思考がこじれる(不穏/虚像/未来像)
- でも「君」の声だけは聞こえるようにしたい
- だから嵐の中でも濡れていい、みたいに“覚悟”が出る
- 最後は「君のせいで、もうちょっと生きてみようと思った」に着地する
…という流れに見えます。
「恋してない」と言い切る理由:照れ・予防線・本音のすり替えを読む
否定形の「恋してない」には、いくつかの心理が同居しているはずです。
- 照れ隠し:まっすぐ「好き」と言うのが性に合わない
- 予防線:「恋」と言わなければ、失敗してもダメージが少ない
- 本音のすり替え:恋より先に、相手の声や存在に“生存”を支えられている
特にこの曲は、恋の甘さよりも先に「後悔したまま死ぬかも」みたいな生々しい不安が顔を出すのが特徴です(歌詞サイトでも確認できます)。
だからこそ「恋」という軽やかなラベルを拒否して、もっと深いところ――“生きる理由”に接続しているように読めます。
キーフレーズ考察① “嵐”や“濡れる”が示す状況(揺れる日常/感情の荒天)
「嵐の中」「濡れるくらい構わない」というイメージは、単なる天候ではなく、
- 仕事・将来・自己否定などの外的ストレス
- 不安が止まらない内的ストレス
- 二人の関係の不確かさ
といった“荒天”の比喩になっていそうです。
重要なのは、主人公がここで濡れることを受け入れている点。
守りに入るのではなく、君の声を拾うために、多少のダメージを許容している。これって、恋の高揚というより「生き方の選択」っぽいんですよね。
キーフレーズ考察② “バスタオル”のリアルさ:関係性の信頼・生活感のサイン
この曲の名フレーズ級に効いてくるのが「バスタオル」。
バスタオルって、ロマンチックな象徴じゃない。
むしろ、風呂上がりの湿気とか、洗濯物とか、そういう生活の現実。
だからこそここは、
- 君と自分が、現実の場でちゃんと接している
- “守ってもらう/守る”が対等に行き来できる
- いざという時に任せられる信頼がある
みたいな関係性の強度を、一瞬で伝える小道具になっています。
「恋してない」の否定が効いてくるのもここで、恋のキラキラより“生活の実感”のほうが愛に近い、と言っているように見えます。
キーフレーズ考察③ “小さじ一杯のカラクリ”=仕掛けと希望(信じる技術)
「小さじ一杯のカラクリ」という言い方が、またユニゾンらしい。
これ、巨大な奇跡じゃなくて、ほんの少しの仕掛けなんですよね。
たとえば、
- 言葉の選び方を変える
- ほんの少し視点をずらす
- “信じる”のではなく“信じられる状態”を作る
みたいな、日常の中でできる工夫。
主人公はたぶん、世界を全面的に信用していない。でも「小さじ一杯」なら、試せる。ここに希望がある。
光のモチーフ(太陽・金色など)が描く「多幸感」と「現実感」の同居
「金色に揺れる太陽」みたいな光の描写は、曲のポップさと直結していて、暗い思考を中和してくれます。
ただしこの光は、手放しのハッピーではなく、
- 嵐の中でも照らす
- 濡れたままでも世界は回る
- だから“もうちょっと生きてみる”が成立する
という、現実込みの光。
キラキラしすぎないところが、この曲の救い方のうまさだと思います。
サウンド面から読む歌詞の効き方:ホーン&ピアノのポップさが意味を増幅する
ニュース記事でも触れられている通り、この曲はピアノとホーンが入ったポップなメロディが特徴と紹介されています。
ここが歌詞の意味と相性抜群で、もしサウンドが陰鬱だったら「不穏」「後悔」「保証なんか…」が重くなりすぎる。
でも音が明るいから、歌詞の“面倒くささ”がユーモアとして立ち上がって、最終的に「生きてみよう」という着地が説得力を持つ。
MVの世界観と歌詞のリンク:トリック的演出が示す“仕掛け”のテーマ
MVは「仕掛けが散りばめられていてトリックアートみたい」と紹介されており、“何度も見たくなる”タイプの映像だと言われています。
ここ、歌詞の「カラクリ」と綺麗に噛み合うんですよね。
- 世界はそのままだと信じられない
- でも、見方(セット/角度)を変えると違う景色が出る
- その“仕掛け”に気づけると、もうちょっと進める
MVは、歌詞のテーマを“視覚化”しているように見えます。
『MODE MOOD MODE』の中での位置づけ:ユニゾンらしい言葉遊びと救い
『MODE MOOD MODE』の収録曲一覧を見ると、アルバム全体がかなり多彩で、モード(様式)やムード(気分)の切り替えが激しい作品です。
そのラストにこの曲があるのは、“どんなモードでも、結局は日常に戻って生きていく”というまとめ方に感じられます。
大げさな結論じゃなく、「君のせいかも」と責任転嫁っぽく言いながら、ちゃんと救われている。ユニゾンの優しさが出る終わり方です。
まとめ:結局「君の瞳に恋してない」は、何を否定して何を肯定しているのか
この曲が否定しているのは、たぶん「恋」という単純なラベルです。
でも肯定しているのは、もっと具体的で、もっとしぶといもの。
- 君の声をちゃんと聞きたい
- 嵐の中で濡れてもいい(覚悟)
- 小さじ一杯の仕掛けで、希望を作れる
- だから、もうちょっと生きてみる
「恋してない」と言いながら、いちばん強い肯定をしている。
この矛盾こそが、タイトルに仕込まれた“カラクリ”なんだと思います。
よくある疑問Q&A(元ネタ曲との関係/どんな解釈が多い? など)
Q1. 本当にラブソング?
A. ラブソング要素は強いけど、中心は“恋の甘さ”より“生きる理由”に寄っている印象です(「もうちょっと生きてみよう」など)。
Q2. MVはどんな感じ?
A. 公式MV公開に関する記事では、巨大スタジオ内のセットを移動しながら“仕掛け”が散りばめられ、トリックアートのようだと紹介されています。
Q3. どうして生活アイテム(バスタオル等)が出てくるの?
A. “恋”を抽象化せず、生活のリアルに接続することで、関係の信頼や具体性を一瞬で描くためだと読めます(歌詞サイトでフレーズ確認可)。


