独自の世界観を持つロックバンド、ゆらゆら帝国の代表曲の一つである「ゆらゆら帝国で考え中」の歌詞の奥深さに迫ります!
この曲では、ゆら帝が一体何を思案しているのでしょうか?
ゆらゆら帝国ってどんなバンド?
ご存知でしょうか、ゆらゆら帝国というバンドが存在します。
このバンドは1989年から2010年までの活動期間を持っており、ファンの間では「ゆら帝」という愛称で親しまれています。
興味深いことに、人気ロックバンドであるきのこ帝国の名前の由来とも言われています。
今回は、ゆらゆら帝国の特徴と魅力について解説します。
この記事を読み終える頃には、ゆらゆら帝国の虜になってしまうこと間違いありません。
ゆらゆら帝国のメンバーは、存在感が際立っています。
彼らの個性は、そのままゆらゆら帝国の特徴となっています。
特に、「夜行性の生き物三匹」という曲が存在することからもわかるように、彼らは非常に独自の個性を持っています。
ここでは、そんな個性豊かなゆらゆら帝国のメンバーをご紹介します。
坂本慎太郎(Gt.&Vo.)
ゆらゆら帝国のギターボーカルを担当するのは、坂本慎太郎(さかもとしんたろう)という方です。
彼は特徴的なアフロヘアーのような天然パーマが印象的です。
ジミ・ヘンドリックスから大きな影響を受け、その音楽性にも一部反映されています。
ゆらゆら帝国が解散した後も、彼はソロでも活動しています。
亀川千代(Ba.)
ゆらゆら帝国のベースは、亀川千代(かめかわちよ)さんが担当しています。
彼は特徴的な姫カットが印象的で、名前からは女性のような印象を受けますが、実は男性です。
彼の風貌はまるで妖怪のようであり、演奏中は微動だにしません。
そのプレイスタイルは魅力的です。
現在、彼は灰野敬二さん率いるバンド「不失者(ふしつしゃ)」にも参加しています。
こちらもノイジーでカッコいいバンドとして知られています。
柴田一郎(Dr.)
ゆらゆら帝国のドラムは入れ替わりが激しいですが、1997年からは柴田一郎(しばたいちろう)さんが担当しています。
彼は現在、電子音楽家として「いちろう」という名前で活動しています。
また、彼は野外ロックフェスTAICOCLUBにも出演した経験があります。
坂本慎太郎に見える景色
では、本題に入りましょう。
「ゆらゆら帝国で考え中」は、皆さんもご存知のテレビ番組「はねるのトびら」のオープニング曲としても知られています。
この曲を聴いたことがある方も多いのではないでしょうか?
ゆらゆら帝国の曲の中でも特にロックな雰囲気が漂うこの曲ですが、実はその背後には坂本慎太郎さんの「メジャー」という道への葛藤が歌われているのです。
「ゆらゆら帝国で考え中」という不思議なタイトルや難解な歌詞について、解説していきたいと思います。
だいたい夜は独りで
家の中でろくでもない事
考えてるあいだに終わっちゃうね
何時電話しても
居ないって言うけど
頭の中で爆音で音楽が
鳴ってるから聞こえねえよ
この曲は、シンプルなスネアロールのイントロから始まり、以下のような歌詞が続きます。
歌唱というよりもむしろ語りのような感じがします。
ミュージックビデオでは、坂本慎太郎以外のメンバーがオレンジアンプに乗っていて、それがちょっとかわいらしいですね。
この部分は難解とまでは言いませんが、主人公は夜になるとろくでもないことを考えているようです。
そして、かかってきた電話には応答しましょう。
だいたい俺は今3歳なんだけど
2歳のときにはもう分かってたね
それは単純だけど少しの目の位置で
何にでも見えるってことを
2番の歌詞は少し難解ですね。
そこには主人公が3歳と表現されていますが、この部分の意味は何でしょうか?
実際に坂本慎太郎さんは1967年に生まれており、ゆらゆら帝国で考え中がリリースされたのは2000年ですから、その時点では彼は33歳でした。
このため、3歳を30歳、2歳を20歳と読み替えると納得がいきます。
彼は20歳の頃には「少しの目の位置で何にでも見える」ということを理解していたのです。
彼らにとってメジャーデビューとは何だったのか?
クレイジーワールド マンガの世界で
クレイジーワールド これからやっていくわけなんだけど
クレイジーワールド マンガの世界も
本当は楽じゃないぜ
サビ部分では、「クレイジーワールド」というフレーズが繰り返されます。
直訳すると「狂った世界」ですが、この歌詞ではそれを「マンガの世界」と例えているようです。
もちろん、坂本慎太郎さんが実際にマンガ家を目指していたわけではないと思われます。
この曲がリリースされたのは、彼らがメジャーデビューしたばかりの頃でした。
音楽業界は、彼にとっては狂った世界だったかもしれません。
彼らはまるでマンガのようなちょっとおかしい世界で活動していくつもりだったのかもしれません。
そんな彼らの思いが歌詞に反映されているのでしょう。
狂った世界とどう向き合うか?
ゆらゆら帝国の曲名「ゆらゆら帝国で考え中」。
この曲名に込められた意図とは、坂本慎太郎がメジャーデビューを経験した際に彼が何を「考え中」だったのか、興味深いですね。
私も一つの考えをお伝えしますので、お付き合いください。
それは単純だけど
少しの目の位置で何にでも変われるって
馬に変身 盛り上がって
ないときもなんらかの楽しみかたがあって
迷子になった覚えはない
スピードに乗ってる実感もない
でも最後に飛び乗った わけもないぜ
「少しの目の位置でなんでも変われる」という部分は、坂本慎太郎が一番伝えたいメッセージが込められていると言えるでしょう。
彼がメジャーデビューという環境に身を置いた時、それはまさに「クレイジーワールド」とも言える世界でした。
しかし、もし彼が馬に変身することができたら、目の位置も変わります。
新たな視点から物事を見ることができれば、何か新たな楽しみ方や可能性を見つけることができるのでしょう。
以上のように、彼の歌詞に込められた意味やメッセージは、彼自身にしかわからない部分もありますが、それぞれの人にとっても解釈の幅が広がるものであると言えます。
ゆらゆら帝国は1989年に結成され、メジャーデビューまで約10年もの間、インディーズでの活動を続けました。
当時はバンドブームの真っ只中であり、若いバンドが次々とデビューしていくなかで、彼らは取り残されたような感覚も抱いていたことでしょう。
ただ、彼らは「迷子」にはならず、自分たちなりに確固とした活動を展開してきたはずです。
しかし、スピード感や勢いを実感することはなかったのかもしれません。
そして、ようやくメジャーデビューを果たしたと思ったら、そこは「クレイジーワールド」でした。
バンドブームも終焉を迎え、J-POPがシーンを席巻していた時代でした。
この状況に対して、坂本慎太郎はどう向き合えばいいのかを考えます。
そして、その答えとして「目の位置を変える」という考えに至ったのではないでしょうか。
それによって、「最後に飛び乗ったわけ」ではないと感じられます。
この新たな視点が、彼らの名盤『空洞です』の独特で空虚な音楽性につながったのかもしれません。