【水平線/back number】歌詞の意味を考察、解釈する。

様々なものを奪われたコロナ禍の若者へのエール

この曲の誕生のきっかけは令和二年度インターハイである。

奇しくも世の中はコロナ禍の影響に蝕まれ、あらゆるイベントが規制や中止に追い込まれる中、学生の夢の到達点の一つであるインターハイ大会が中止という結果になってしまった。
インターハイ運営に関わった学生から、back number(バックナンバー)のボーカルである清水依与史へ直接手紙が届いたとのこと。

当初、back numberの曲が開会式に使用される予定であったことや、開会される場所が地元であったこと、自身も学生時代はインターハイを目指すアスリートだったことから、何かできないかと思慮した結果出来上がった曲が本作である。

そんな想いの詰まった名曲「水平線」の歌詞解説を行っていく。

「正しさ」とは一体何なのか

出来るだけ嘘は無いように どんな時も優しくあれるように

人が痛みを感じた時には

自分の事のように思えるように

最も称賛されるべき人間の理想像をストレートに歌っている。
この曲は若き高校生へ向けて作られた曲であるので、もちろん今すぐそういう人間になろう、という趣旨ではなく、そういった人間になれるように努力を行っていこう、という意味合いで書かれている。

正しさを別の正しさで

失くす悲しみにも出会うけれど

このフレーズはまさに、この作品がうまれるきっかけとなったコロナ禍で、今まで積み上げた成果を発揮する機会すら奪われた若者達を表現している。

「正しさを別の正しさで失くす」という表現からも、コロナ禍によってイベント規制や中止が行われること自体は「正しい」と肯定していながらも、自分達の正当性が「別の正しさ」によって蹂躙されてしまうどうしようもなさを的確に表現していると言えるだろう。

「正しさ」とは一体何なのか。
この短いフレーズの中に様々な意味合いが組み込まれている。

現実を抉るような綺麗なフレーズ

水平線が光る朝に

あなたの希望が崩れ落ちて

風に飛ばされる欠片に

誰かが綺麗と呟いてる

コロナ禍でなければ、「光る朝」を迎えていた若者。
そして、「別の正しさ」によって否定され、希望が失われてしまった。

しかし、その「別の正しさ」を信じる者にとっては、綺麗に見えるという残酷さ。

インターハイは中止になり、若者の夢は失われたが、感染拡大を防ぐために大会が中止になったことにより、その他多くの人々は安心感を得た、という答えの出ない現実。

その現象を抉るような内容の深い歌詞である。

悲しい声で歌いながら いつしか海に流れ着いて

光ってあなたはそれを見るでしょう

夢破れし者たちの涙が、地面に落ち、川へ流れ、そして最終的に海に流れ着いて、光って見える。
つまり、現時点では、「悲しい声で歌って」いるけれども、この経験がきっと将来において、「光」となる経験になる、と伝えている。

自分の背中は見えないのだから

恥ずかしがらず 人に尋ねるといい

心は誰にも見えないのだから

見えるものよりも大事にするといい

「自分の背中」とは、自分では気づけないこと。
努力を続けてきた「あなた」の姿は周囲の仲間に目撃され、その行為自体が無くなったわけではない。
さらに、その時に乗り越えた事実、それに対しての想い、色々な見えないものが「あなた」にはある。
全てが無くなったわけではないのだ、という強いメッセージがここに隠されている。

若者達に伝えたいこと

毎日が重なる事で

会えなくなる人も出来るけれど

今までは普通にあった当たり前の日常。
それを失ってから初めて大事だったと気づくのです。
突然会えなくなるかもしれない人にも常日頃から想いを伝えることが大切、というメッセージである。

透き通るほど淡い夜に

あなたの夢がひとつ叶って歓声と拍手の中に誰かの悲鳴が隠れている

コロナ禍に限らず、競争において勝者と敗者は常に存在する。
誰かの栄光の影に、誰かの夢が崩れていることを決して忘れてはならない。

耐える理由を探しながら 答えを悩みながら 悩んであなたは自分を知るでしょう

悩み、苦しみながら答えを探していく。
本当の正しさ、正解なんてあり得るのか。
そういったことを模索し続けることこそが人生である。
そして自分とは何かをしっていくのだ、という練りこまれた言葉を、伝わりやすいフレーズに置き換えている。

心の内を代弁する歌詞

誰の心に残る事も

目に焼き付く事もない今日も

虚無と足音の奥で

私はここだと叫んでいる

本来なら、様々な人の心に残り、記録を打ち立て輝いていたかもしれない自分。
そんな想いも苦しい現実の前に空しく崩れ去った。

目標を失い、どうしたらいいのかわからない脱力感と叫びたくなる気持ち。
それを抱えている若者達の声を代弁した歌詞である。

水平線が光る朝に

あなたの希望が崩れ落ちて

風に飛ばされる欠片に

誰かが綺麗と呟いてる

悲しい声で歌いながらいつしか海に流れついて 

光ってあなたはそれを見るでしょう

あなたはそれを見るでしょう

最後にサビの部分が繰り返され、今まで歌われてきた、異なる正しさの対立や悲しみと喜びの対比を再度歌い上げ、曲が終了していく。

救いを与える名曲

インターハイに出られずに夢を奪われた若者達の心の声を代弁し、そして、エールを送る今作。

激動の時代背景の中、いつの世も翻弄されてしまう者達への救いとして、この曲は今後も多くの人々を救っていくに違いない。

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