【恋人ができたんだ/My Hair is Bad】歌詞の意味を考察、解釈する。

新潟出身のスリーピースバンド「My Hair is Bad(マイヘアーイズバッド)」は、等身大でリアルな歌詞と感情豊かなサウンドが特長のバンドです。
彼らの曲「恋人ができたんだ」では、複雑な男心が描かれています。
今回は、心を打つエモーション溢れる歌詞の意味に注目したいと思います。

自分に言い聞かせる

恋人ができたんだ
本気で好きと思う子なんだ
君の調子はどう?君の調子はどうだい?

恋人ができたんだ
君には似ても似つかないんだ
君の調子はどう?君の調子はどうだい?

恋人ができると、喜びと楽しさに満ちた幸せな気持ちに包まれることでしょう。

しかし、「My Hair is Bad」の「恋人ができたんだ」では、恋の喜びだけではなく、男心の複雑さと現実味が描かれています。

遠回しな皮肉ではなく、真剣に新しい恋人に惹かれていると語っています。
彼が愛してやまない女性は、かつての恋人とは全く異なるタイプの人物です。

元カノと現在の恋人を比べてしまい、心に苦しみを抱えるような内容です。
この切なさが胸を締め付けます。

「本気で」という言葉から、彼は現在の恋人に対しても強い愛情を抱いていることが伝わりますが、なぜか元カノが気になってしまうのです。

この理由を深く探求してみましょう。


恋人ができたんだ
先のことも考えてるんだ
君の調子はどう?
君の調子はどうだい?

恋人ができたんだ
遊園地にも一緒に行ったよ
君の調子はどう?
君の調子はどうだい?

「遊園地にも一緒に行ったよ」という歌詞からも、彼女とうまくいっていることがうかがえます。

なぜ、別れた恋人へわざわざ伝えているのでしょうか。

その理由は、主人公が今でも元カノの様子を気にかけているからだと考えられます。

彼はただひたすらに、元カノの様子が気になっています。

その姿勢から、周囲の人々は「元カノに未練がある男性」と見なしてしまうでしょう。

「恋人ができたんだ」というフレーズは繰り返されますが、これは主人公が自分に対して強く言い聞かせている言葉のようにも感じられます。

彼は、今の恋人を想うのなら、元カノへの未練など必要のないものだと自覚しているはずです。

しかし、心の奥底ではどうしても元カノを探してしまうのです。

それに対抗する自分自身への暗示よりも、元カノの様子が気になることが勝ってしまっているのです。


別れる と 離れる は
似たようで違うみたいだ
僕らも二人と呼ばれてたね

似たような意味合いの言葉でも、実際には異なるものでした。

恋人としての関係を終わらせる決断と、一時的に距離をおいて冷静になる決心。

この選択を誤ってしまった結果、二人は恋人ではなくなってしまったのでしょう。

3行目の歌詞には、別れてしまった後悔のような感情が込められていることがわかります。


出会ってしまった 通じ合ってしまった
それは消せないけど
奪ってしまった 奪われていった
心を返してもう眠ろう
街ですれ違ったって 思い出したって
話しかけないでね
恋は薄まって でも愛はまだ残っているよ
もう会えないよ
だって 恋人ができたんだ

自分ではどうにもならない悲しさに苦しむ時、時折「出会わなければよかった」という思いが湧いてくることがあります。

しかし、それは消せないものです。

おそらく、恋人との別れ後には連絡が途絶えることでしょう。

もしかしたら、辛い別れ方をしたのかもしれません。

だからこそ、「話しかけないでね」という言葉は必要ないのです。

その後に続く「でも愛はまだ残っているよ」という歌詞は、一見すると矛盾しているようにも見えます。

自分では立ち直ったつもりでも、突然昔の恋人を思い出してしまったり、新しい恋人ができたから会うことはできないと自分に言い聞かせているのかもしれません。


でももしも君を知らなかったら
今の恋人も好きになってなかったんだろう
顔も歳も話し方も好きな物さえも違う
番号も指輪も下着の場所も写真も
録画していたあのドラマも
もう覚えていなくてもいいのに

昔の恋人とのさまざまな経験があったからこそ、新しい恋人に出会うきっかけとなり、感謝の気持ちが込められています。

この歌詞には、昔の恋人の細かい部分まで鮮明に思い出してしまう主人公の心情が描かれています。

「下着の場所も」や「録画していたあのドラマも」というリアルな描写は、なかなか見られないものです。

My Hair is Badの魅力は、飾らない生々しい言葉を選び、それを格好良く表現するところにあります。

この場面からは、主人公が現在幸せであることが伝わってきます。

それでも、過去の恋人と比べてしまう心の葛藤が浮かび上がります。

彼の心には、その人の「人間味」を表す仕草や癖などが強く刻まれて離れないのです。

こうした心情が、多くの人々の共感を呼び起こしているのだと感じられます。


恋人ができたって
君からちゃんと聞いていないよ
どうか幸せに

どうやら昔の恋人が新しい恋人を作ったという情報を、どこかから耳にしたようです。

自分にはもはや関係のないことでも、なぜか心にダメージを受けることがあります。

唯一できる必死の抵抗として、彼は「どうか幸せに」という短い言葉を贈ることにしました。

自分の立場からは、「恋人ができた」ということは、元恋人には伝えていない状況です。

それでも、主人公は元恋人の現在の様子が気になり、それを耳にしてしまったことで思わぬ落胆を感じたのでしょう。

この場面からは、彼の心には「悔しさ」が漂っていることが伝わります。


愛し合ってしまった繋がってしまった
それは消せないけど奪ってしまった奪われていった
心を返してもう眠ろう

君のことを知ってしまった。

この事実は、どうしても変えることができません。

僕は忘れても、君は忘れないかもしれないし、僕が忘れなくても、君は忘れるかもしれない。

しかしその過ごした時間は決してなくなることはありません。

だからこそ、その思い出を胸の奥にしまって、明日を迎えようとしているのでしょう。

明日になれば、君のことを考えずに済むかもしれない。

そんな風に自分に暗示をかけていると読み取ることができます。

でも、「考えないように考えないように…」と思っている時に限って、つい君のことばかり考えてしまうものなのです。

そうしてこの楽曲が始まってからもずっと、僕は君のことしか考えていないのです。

君への思いが僕にとってどれほど大きかったのか、それを感じることができるでしょう。


時間が経って 思い出せなくなって
忘れてもいいよね
恋は薄まって でも愛はまだ残っているの?
もう会えないよ
僕ら 恋人ができたんだ

忘れられないというのは、忘れたくないという気持ちの表れなのでしょう。

純粋に恋人を愛した自分や、過ごした時間を否定したくないのです。

そのため、忘れることに罪悪感を感じているのだと考えられます。

ここで再び、「でも愛はまだ残っているの?」という歌詞が登場します。

これは、彼女にも同じように思ってほしいという複雑な気持ちが表現されています。

でも、大好きだったからこそ、2人はもう会うことはできないのです。

お互いに新しい恋人ができたのですから。

これを自分に言い聞かせて、僕は君への想いに蓋をしていくのです。

過去には戻れない

「恋人ができたんだ」は、非常に複雑な心境が表現された楽曲です。
以下に要点をまとめると、次のような内容になります。

・主人公の現状と気になる相手の様子への思い
・二人の思い出から生じる後悔と心の葛藤
・相手の現在の状況と未来への想い
・過去に戻ることは不可能であることへの悲しみと受け入れ

これらの要素により、胸に迫る切なさと心の痛みが伝わってきます。


恋人ができると、とても嬉しい気持ちでいっぱいです。

しかし、同時に君のことが気になっています。
曲を聴くと、君のことを思い出してしまうんです。
君とは別の恋人がいるのに、なぜか君のことが頭から離れないんです。

その理由ははっきりしていて、君に対して未練がまだ残っているからなんだと思います。


過去には君とのたくさんの思い出があります。

今の恋人とも、たくさんの素敵な思い出を作るつもりです。

それでもどうしても君の影が時折チラついてしまいます。

今の恋人との幸せな時間を大切にしているけれど、それは君との過ごした時間があったからこそです。

でも、もし君と別れなかったら、違う未来になっていただろうなと思うこともあります。

もしかしたら今よりもっと幸せだったかもしれないし、君の存在の大きさを感じることもなかったのかもしれません。

それでも、今は「恋人ができたんだ」と幸せを感じています。

過去の言葉や行動について後悔することもありますが、辛い状況でも前を向いています。


風の噂で君の今の状況を知ることができました。

君も「恋人ができたんだ」とのことですね。

この事実を知ったとき、悔しいや悲しいといろんな感情が湧き上がりました。

僕にも恋人がいるのだから同じ状況なのに、なぜか少しムッとしてしまう自分がいます。

間違いなく、まだ君のことを好きなんだろうなと思います。

それでも、この思いは君には打ち明けることはありません。

君の状況を祝福してあげなければいけない。

どんなに辛くても、僕にも「恋人ができたんだ」という現実があるからです。


君にも恋人ができたし、僕にも恋人がいます。

もう過去に戻ることはできないので、君に再び会うことはできません。

複雑な気持ちが交錯していて、悲しいような、それでよかったような感情が心に渦巻いていることが伝わってきます。

「恋人ができたんだ」という楽曲は、切ない主人公の心情がリアルに描かれており、胸が締め付けられるような感覚が伝わってきます。