sumikaの「Umm」は、2026年8月19日に配信リリースされた楽曲です。NHK『みんなのうた』2026年8~9月の新曲として制作され、sumikaにとって『みんなのうた』初登場作品となりました。作詞・作曲は片岡健太、編曲は宮田“レフティ”リョウとsumikaが担当しています。
タイトルの「Umm」は、日本語にするなら「うーん」。
何かを決めきれないとき、正解が分からないとき、私たちは無意識に「うーん」と声を漏らします。
一見すると何でもない言葉ですが、この曲が描いているのは、そんな答えを出す前の時間そのものなのではないでしょうか。
今回はsumika「Umm」の歌詞が伝える意味について、タイトルや『みんなのうた』で提示されたテーマを手がかりに考察します。
sumika「Umm」はどんな曲?
NHK側の楽曲紹介では、「Umm」は情報や選択肢があふれる毎日のなかで、自分にとってどの選択が心を動かすのか、自分らしい答えとは何なのかと迷う気持ちを、ファンキーなサウンドで肯定する作品として紹介されています。
ここで重要なのは、「迷いをなくす歌」ではないことです。
普通、迷っている状態はネガティブに捉えられます。
早く決めなければならない。
正しい答えを見つけなければならない。
周囲より遅れてはいけない。
しかし「Umm」は、そんな焦りとは反対の方向を向いています。
「分からないなら、分からないまま考えていてもいい」。
そんな優しい肯定が、この曲の中心にあるように感じられます。
タイトル「Umm」の意味とは?
「Umm」は、英語圏でも考え込んだときに出る「えーっと」「うーん」に近い間投詞です。
つまりこのタイトルには、最初から明確な答えがありません。
「YES」でも「NO」でもない。
「こっち」と決めるわけでも、「あっち」を否定するわけでもない。
その中間にあるのが「Umm」です。
だからこそ、このタイトルそのものが曲のテーマを象徴しているのでしょう。
人生では、すぐに答えられないことのほうが多いものです。
進学、仕事、恋愛、人間関係。
今日何を食べるかという小さな選択から、人生を変えるような大きな決断まで、私たちは常に何かを選んでいます。
そのたびに心の中から出てくるのが、
「うーん……どうしよう」
という声です。
「Umm」は、その言葉にならない迷いを、そのままタイトルにした曲なのだと思います。
選択肢が多いほど、人は自由になれるとは限らない
現代は、昔よりも多くの情報に触れられる時代です。
スマートフォンを開けば、誰かのおすすめや成功例、ランキング、レビュー、流行が次々と流れてきます。
選べるものが増えたという意味では、私たちは確かに自由になりました。
しかし、選択肢が増えるほど、
「本当にこれでいいのだろうか」
という迷いも増えていきます。
他人の人生が簡単に見えるからこそ、自分の選択に自信が持てなくなることもあります。
NHKによる「Umm」の紹介でも、膨大な情報と選択肢のなかで迷う人間の気持ちがテーマとして示されています。
そう考えると「Umm」は、子どもだけに向けた曲ではありません。
むしろ情報に囲まれて生きる大人ほど、その意味が分かる歌なのではないでしょうか。
「正しいもの」ではなく「心が動くもの」を探す
「Umm」で描かれている迷いには、もうひとつ重要なポイントがあります。
それは、
何が正しいかではなく、自分の心がどこへ向くのか
を考えていることです。
世の中には、「正解らしいもの」がたくさんあります。
人気のあるもの。
効率のいいもの。
失敗しにくいもの。
周囲から評価されるもの。
けれど、それを選んだからといって、自分が幸せになるとは限りません。
だからこそ人は迷います。
頭ではこちらが正しいと分かっているのに、心は別の方向へ動いてしまう。
そのときに生まれる「Umm」は、優柔不断の証拠ではありません。
むしろ、
自分の気持ちを雑に扱わず、きちんと確かめようとしている音
なのではないでしょうか。
なぜ「迷い」をファンキーな音で歌うのか
「迷い」というテーマだけを聞けば、静かなバラードを想像しても不思議ではありません。
しかし「Umm」は、軽快でファンキーなサウンドを持った楽曲として作られています。
J-WAVE『SPARK』では、メンバー自身が演奏の難しさにも触れており、単純な子ども向け楽曲ではないこともうかがえます。
ここには、sumikaらしい面白さがあります。
迷うことを深刻に描きすぎない。
「どうしよう」と悩んでいる自分さえ、少し楽しんでしまう。
人生を一本のまっすぐな道ではなく、選択肢だらけの冒険として捉えているようにも聞こえます。
もし迷うことが人生から完全になくなったら、それは本当に楽しいのでしょうか。
次に何が起きるか分からないからこそ、人生には驚きがあります。
「Umm」の弾むような音楽には、
迷っている時間も人生の一部なのだから、そこまで怖がらなくていい
というメッセージが込められているように感じます。
『みんなのうた』であることにも意味がある
「Umm」がNHK『みんなのうた』のために書かれた作品であることも、この曲を考えるうえで重要です。
『みんなのうた』は子どもも大人も耳にする番組です。
そのため「Umm」のテーマは、特定の年代だけに限定されていません。
子どもなら、
「何をして遊ぼう」
「将来何になろう」
という迷いかもしれません。
大人なら、
「この仕事を続けるべきか」
「この生き方でいいのか」
という迷いになるでしょう。
年齢によって悩みの中身は変わっても、「うーん」と考える瞬間そのものは変わりません。
だからタイトルは難しい言葉ではなく、誰でも知っている「Umm」なのでしょう。
なお、『みんなのうた』で流れるアニメーションは、かずきおえかきが担当。曲のテーマは冒険活劇として映像化されています。
迷うことを「立ち止まること」ではなく、「次の場所へ進むための冒険」として描くこの映像表現も、楽曲のメッセージとよく重なっています。
「Umm」は答えを教えてくれる歌ではない
この曲の魅力は、最後まで「これを選べば正解」と教えてくれないところにあると思います。
人生には、誰かから正解を教えてもらえないことがあります。
どちらを選んでも何かを失い、どちらを選んでも新しいものを得る。
そんな選択ばかりです。
だから大切なのは、迷わないことではありません。
自分が何に迷っているのかを、自分自身が知ること。
「Umm」と声に出す時間は、そのために必要な時間なのでしょう。
すぐに決められない自分を責める必要はない。
迷っているということは、それだけ真剣に自分の人生を選ぼうとしているということでもあります。
まとめ|「Umm」が肯定する“迷っている時間”
sumika「Umm」は、情報も選択肢も多すぎる時代を生きる私たちに向けた、迷うことを肯定する歌だと考えられます。
タイトルの「Umm=うーん」は、答えではありません。
しかし、この曲では答えが出ていないこと自体が否定されていません。
むしろ、
迷う
↓
自分の気持ちを確かめる
↓
自分なりの道を選ぶ
という過程こそが大切なのだと伝えているように感じられます。
「正しい選択をしなければ」と焦ってしまうとき、人は自分自身の感情を置き去りにしてしまいます。
だから一度、「うーん」と考えてみる。
遠回りに見えても、その時間があるからこそ、自分が本当に進みたい方向に気づけるのかもしれません。
「Umm」は、答えを与えてくれる曲ではありません。
答えが見つかるまで迷っていてもいいと教えてくれる曲。
そこに、この作品の優しさがあるのではないでしょうか。


