【Oasis】UKロックを語る上で彼らを無視することはできない。

UKロックを語るとき最重要と言えるバンドの1つにオアシス(Oasis)は間違いなく入ってくるでしょう。

彼らの最大の魅力は曲。
思わず一緒に歌わずにはいられない力強く心地よいメロディの数々で全世界をねじ伏せた稀有なバンドです。
その偉業をデビューからたった2枚のアルバムで成し遂げてしまうのだからその熱気はとんでもないものでした。

今も初期の2枚を神格化しているファンが多く存在しています。
オアシスの魅力を知りたい人にはまずその2枚を聴き込むことをおすすめします。
1994年9月にリリースされた1stアルバム「デフィニトリー・メイビー」と、翌1995年10月にリリースされた2ndアルバム「モーニング・グローリー」の2枚です。

1stは英国で初登場1位の大ヒットとなり、当時のデビュー・アルバム最速売り上げ記録を達成。
数多くのフォロワーを生み出しました。

続く2ndも当然のように英国チャートで1位を獲得。
アルバム売上枚数が全世界で2500万枚以上を記録する驚異の大ヒットとなり、あのビートルズが名盤「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」で樹立した英国アルバム売上げ記録を約30年ぶりに更新するという歴史的大ヒットとなったのです。

UKロックの流れを大まかに見てみると、60年代はビートルズやローリング・ストーンズらのビートロックが全世界を魅了し、70年代にはレッド・ツェッペリンやクイーンなどハードロックが登場し、セックス・ピストルズらパンク・ロックも台頭してきます。
80年代になるとデュラン・デュランを筆頭とするニューロマンティックと呼ばれるエレクトロポップが大ブームとなり、ポップスとダンスミュージックに席巻されます。
90年代は米国シアトルから登場したニルヴァーナが退廃的で陰鬱な楽曲でグランジという一大ブームを巻き起こし暗く重い曲がヒットチャートを賑わしていました。

そんな中で登場したのがオアシスだったのです。
当時あまりに王道すぎて過去の遺跡のように扱われていたビートルズを恥ずかしげもなく大好きだと公言し、セックス・ピストルズのジョニー・ロットン(ジョン・ライドン)をボーカリストとして崇拝していると語るオアシスはすぐに音楽ファンに一目置かれる存在になりました。

有言実行と言わんばかりに、力強く時に優しい王道とも言えるシンプルなグッド・メロディに、ふてぶてしく吐き捨てるようなパワフルかつどこか繊細なボーカルを乗っけてアルバムを発表。

思いっきりフルスィングしてみたら真芯を思いっきり捉えたという感じは、聴く者からしても痛快な音楽体験だったように思います。
当時はこんなバンド他にはいなかったと記憶してます。

オアシスの登場以降、雨後の筍のごとくビートルズ好きを公言した似かよったバンドが英国を埋め尽くしていたのを見るとオアシス登場のインパクトがどれほど大きかったのかが分かります。
UKロックの方向性を変えてしまったと言っても過言ではないでしょう。

このバンドの魅力や凄さを語るということは、ギャラガー兄弟の魅力や凄さを語る事と同じなんだと思います。

作曲の天才がよくメロディが降ってくると言います。
かつてポール・マッカートニーが「イエスタデイ」を書いた時、あまりにもメロディがスラスラと出てくるので人の曲だと思ったと言った事があります。
オアシスのメイン・ソングライターであり、ギターとボーカルも担当するギャラガー兄弟の兄、ノエルにもそんなところがあります。
頭の中に曲があるから譜面など使ったことがないし歌詞を書き留めたこともないと言い放ち、次から次へと名曲を数多く世に放ってきました。

そんな名曲たちもメインボーカルであるギャラガー兄弟の弟、リアムの歌声がなければその魅力を最大限に発揮できなかったかもしれません。
ビートルズとピストルズという相反するように思える2つのバンドを最大限に敬愛しているリアムは、その両方のいいとこ取りをして力強く優しく歌い上げるのです。
ステージに立つ時のふてぶてしい態度や、両手を後ろに組んでマイクを仰ぎ見るように高らかに歌う応援団スタイルは唯一無二で、まさにロックスターというオーラは他のボーカリストには出せない独特の魅力でしょう。

とは言え、オアシス最大のヒット曲であり、洋楽を全く聴かない人でもサビを聴けば「あ、この曲知ってる」と言わせてしまう名曲「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」は兄のノエルがメインでボーカルを取った曲だったりします。
本当に良く出来た大好きな曲は弟には歌わせない、と何かで言ってたのもニヤっと笑わせてくれます。

余談ですが90年代後半にイギリス1人旅に行ったことがあります。
私は飲み歩くのも好きなので夜のロンドンをはしご酒と称して徘徊しておりました。
ハイドパーク周辺を散策しているとイギリス人の若い兄ちゃんたちが3人くらいでボトルビールを片手にベンチに置いたラジカセから流れてくる曲に合わせて何やら歌を歌ってたんです。

面白そうなので近づいてみると曲の正体はオアシスの「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」でした。
「この曲大好き!」と思わず言うとその兄ちゃん達は自分を手招きして輪に入れてくれました。
楽しく皆で歌っていると我も我もと若い兄ちゃん姉ちゃんらがどんどん集まってきて、最終的に20人くらいで肩を組んで大きな輪になって大合唱になったんです。

その輪を遠巻きに見ていた英国人の老若男女も結局は一緒に歌いだしていました。
音楽の力、曲の力、オアシスの力をまざまざと見せつけてくれたこの日から自分のフェイバリットソングがこれに決まりました。

最高の曲と最高の歌声。
これがオアシスを最高のバンドへとのし上げたのです。
もちろんライブが凄いなんてのは言わずもがなで、自分も何度もライブに足を運びました。
伝説と語り継がれるライブもDVDでかかさず見ました。
特に英国最大のロックフェス、グラストンベリーでの初のヘッドライナーや、2日間で4万人を動員し、ヨーロッパの屋内ライヴとしてはギネス記録となったアールズコート、ロンドン郊外で2日間で25万人を集めた究極のネブワースなどは圧巻で必見です。
圧倒的な曲の魅力とバンドのパワー、大観衆が大合唱の嵐という涙目と鳥肌なしでは見ることが出来ない奇跡のような瞬間を味わえます。

初期の偉業が熱気を帯びて語られることの多いバンドですが、名盤と語り継がれる1stと2nd以降も魅力を落とすことなく良い曲、良いアルバムを出し続けています。
B面の未発表曲ばかり集めたアルバムも正規アルバムに負けない良い曲だらけなのに驚かされます。

いま思うとオアシスほど新作が待ち遠しいバンドはいなかったかもしれません。
音楽はCDを買わないと聴けなかった時代です。
ニューアルバムのリリース情報があれば早々に予約をして指折り数えて発売日を待ち、リリース当日に興奮気味にCDショップへと走り部屋で大音量で聴きまくる。
先行リリースしたシングルなどもかかさずチェックしてアルバム未収録曲があれば必ず買ってました。なにしろハズレ曲がないので全ての楽曲を聴きたいと渇望していました。

そんなバンドって今いるのかな。
スマホでいつでも気軽に音楽が聴ける時代にあのワクワク感や高揚感は薄れてしまっているような気もします。

そんなオアシスもメンバーチェンジや兄弟喧嘩を繰り返し、2009年に兄ノエルの脱退という形で終焉を迎えます。
1994年から2009年と15年の活動でした。スタジオアルバム7枚と多くの名曲と伝説を残しました。
今でもどのアルバムを聴いてもハッとするような名曲の数々に目頭が熱くなります。

兄ノエルは類まれな作曲能力でソロになってからも大活躍。
オアシス時代と同様に大きなロックフェスのトリを務めるなど自由に羽ばたき続けています。

弟リアムは別バンド「ビーディアイ」などを経てソロに転身しましたが、オアシス時代ほどの大きなステージに立つことは出来ず、若干くすぶっているような印象を受けます。

いつかオアシスの再結成を見てみたいと願うオアシス・ファンは自分だけではないでしょう。
その勇姿を見届けるまでギャラガー兄弟を見守り続けたいと思います。

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