今回はRADWIMPS(ラッドウィンプス)の卒業ソング『正解』について歌詞の意味の考察をしていきます。
「正解」概要・曲紹介
『正解』はRADWIMPSが2018年に発売したアルバム『ANTI ANTI GENERATION』の収録曲の一つです。
また、NHKが主催する『18FES』(18歳世代の若者とアーティストが行うライブイベント)のために制作された楽曲でもあります。
曲調は卒業ソングですので、ピアノによる演奏が主体となっています。
そして、何より卒業時期を迎える18歳の若者たちの合唱が印象的で、心震わせる感動的なバラードソングに仕上がっています。
歌詞自体も卒業する若者たちの悩みや気持ちをストレートに表現しており、共感できる部分が多い曲になっています。
曲名『正解』に込められた思いとは?
『正解』という言葉は当然、正しい解答や解釈を示す言葉になります。
そして、学校では答えや正解のある問題を学び、正解を出すことが当たり前です。
しかし、この曲ではそんな『答え』や『正解』のある問題ではなく、野田さんが過去に経験した『問題』や、若い学生ならではの『問題』について、聴く人に考えさせる楽曲であると感じられます。
本当に考えなくてはいけない『正解』とは何なのか。
そして、若い世代に『過去』ではなく、これからの『未来』に目を向けるよう励ます曲であるとも捉えられます。
歌詞解釈
それでは、具体的に歌詞の解釈を行ってみましょう。
1番
この先に出会うどんな友とも
分かち合えない秘密を共にした
それなのにたったひと言の「ごめんね」だけ
やけに遠くて言えなかったり
「分かち合えない秘密を共にした」というフレーズから過去を振り返っていると考えられます。
おそらく、野田さん自身の過去の経験も歌詞に影響しているのでしょう。
学生時代の友達との親密さ、羨やみ懐かしむ気持ちと共に、親しいからこそケンカして、素直になれなかったことも思い出しています。
社会人になるとこうした関係はなかなか築けないですよね。
明日も会うのになぜか僕らは
眠い眼こすり 夜通しバカ話
明くる日 案の定
机並べて居眠りして
怒られてるのに笑えてきて
本当に仲の良かった友達と話す時は話題も尽きず、遅くまでたわいもない話で盛り上がった経験は誰しもあるのではないでしょうか?
そんな微笑ましい学生時代の記憶を思い返して、懐かしく思っている様子がこの部分の歌詞でも表現されています。
理屈に合わないことを
どれだけやれるかが青春だとでも
どこかで僕ら思っていたのかな
学校や家庭でのルールに縛られず、自分達がやりたいことをしていた学生の頃を振り返っています。
束縛されずに生きることに憧れや青春を感じるのは、思春期ならではの感情ではないでしょうか。
あぁ 答えがある問いばかりを
教わってきたよ そのせいだろうか
僕たちが知りたかったのは
いつも正解などまだ銀河にもない
学校の授業ではいつも正解や答えがある問題ばかりを教わりました。
しかしながら、本当に思春期の学生時代に知りたかったのは、そんな答えのある問いではないとしています。
一番大切な君と 仲直りの仕方
大好きなあの子の 心の振り向かせ方
なに一つ見えない 僕らの未来だから
答えがすでにある 問いなんかに用などはない
前フレーズからの続きで、答えのない問いの例を挙げています。
大切な友達との仲直りの仕方や、好きな子に振り向いてもらうための方法。
そんな答えのないような問題ばかりにぶつかる、自分達の未来だからこそ、学校で習うような「答えがあるもの」はいらないと言っています。
非常に共感できるサビですね。
2番
これまで出逢ったどんな友とも
違う君に見つけてもらった
自分をはじめて好きになれたの 分かるはずない
君に分かるはずもないでしょう
2番では特に仲の良かった友達(親友?)との過去を思い出しています。
1番でも「君」という一人を指した歌詞が多いことから、曲全体として親友との関係が一つのテーマなのでしょう。
この部分では親友に「自分の良さを見つけてもらった」という感謝の気持ちが表現されています。
並んで歩けど
どこかで追い続けていた君の背中
明日からはもうそこにはない
学生友達という関係性ですから、上下関係などは存在しません。
それでも君(=親友)を追い続けていたとあります。
そのため、おそらくこの主人公は、親友に対して尊敬する気持ちがあったのではないでしょうか。
しかし、卒業によって離れ離れになってしまいます。
あぁ 答えがある問いばかりを
教わってきたよ そのせいだろうか
僕たちが知りたかったのは
いつも正解など大人も知らない
2番のサビでも知りたかったのは答えのある問いではないと言っています。
1番では「まだ銀河にもない」でしたが、ここでは「大人も知らない」とスケールが絞られて表現されています。
「まだ銀河にもない」という表現は、答えを出すことが非常に困難であることを指し示す比喩表現なのでしょう。
そして「大人も知らない」という表現は、少し大人を揶揄する意味もあるように感じます。
喜びが溢れて止まらない 夜の眠り方
悔しさで滲んだ 心の傷の治し方
傷ついた友の 励まし方
ここでも答えのない問いの例が挙げられています。
喜び溢れる夜の眠り方。
心の傷の癒し方。
傷心した友の励まし方。
いずれも大人ですら答えられないことばかりですね。
あなたとはじめて怒鳴り合った日
あとで聞いたよ 君は笑っていたと
想いの伝え方がわからない
僕の心 君は無理矢理こじ開けたの
ケンカし口論になった後、笑っていた親友の気持ちがうかがえます。
不器用で自分の心を伝えるのが苦手な主人公の本音を、親友はあえて本気でぶつかる事で引き出したのでしょう。
そして、本当に仲の良い関係はこうして腹を割って話し合い、ケンカもできる間柄であると伝えたいのではないでしょうか。
あぁ 答えがある問いばかりを
教わってきたよ だけど明日からは
僕だけの正解をいざ 探しにゆくんだ
また逢う日まで
これからは、尊敬していた親友とは卒業で違う道を歩んでいきます。
今までは親友が助けてくれた時や、答えをくれた時があったかもしれません。
しかし、卒業後は自分自身で正解を探していくんだ、という信念を固めています。
次の空欄に当てはまる言葉を
書き入れなさい ここでの最後の問い
「君のいない 明日からの日々を
僕は/私は きっと □□□□□□□□□□□□□□□□□□」
学校で出されるテストのように「卒業後の親友がいない日々をどう過ごすか?」という問いを、自らに対して課している部分です。
この部分は、大切な人との時間もいずれ終わりが来ることを示しているのでしょう。
そして、その後にやってくる寂しさをどう乗り越えるか?ということを、考えさせる意図もあるのではないでしょうか。
制限時間は あなたのこれからの人生
解答用紙は あなたのこれからの人生
答え合わせの 時に私はもういない
だから 採点基準は あなたのこれからの人生
「よーい、はじめ」
前フレーズで出た問いについて、答えまで導いてくれる親友はもういません。
そのため、自らの人生をかけて正解を考える必要がありますが、答えを出した時には親友と別々の道を歩んでいることでしょう。
つまり、その出した答えの採点(つまり正解か)は、結局自分自身の人生で正しいか判断するしかないのです。
まとめ
以上、RADWIMPSの『正解』の解釈でした。
まさに卒業する学生たちの悩みや心情、青春時期の想いを上手く捉えた、素敵な曲であることが分かりましたね。
また、現役の学生だけでなく卒業し、忙しなく働く社会人の人にとっても、当時の記憶を呼び起こさせる歌詞になっていました。
そして、正解のない問題に直面することが人生では当たり前なのに、学校では全く教えていないという矛盾についても考えさせられます。
繰り返し聞くほど、感動し色々な思いもよぎる曲ですので、気になる方はぜひアルバムで聞いてみて下さい!