【歌詞考察】indigo la End「結び様」の意味とは?結ばれない恋が描く切なさを深読み

indigo la End の「結び様」は、恋愛の“結ばれなさ”を繊細に描いた切ないラブソングです。ドラマ『僕はまだ君を愛さないことができる』の主題歌としても話題になり、寄り添うようなメロディと痛みを伴う歌詞が、多くのリスナーの心を掴みました。
この記事では、歌詞が描く恋の距離感、タイトルの象徴性、ドラマとのリンクなどを深く掘り下げていきます。


1. 曲の基本情報とタイアップ背景

「結び様」は indigo la End が2019年にリリースした楽曲で、台湾発の人気ドラマをリメイクした『僕はまだ君を愛さないことができる』の主題歌として起用されました。
ドラマのテーマは“友情と恋の狭間”。互いに好意を抱きつつも恋人にはならない二人の曖昧な関係性が軸になっています。
その世界観とリンクするように、歌詞の中でも「結ばれるようで結ばれない」「好きにならなければよかったと思うほど苦しい」恋が描かれており、タイアップとして非常に高い親和性を持つ曲です。


2. 歌詞における「結ぶ/結ばない」のテーマ分析

「結び様」というタイトルが示すように、この曲は“結ぶ”ことを示唆しながら、実際には「結ばれない恋」を描いています。
歌詞には、

  • 手を伸ばせば届きそうで届かない
  • 近くにいるのに心の距離が縮まらない
  • それでも相手を嫌いになれない
    といった、「結び目ができそうでできない恋の形」が何度も暗示されています。

“結ばれる未来”を期待しつつも、その期待が裏切られる痛さが曲全体を包み込み、タイトルとの対比で切なさが強調されているのが特徴です。


3. 視点①:主人公の“距離感”と感情の揺らぎ

主人公は歌詞の中で一貫して相手を想い続けていますが、その距離は決して縮まりません。「あなたを好きな僕」と「僕をそこまで必要としないあなた」の非対称性に強い苦しみが表れています。

特に印象的なのは、
“近づくほど離れていくような気がする”
という感覚。
恋が進展しない現実を理解しながらも、手放せない心の弱さがにじんでおり、indigo la End らしい「報われない恋の美しさ」が切実に描かれています。


4. 視点②:「好きにならなきゃよかった」という言葉の意味

歌詞の中で何度も強調される後悔。「好きにならなければこんなに苦しまなかった」と思いながら、それでも相手から離れられない。
この矛盾が、歌の根幹となる感情です。

これは“恋愛において誰もが通る痛み”とも言えるもので、

  • 叶わなくても好き
  • 傷ついても好き
  • 理性では止められない
    という、恋のどうしようもなさが丁寧に描かれています。
    indigo la End の楽曲全般に流れる「報われない恋の哲学」がここでも顕著です。

5. 歌詞世界とメロディ・楽曲構成の関係

「結び様」のメロディは、穏やかで柔らかいのに、どこか胸の奥に刺さるような痛みを残します。

  • サビに向けて徐々に高まる感情
  • 言葉数が増える部分での焦り
  • 伸びるロングトーンが生む切なさ
    これらが、歌詞の感情と完全にリンクしています。

特にサビは、主人公の「言い訳のきかない本音」を爆発させる場所であり、楽曲の構成が感情の動きと一体になっている点が、聴き手の心を強く揺さぶります。


6. タイトル「結び様」の語感・語義・象徴性

「〜様」とつくタイトルは非常に独特です。この“様”は、敬称というよりも「〜のようなあり方」という意味で使われていると考えられます。

つまり「結び様」とは、
“結ばれそうで結ばれない関係のあり方”
を表す象徴的な言葉。

日本語としてはあいまいで抽象的ですが、そのあいまいさこそが曲のテーマと重なっており、深い余韻を持たせています。
「結ばれる」と明言しないことで、主人公の苦しみや曖昧な関係性が強調されているのです。


7. ドラマとのリンクと歌詞の役割

ドラマ『僕はまだ君を愛さないことができる』は、友情と恋の境界線を描いた作品で、“好きだけど言えない関係”が物語の中心です。
楽曲はこのテーマに呼応するように、

  • 好きだと言えないもどかしさ
  • 友達以上恋人未満の痛み
  • 関係が変わることへの恐れ
    を繊細に反映しています。

物語の中でこの曲が流れるたびに、主人公たちの心情がより深く伝わり、ドラマの感情ラインを補強する役割を果たしていました。


8. 他の indigo la End 曲との比較:前作・「起承転結」とのつながり

indigo la End は“恋の痛みの美学”を描くバンドとして知られていますが、「結び様」はその中でも非常にストレートな失恋描写が特徴的です。

特に、同時期の楽曲やアルバムの文脈で見ると、

  • 「起承転結」に代表される物語性
  • “叶わない恋”をテーマにした曲の多さ
  • 深瀬智久の文学的な表現
    などと強くつながっています。

「結び様」は、indigo la End の世界観の中心にある“結ばれない美しさ”を集約したような楽曲といえるでしょう。


9. 聴きどころ・歌詞の伏線・泣けるポイント

曲の中で特に心を揺さぶるのは、

  • サビ直前の溜め
  • 「もう戻れない」と悟る瞬間
  • 後半で少し声を押し殺すような歌唱
    といったポイントです。

歌詞には、実は最初から“結ばれない未来”が暗示されていますが、主人公はその事実を受け止めきれず、葛藤します。
最後まで希望を捨てない姿が、逆に切なさを増幅させる伏線となっており、聴けば聴くほど痛みが深まる構造になっています。


10. 総まとめ:この歌が伝えたいこと・聴く人へのメッセージ

「結び様」が伝えているのは、
“恋は報われるか否かよりも、好きになったこと自体に意味がある”
というメッセージだと考えられます。

苦しくても、叶わなくても、好きになった感情は嘘ではない。
結ばれなかった恋の中にも、美しさや価値がある。

indigo la End らしい、優しさと残酷さが共存する世界観が、一つの言葉“結び様”に凝縮されています。