1. 『へんてこ』の歌詞に込められた恋愛観と感情の揺れ動き
『へんてこ』の歌詞には、恋愛の中で感じるさまざまな感情の「揺らぎ」が描かれています。好きという気持ちに確信が持てず、不安や戸惑い、時には相手とのすれ違いに悩む——そんな等身大の恋愛感情が丁寧に表現されています。
たとえば、「愛してるのに、どうして素直になれないんだろう」というような想いは、多くの人が経験する感情です。この楽曲では、そうした不完全で未熟な恋の感情を「へんてこ」という一言で象徴しているのです。単なるラブソングにとどまらず、人間関係の不器用さや心の葛藤をリアルに描き出しています。
2. あいみょんが描く「出会い」と「再生」の物語
『へんてこ』は、あいみょんが作詞・作曲を手がけた楽曲です。彼女の歌詞には、常に人間の「弱さ」と「強さ」の両面が描かれており、今作でもその特徴が色濃く現れています。
楽曲を通して語られるのは、一度壊れかけた関係が、もう一度再構築されようとする過程です。過去の傷を抱えたまま、それでも再び誰かと向き合おうとする姿勢は、現代に生きる若者たちのリアルな恋愛観と重なります。
この「再生」の物語は、誰かとの出会いによって自分自身を見つめ直し、変わっていく過程をも意味しており、あいみょんの歌詞らしい深い人間理解が感じられます。
3. 『猫』との対比から読み解く『へんてこ』の位置づけ
DISH//の代表曲のひとつである『猫』も、同じくあいみょんによる提供楽曲であり、『へんてこ』と比較されることが多いです。『猫』が「失恋」と「未練」の感情にフォーカスしているのに対し、『へんてこ』は「現在進行形の恋愛」に焦点を当てています。
『猫』では「もう戻れない恋」が歌われていますが、『へんてこ』では「もしかするとまだやり直せるかもしれない関係」が描かれており、視点や感情の段階が異なります。この違いは、同じ作家による作品でありながら、まったく異なる表情を見せていることを示しています。
また、『へんてこ』は音楽的にもポップで軽やかな印象があり、前向きなエネルギーを感じさせるのも特徴です。こうした点から、DISH//にとっての『へんてこ』は、新たな恋愛ソングの方向性を示した一曲とも言えるでしょう。
4. DISH//メンバーが語る『へんてこ』制作の舞台裏
DISH//のメンバーはインタビューなどで、『へんてこ』のレコーディングがとても印象的だったと語っています。特にボーカルの北村匠海は、「あいみょんの言葉の力をどう表現するか」に苦心したと話しており、歌詞のニュアンスを細かく解釈しながら歌い上げたそうです。
また、楽曲の持つ「素朴さ」や「不器用さ」を伝えるために、あえて感情を抑えたり、逆に言葉を噛みしめるように表現した部分もあるとのこと。制作チーム全体で、「完成されすぎない」生っぽさを意識していたことが伺えます。
このように、DISH//の楽曲作りには、メンバー自身の繊細な感受性と表現力が色濃く反映されています。
5. 『へんてこ』が描く恋愛の「へんてこさ」とは何か？
タイトルにもなっている「へんてこ」という言葉は、恋愛における非論理的で予測不可能な感情の象徴です。誰かを好きになる理由は説明がつかず、愛しているのにうまく伝えられなかったり、意味もなく不安になったりする。そんな矛盾に満ちた感情が「へんてこ」という言葉に集約されています。
この楽曲では、「好きだからこそ不器用になる」という恋愛の本質に切り込んでいます。完璧な関係よりも、どこか歪で、でも本気で向き合おうとする姿の方が、リアルで共感を呼びやすいのかもしれません。
恋愛は理屈ではなく、感情が優先するもの。『へんてこ』は、その「説明できない想い」を抱えながら生きる私たちの背中をそっと押してくれるような一曲です。
総括
『へんてこ』は、恋愛における未熟さや迷い、不安定さを丁寧にすくい取り、それをあいみょんらしい視点で言葉に落とし込んだ楽曲です。DISH//の表現力によって、その魅力はさらに引き立てられ、聴く人の心に深く残る作品となっています。
まとめ：
『へんてこ』は、恋愛の「普通じゃない部分＝へんてこさ」を肯定し、誰もが感じる不安や不器用さに寄り添う楽曲である。DISH//とあいみょん、それぞれの魅力が融合した名曲であり、恋愛に悩む人にそっと寄り添ってくれる1曲だと言えるでしょう。
