【プラネテス/キタニタツヤ】歌詞の意味を考察、解釈する。

優れた楽曲センスを持つ新進気鋭のアーティストであるキタニタツヤが、ドラマ「ゴシップ#彼女が知りたい本当の〇〇」の主題歌として2曲の提供を行い、注目を集めました。
我々は今回、そのうちの1曲『プラネテス』の歌詞の意味について考察してみたいと思います。

ドラマ主題歌

2022年1月から放送が開始されたドラマ「ゴシップ#彼女が知りたい本当の〇〇」は、黒木華さんが主演を務める作品です。
このドラマの主題歌を手がけているのは、キタニタツヤというアーティストです。
彼はその高い楽曲センスで注目を浴びています。
驚きなことに、キタニタツヤはこのドラマの主題歌を2曲同時に担当しており、1人のアーティストがW主題歌を提供するのは異例のことです。
この特別な提供が発表された際、曲のタイトルや内容は秘密とされ、ドラマの放送中に解禁されていきました。

物語の前半では、1話放送時にフル尺で初めて聴ける主題歌『冷たい渦』が解禁されました。
そして物語の後半、第6話の放送に合わせて初めて公開されたのが、今回考察する『プラネテス』という曲です。
この曲には、キタニタツヤ自身が「寂しい曲なのかもしれんしあったかい曲なのかもしれん」と述べるように、深い感情が込められています。

また、YouTubeでは公式MVが公開され、その1時間後には「THE FIRST TAKE」バージョンも公開されました。
どちらのバージョンも再生回数が100万回を超えるなど、多くの人々に聴かれています。

おそらく黒木華さん演じる主人公や瀬古凛々子といった登場人物たちの、孤独でありながらも寂しさを感じさせないキャラクターを思い浮かべながら作った曲なのでしょう。

自身の存在する場所さえも見失ってしまった

まず、楽曲名の『プラネテス』についてですが、調査によれば、このタイトルは古代ギリシャ語で「惑う人々」という意味です。
同時に、この言葉は「惑星」とも関連しています。

なお、YouTubeに公開されている『プラネテス』のミュージックビデオの概要欄には、英語タイトルの歌詞も掲載されており、そのタイトルは『Two Drifters』です。
これを日本語に訳すと「2人の漂流者」という意味になります。
したがって、『プラネテス』という楽曲名は、単に「惑星」を指すのではなく、むしろ「惑う人々」という意味合いがより強調されているようです。

知らない国に迷い込んだみたいだ
誰もが綺麗な嘘で話してる
この手をどこにも繋げないまま、私は
もがくようにあなたを探している

歌詞の内容から、実際には知らない場所に迷い込んだわけではないようです。
この歌詞は、孤独から生まれる寂しさや方向感のなさを表現していると解釈できます。

さらに、周囲の人々の言葉が「綺麗な嘘」として響き、他人を信じることが難しい「私」の感情が感じられます。
何処にも手を差し伸べることなく立ち止まっている状況からも、「私」の内面にある信頼の難しさが伝わってきます。

そして、歌詞には「あなた」への信頼が強調されていますが、その存在を見つけ出すことはできないと描かれています。

私はどこにいるの?

結局、自身の存在する場所さえも見失ってしまったようです。

必要なのは「正しさ」ではなく、「勇気」

キタニタツヤは自身のTwitterで、『プラネテス』について以下のようにつぶやいていました。
「大切な人がいる人はその人のことを考えながら、居なくてもきっとこれからそんな人と出会うであろう自分について思いを巡らせながら聴いてほしい。」
おそらく、キタニタツヤ自身も大切な人のことを胸に秘めながら、この楽曲を制作したことでしょう。
その感情が歌詞にも感じられます。

あなたとふたりで息をしていたい
あなたとふたりで泳いでゆきたい

「息をする」という日常の行為ですら、あなたと共に過ごしたいと感じています。
つまり、あなたと一緒に「生きていきたい」という想いが込められているでしょう。
その次に続く「泳いでゆきたい」というフレーズは、ミュージックビデオ内で「私」が海中を泳ぐ場面が描かれていることから、この部分がそれに関連しているかもしれません。

ただあなたとだけ手を繋げるなら
ただあなたとだけ夜をやり過ごせたら
信じられるものなどひとつもなくても
ふたつの寂しさでも

歌詞の後半には、「ふたつの寂しさでも」という言葉が現れます。
おそらく、「私」だけでなく「あなた」も同じように孤独に迷っているのでしょう。
たとえ手を繋げたり、夜を共に過ごせたとしても、それだけでは新しい何かが生まれるわけではないことが伝えられています。
その場所には、これまで感じてきた「ふたつの寂しさ」が変わらず存在しているのです。

夜を「やり過ごす」という表現も、心の中にある寂しさや迷いからくる、夜をどうにかして越えたいという欲求が含まれているのかもしれません。

誰もが独りで生きてはゆけない
悲しみの重さを受け止めきれない

繋がり合うことを恐れずにいられたら
目に見えない悪意に苛まれようとも
正しくあれなくとも

孤独や寂しさと闘う人々にとって、求められるのは「正しさ」ではなく、お互いに結びつくための「勇気」なのです。

まとめ

今回、私たちはキタニタツヤの楽曲『プラネテス』の歌詞の意味について考察してみました。
この楽曲にはさまざまな解釈があり、皆さんもぜひ大切な人を思い浮かべながら聴いてみてください。
また、キタニタツヤ自身が手がけた短編映画のようなミュージックビデオも要注目です。
ビデオを通じて、同じ曲でも新たな視点で楽しむことができることでしょう。