「candle」は“女性目線”で描かれる切ない三角関係の物語
Novelbrightの「candle」は、作詞を手掛けた山田海斗がインタビューで語った通り、女性の視点から描かれた作品です。歌詞の主人公となる女性は、現在のパートナーではない過去の男性への感情を引きずっており、目の前にいる男性にその面影を重ねてしまいます。具体的な心情表現として、「愛されてるフリをしてた」「本当は誰を見ていたの?」というフレーズが示す通り、自分自身も騙し続ける切なさが描かれています。
“燃える炎”が示す“罪”と“癒し”──象徴としての“candle”の意味
「candle」において“燃える炎”は、罪深さと癒しを両義的に表現しています。歌詞中の「赤々と激しく揺れる炎は優しく傷口を癒してゆくよ」というフレーズは、一見すると癒しの描写ですが、同時に罪悪感や嘘が燃えることで浄化されていくという暗示も含んでいます。炎が持つ熱と光は、主人公が抱える感情的な傷の癒しとともに、心の奥底の罪悪感も示唆しているのです。
Bメロに込められた“路上ライブ時代”の回想
この楽曲のBメロでは、Novelbrightが路上ライブをしていた頃の回想が含まれていると言われています。歌詞中の「いつかの情景が鮮明に浮かぶ」という描写は、過去の夢や希望、純粋さといったものが、女性の恋愛模様と交錯しながら表現されているのです。この要素により、個人的な感情だけでなく、バンドとしての歴史やメンバーの実体験をも感じさせる深みが加えられています。
繰り返される“フリ”と“螺旋”──関係のループ状態を考察
楽曲の中で頻繁に登場する「フリ」という言葉と「螺旋を描く」という描写は、登場人物たちの関係が繰り返し同じ問題や感情の中で回り続けている様子を象徴しています。「愛されているフリ」「恋に溺れるフリ」をする主人公は、本音を隠したまま関係を続けてしまう現状を打破できず、苦しいループに閉じ込められていることが表現されています。このような描写から、人間関係における心理的な閉塞感や自己欺瞞への洞察が読み取れます。
最終章──「飾られるだけの愛は美しく崩れる」その核心とは?
最後のフレーズ「飾られるだけの愛は美しく崩れる」は、この曲のテーマを決定づける重要なメッセージです。ここで言う「飾られる愛」とは、本物の感情が伴わない表面的な関係や、自分を偽って保つ関係性を指しています。美しいと見えたものが脆くも崩れてしまうのは、その内面に誠実さや真実がないためです。曲の最後にこのフレーズを置くことで、聴く人に深い自己反省や、人間関係の真実性についての問いかけを促しています。
まとめ
Novelbrightの「candle」は、女性目線の複雑な恋愛模様を、炎という象徴的モチーフを用いて繊細かつ情感豊かに表現しています。歌詞は罪悪感や自己欺瞞の葛藤を軸に、真の愛情とは何かという問いを浮き彫りにし、表面だけの関係に対する鋭い批評性も兼ね備えています。