KANA-BOON「スターマーカー」歌詞の意味を考察|過去を七色に塗り替えるヒーローの歌

KANA-BOONの「スターマーカー」は、変えられない過去を消すのではなく、新しい色を重ねることで、その意味を変えていこうとする歌です。

歌詞に登場する「君」は、当たり前の世界が放つ眩しさに耐えられず、目を閉じています。

周囲から見えない影の中で孤独を抱え、視野も少しずつ狭くなっています。

そんな「君」に対して主人公が差し出すのは、完成された答えではありません。

暗闇に置く小さな光。

涙を拭えるような音楽。

迷路を一緒に進む手。

そして、過去とは違う未来を描くためのパレットです。

谷口鮪は、「あなたの人生を救ってやれるのはあなただけ。あなたこそがヒーロー」という趣旨を公式コメントで語っています。

つまり、この曲の主人公が「君」を一方的に救うのではありません。

主人公は光や音楽を届けますが、最後に自分の人生を塗り替えるのは「君」自身です。

本記事では、「スターマーカー」というタイトル、星や七色の未来、「最低な夜」の意味を、TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』第4期「文化祭編」との関係から考察します。

※本記事には、歌詞と公式コメントをもとにした独自の解釈が含まれます。アニメの重大なネタバレは避けています。

  1. KANA-BOON「スターマーカー」の基本情報
  2. 「スターマーカー」の歌詞が伝える意味
  3. タイトル「スターマーカー」の意味とは?
    1. 星を見つけ、印を付ける存在
    2. 過去へ新しい色を重ねるマーカー
    3. 一人一人の星を線で結ぶもの
  4. 当たり前の眩しさに目を閉じる「君」
  5. 「誰の目にも触れない影」に置かれる一粒の光
  6. 流れ星は涙を表しているのか
  7. 変えられない過去に色を塗る
  8. 七色の未来とパレットが示す自由
  9. 「最低な夜」を抜けるとはどういうことか
  10. 道を間違えたら、戻って進めばいい
  11. 星を点と線でつなぐ意味
  12. ダンスフロアが生み出すヒーロー像
  13. 「君」が挙げた手を離さない
  14. 一瞬のきらめきでは終わらない祈り
  15. 『僕のヒーローアカデミア』文化祭編との関係
    1. 戦う以外の方法で人を救う文化祭編
    2. 「笑ってほしい」という願い
    3. デクだけの歌ではない
  16. KANA-BOONの再出発と重なるのか
  17. 金澤ダイスケの鍵盤が加えた「七色」
  18. MVに登場する“スターマン”の意味
  19. 「スターマーカー」に関するよくある質問
    1. 「スターマーカー」とはどういう意味ですか?
    2. 「スターマーカー」は誰に向けた歌ですか?
    3. 「君」は誰を指していますか?
    4. 「最低な夜」とは何ですか?
    5. なぜ星と色の表現が多いのですか?
    6. KANA-BOONのメンバー脱退について書かれた曲ですか?
  20. まとめ
  21. この曲が刺さった人におすすめの3曲
    1. KANA-BOON「まっさら」
    2. KANA-BOON「結晶星」
    3. KANA-BOON「ダイバー」
  22. KANA-BOONの関連記事
  23. 参考資料

KANA-BOON「スターマーカー」の基本情報

項目内容
曲名スターマーカー
アーティストKANA-BOON
作詞・作曲谷口鮪
先行配信日2020年2月1日
CD発売日2020年3月4日
収録作品15thシングル「スターマーカー」
カップリング曲シャッターゲート/ユーエスタス
タイアップTVアニメ『僕のヒーローアカデミア』第4期「文化祭編」オープニングテーマ
ゲストミュージシャン金澤ダイスケ(フジファブリック)
MV公開日2020年3月2日

「スターマーカー」は、KANA-BOONの15枚目のシングルとして発売されました。

通常盤には「スターマーカー」「シャッターゲート」「ユーエスタス」の3曲を収録。期間生産限定盤にはAnime SizeやInstrumentalも追加され、付属DVDには『僕のヒーローアカデミア』のノンクレジットオープニング映像が収録されています。

楽曲には、フジファブリックの金澤ダイスケがキーボードとアレンジで参加しました。

参考:KANA-BOON公式ディスコグラフィー『僕のヒーローアカデミア』公式音楽情報

「スターマーカー」の歌詞が伝える意味

最初に結論を述べると、「スターマーカー」は次のような歌だと考えられます。

苦しい過去によって世界が暗く見えている人へ、過去は変えられなくても、その意味と未来の色は自分自身で変えられると伝える歌。

一般的な応援歌では、歌い手が相手を救ったり、正しい道へ導いたりします。

しかし、「スターマーカー」の主人公は「君」の人生を代わりに生きることができません。

できるのは、「君」が閉じた目をもう一度開けられるように、小さな光や音を届けることだけです。

そして「君」も、最初から強いヒーローとして描かれているわけではありません。

迷い、道を間違え、孤独の中で強がっています。

それでも、自分の人生を救える唯一の存在は自分自身です。

完璧だからヒーローなのではありません。

間違えながらも戻り、再び進もうとする人が、自分の人生におけるヒーローなのです。

タイトル「スターマーカー」の意味とは?

「スターマーカー」という言葉について、谷口鮪が公式に語義を一つに定めた説明は、今回確認できた資料にはありませんでした。

そのため、以下はタイトル、歌詞、公式コメントを組み合わせた解釈です。

星を見つけ、印を付ける存在

英語の「star」は星、「marker」は印を付けるものや、文字・色を描く筆記具を意味します。

歌詞では、人々がそれぞれ一つの星として描かれています。

しかし、暗い夜空にある星は、見ようとしなければ気づけないことがあります。

特に「君」は、当たり前の眩しさから目を閉じ、誰にも見つからない影の中へ入り込んでいます。

「スターマーカー」とは、そんな見えなくなった星を見つけ、ここに光があると印を付ける存在なのではないでしょうか。

星を新しく作るのではありません。

もともと存在していた光を見つけ、その輝きを見失わないように示すのです。

過去へ新しい色を重ねるマーカー

歌詞には、変えられない過去へ色を塗り、七色の未来を描くイメージがあります。

この点から考えると、「マーカー」は過去を塗り替えるための筆記具とも解釈できます。

ただし、過去の出来事そのものを消すことはできません。

谷口鮪も公式コメントで、人にはそれぞれ暗い色や淡い色が付いた過去があると説明しています。

重要なのは、その色を完全に消すことではありません。

未来から別の色を重ねることで、過去の色が持つ意味を変えることです。

かつては失敗にしか思えなかった出来事が、誰かの痛みを理解する力になる。

孤独だった時間が、自分にとって本当に必要な人を知るきっかけになる。

色を重ねるたびに、過去の見え方も変わっていきます。

「スターマーカー」は、自分の人生という絵に新しい色を加え続ける人を表しているのでしょう。

一人一人の星を線で結ぶもの

歌詞では、点と点を線で結び、それぞれの星に光を灯す情景も描かれます。

夜空の星は、一つずつ見れば離れた点です。

しかし、人間が線を引けば、星座として一つの物語になります。

人も同じです。

一人では孤独な点に見えても、誰かと出会い、言葉や音を交わせば、その間に線が生まれます。

タイトルの「マーカー」は、星を目立たせるだけでなく、離れていた星同士を結ぶものとも考えられます。

「スターマーカー」とは、自分の光を見つける人であると同時に、他者とのつながりによって新しい世界を描く人なのではないでしょうか。

当たり前の眩しさに目を閉じる「君」

歌詞の冒頭では、「君」が当たり前の世界の眩しさに耐えられず、目を閉じています。

普通であることや、何気ない日常は、一般的には安心や幸福と結びつけられます。

しかし、自分が深く傷ついているとき、他人の当たり前は強すぎる光になることがあります。

周囲の人が笑っている。

夢に向かって進んでいる。

自分にできないことを、他の人は簡単にこなしている。

そうした光景を見続けると、自分だけが世界から取り残されたように感じることがあります。

「君」が目を閉じたのは、光が嫌いだからではありません。

自分と他人の違いを直視することが苦しくなったからでしょう。

この曲は、目を閉じた人へ「前向きになれ」と命令しません。

まず、その人が誰にも気づかれない影の中にいることを見つけます。

救いは、相手の苦しさを無視して強い光を浴びせることではありません。

暗闇の中でも受け止められる、小さな光をそっと置くことから始まるのです。

「誰の目にも触れない影」に置かれる一粒の光

主人公は、誰からも見つけてもらえない影の中に、小さな光を置こうとします。

ここで光が「一粒」と表現される点が重要です。

暗闇を一瞬ですべて消すほど強い光ではありません。

手のひらに乗るような、ごく小さな希望です。

心が弱っているとき、大きすぎる励ましは負担になることがあります。

「必ず成功する」

「すぐに元気になれる」

「もっと頑張ればいい」

そのような言葉は、受け取る側に新たなプレッシャーを与えるかもしれません。

「スターマーカー」の主人公が差し出すのは、人生を劇的に変える答えではありません。

暗闇の中にも、まだ完全には消えていない光があると気づかせるものです。

その一粒があれば、「君」は自分で次の一歩を探せるかもしれません。

流れ星は涙を表しているのか

歌詞では、夢が瞬く中で、流れ星が「君」の頬を伝います。

空を流れるはずの星が頬を伝うことから、この流れ星は涙の比喩と考えられます。

しかし、涙を単なる悲しみとして描いていない点が特徴です。

流れ星には、願いを託すものというイメージもあります。

つまり「君」の涙には、苦しさだけでなく、まだ叶えたい願いが残っているのでしょう。

完全に希望を失った人は、夢が叶わないことに涙を流すことさえできないかもしれません。

悔しくて泣くのは、心のどこかに「本当はこうなりたい」という願いがあるからです。

主人公は、その涙を無理に止めようとはしません。

代わりに、涙を拭えるような音色を届けようとします。

音楽は過去を変更できません。

しかし、泣いている人のそばにあり、その人がもう一度顔を上げるきっかけにはなれます。

この部分には、「スターマーカー」という楽曲自体が、聴き手へ差し出す一粒の光でありたいという願いも重ねられるでしょう。

変えられない過去に色を塗る

「スターマーカー」の中心にあるのが、変えられない過去に色を塗るという発想です。

過去を塗り替えると聞くと、悪い出来事を忘れたり、なかったことにしたりするように感じるかもしれません。

しかし、谷口鮪の公式コメントでは、「過去の色の意味を変えられる日が来る」と説明されています。

つまり、出来事そのものを変更するのではありません。

その出来事を、現在の自分がどのように受け止めるかを変えるのです。

たとえば、道を間違えた経験は、当時は失敗にしか思えません。

しかし後になって、その失敗が別の道を知るきっかけだったと思えることがあります。

過去の色は消えていません。

未来から新しい色を重ねたことで、絵全体の印象が変わったのです。

この曲は、つらい経験には必ず意味があると安易に美化しているわけではありません。

今は暗い色にしか見えなくても、人生という絵が完成したわけではないと伝えています。

これから加える色によって、過去の見え方も変えられるのです。

七色の未来とパレットが示す自由

歌詞の未来は、一色ではなく七色として描かれます。

一色だけの未来には、決められた正解しかありません。

ヒーローなら強くなければならない。

夢は必ず実現しなければならない。

一度決めた道から外れてはいけない。

そのような固定された未来は、かえって人を苦しめることがあります。

一方、七色の未来には、複数の可能性があります。

どの色を選ぶか。

どの色とどの色を混ぜるか。

どこに色を置くか。

それを決めるのは、パレットを持った本人です。

谷口鮪が「あなたの人生を救えるのはあなただけ」と語ったのも、この自己決定とつながります。

誰かが完成した未来を渡してくれるわけではありません。

他者から光や音色を受け取りながら、最後に自分の色を選ぶ。

七色の未来とは、必ず明るい出来事だけが続くという約束ではなく、自分で人生の意味を描き直せる自由を表しているのでしょう。

「最低な夜」を抜けるとはどういうことか

歌詞では、「最低な夜」を抜けることが繰り返し願われています。

夜は、不安や孤独、出口の見えない時間の象徴です。

しかし、この曲は夜を一瞬で昼へ変えるとは歌いません。

夜の中を進み、抜けようとします。

つらい状況にいる人へ、すぐに元気になることを求めないのです。

迷い、立ち止まり、時には道を間違えて戻る。

それでも進み続ければ、いつか夜の外へ出られるかもしれません。

また、「最低な夜」は「君」だけのものではありません。

主人公も同じ寂しさや強がりを抱え、暗い迷路の中へ入っていきます。

安全な場所から「頑張れ」と呼びかけるのではなく、相手を見つけるために、自分も暗闇へ潜るのです。

この点に、「スターマーカー」の優しさがあります。

道を間違えたら、戻って進めばいい

主人公は、迷路の中で左右を間違えることを否定しません。

間違えたなら、戻ってから再び進めばよいと考えます。

これは、失敗を成功へ無理に言い換える考え方とは異なります。

間違いは間違いとして認める。

進めない道なら引き返す。

そのうえで、別の道を選び直すのです。

一般的に「前へ進む」ことは、後戻りしないことだと思われがちです。

しかし、間違った道を進み続けるより、一度戻る方が未来へ近づくこともあります。

休むこと。

やり直すこと。

助けを求めること。

以前とは違う目標を選ぶこと。

それらもすべて、前進の一部です。

「スターマーカー」のヒーローは、一度も道を間違えない人ではありません。

間違えたと認め、何度でも進路を選び直せる人なのです。

星を点と線でつなぐ意味

歌詞では、点と点を線でつなぎ、それぞれの星に光が灯ります。

ここでの点は、一人一人の人間を表していると考えられます。

単独では小さく、離れて見える点も、線でつながることで星座や物語になります。

ただし、つながることで個々の光が消えるわけではありません。

歌詞では、それぞれの星に光が灯ります。

誰かと同じになるのではなく、一人一人が異なる星として輝きながらつながるのです。

これは『僕のヒーローアカデミア』の世界にも重なります。

登場人物たちは異なる「個性」を持ち、同じ方法で戦うことはできません。

それぞれの力や役割がつながることで、一人では作れなかった大きな光が生まれます。

「スターマーカー」は、孤独を個性の否定によって解決する歌ではありません。

違うままでもつながれることを歌っているのでしょう。

ダンスフロアが生み出すヒーロー像

後半では、目と目、耳と声がつながるダンスフロアが描かれます。

ここでは、人をつなぐものが戦闘能力や強い言葉ではなく、視線、声、音楽、ダンスであることが重要です。

誰かを救う方法は、悪と戦うことだけではありません。

歌うこと。

踊ること。

相手の目を見ること。

声を聞くこと。

手を差し出すこと。

そのような日常的な行為も、誰かにとっての救いになります。

主人公は、「君」に夜明けまで一緒に踊ろうと呼びかけます。

踊ることで問題が消えるわけではありません。

しかし、暗い時間を一人で過ごさなくて済みます。

この曲が描くヒーローとは、特別な力で敵を倒す人だけではありません。

誰かの孤独な夜に付き合い、夜明けまでその手を離さない人でもあるのです。

「君」が挙げた手を離さない

主人公は、夢の途中で「君」が手を挙げたなら、その手をつかんで離さないと宣言します。

手を挙げる行為には、複数の意味を重ねられます。

音楽に合わせて手を挙げる。

自分の存在を知らせる。

助けを求める。

何かに挑戦すると意思表示する。

いずれの場合も、「君」が自分から起こす小さな行動です。

主人公は、本人が何もしていない状態で無理に引っ張り上げるのではありません。

「君」が挙げた手を見逃さず、つかみ返します。

自分を救うのは自分であっても、一人だけで救わなければならないわけではありません。

本人が手を伸ばし、誰かがその手を取る。

自己救済と他者からの支援は、対立するものではないのです。

一瞬のきらめきでは終わらない祈り

主人公が願っているのは、「君」が一度だけ笑うことではありません。

その場しのぎの励ましや、一瞬だけの成功でもありません。

心から笑えるようになり、狭くなった視界を再び広げることです。

そのため、歌詞の祈りは、流れ星のように一瞬で消えるものではないと強調されます。

「一度応援したから終わり」ではなく、何度間違えても、もう一度信じる。

相手が迷路からすぐに出られなくても、探し続ける。

この持続する意志が、「スターマーカー」を単純なポジティブソングではない作品にしています。

希望とは、常に明るくいられることではありません。

暗い日が戻ってきても、また光を探せると信じ続けることなのです。

『僕のヒーローアカデミア』文化祭編との関係

「スターマーカー」は、TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』第4期第2クール「文化祭編」のオープニングテーマとして書き下ろされました。

谷口鮪は公式コメントで、過去に付いた暗い色や淡い色も、未来によって意味を変えられると説明しています。

さらに、人生を救えるのはその人自身であり、一人一人が自分の人生のヒーローであるという思いを込めたことも明かしました。

参考:『僕のヒーローアカデミア』公式・谷口鮪コメント

戦う以外の方法で人を救う文化祭編

『僕のヒーローアカデミア』では、ヒーローたちが敵と戦う姿が多く描かれます。

しかし文化祭編では、音楽、ダンス、展示、交流など、戦闘とは異なる方法で人を笑顔にしようとします。

これは「スターマーカー」の歌詞と深く重なります。

曲の主人公も、強い力で「君」の苦しみを取り除くわけではありません。

音色を届け、ダンスフロアへ誘い、挙げられた手をつかみます。

文化祭編が描くのは、ヒーローの役割が危険から命を守ることだけではないという視点です。

傷ついた心に光を置き、もう一度笑える時間を作ることも、人を救う行為になります。

「笑ってほしい」という願い

歌詞では、「君」に笑ってほしいという願いが繰り返されます。

ただし、無理に笑顔を作らせたいわけではありません。

見間違いや勘違いではなく、心から笑える状態を願っています。

この点も、文化祭編のテーマと重なります。

表面だけの笑顔ではなく、つらい過去を抱えた人が、心から楽しいと感じられる瞬間を作りたい。

そのために、登場人物たちはそれぞれの個性を使い、音楽やダンスを一つのステージへつなげていきます。

「スターマーカー」は、文化祭の明るさだけを表現した曲ではありません。

明るい場所へ入れずにいる人の存在を見つけ、その人と同じ夜を抜けようとする歌なのです。

デクだけの歌ではない

楽曲をアニメに重ねる場合、主人公の姿を緑谷出久、歌詞の「君」を彼が救いたい人物と読むことができます。

しかし、谷口鮪の公式コメントは、曲を聴く「あなた」一人一人へ向けられています。

そのため、「スターマーカー」を特定の登場人物だけのキャラクターソングに限定する必要はありません。

デクも、クラスメイトも、心に傷を抱える人物も、それぞれが異なる色を持つ星です。

そして現実を生きる私たちも、自分の人生へ色を加えるスターマーカーになれます。

KANA-BOONの再出発と重なるのか

「スターマーカー」は、ベースを担当していた飯田祐馬が2019年11月に脱退した後、3人体制となったKANA-BOONが初めて発表したシングルです。

また、3人体制で制作された初のMVでもありました。

そのため、過去に新しい色を重ね、もう一度進もうとする歌詞を、当時のバンドの状況に重ねることはできます。

ただし、谷口鮪の公式コメントは、主に『僕のヒーローアカデミア』と聴き手の人生へ向けられたものです。

「メンバーの脱退について書いた曲」と明言されているわけではありません。

したがって、バンドの再出発は楽曲に重ねられる背景の一つですが、歌詞の唯一の制作意図として断定するべきではないでしょう。

むしろ、過去の意味を未来によって変えるという曲のメッセージが、偶然ではなく当時のKANA-BOON自身にも響くものになったと捉えるのが自然です。

金澤ダイスケの鍵盤が加えた「七色」

「スターマーカー」には、フジファブリックの金澤ダイスケが参加しています。

KANA-BOONの疾走感のあるギターロックに軽やかな鍵盤が加わり、音の色彩が大きく広がりました。

歌詞には、パレット、七色の未来、光、星、ダンスフロアなど、鮮やかな言葉が並びます。

鍵盤の明るく弾むような音色は、それらのイメージを聴覚的に表現しているように感じられます。

2022年には、KANA-BOONと金澤ダイスケが「THE FIRST TAKE」で同曲を演奏しました。

KANA-BOONはその際、金澤の鍵盤によって心が軽やかになり、普段以上に解き放たれた演奏ができたとコメントしています。

参考:KANA-BOON公式「THE FIRST TAKE」配信情報

サウンドそのものが、暗い色だけだった世界へ別の色を加えるパレットになっているのです。

MVに登場する“スターマン”の意味

「スターマーカー」のMVは、画面を縦に3分割し、KANA-BOONのメンバーやさまざまな物が目まぐるしく入れ替わるカラフルな作品です。

映像には、鏡面に包まれた“スターマン”も登場し、ダンスやパントマイムを披露します。

鏡面は、周囲の色や光を映し出す素材です。

そのためスターマンは、自分だけの固定された色を持つ存在ではなく、出会った人や場所の色を受け取りながら輝く存在とも解釈できます。

また、3つに分かれた画面には、離れた人や異なる視点を一つの映像へつなぐ効果があります。

別々の場所にいる者が、演奏やダンスによって同じ時間を共有する。

この構成も、点と点を線で結び、それぞれの星を輝かせる歌詞と重なります。

参考:KANA-BOON公式MV公開情報

「スターマーカー」に関するよくある質問

「スターマーカー」とはどういう意味ですか?

公式に意味が一つへ確定されているわけではありません。歌詞からは、暗闇にいる一人一人を星として見つける存在、星同士を結ぶ存在、過去や未来へ新しい色を付けるマーカーなどの意味が重ねられていると考えられます。

「スターマーカー」は誰に向けた歌ですか?

谷口鮪は、聴き手一人一人の主題歌になってほしいという趣旨を語っています。アニメの登場人物だけでなく、過去や孤独に悩むすべての人へ向けられた歌です。

「君」は誰を指していますか?

特定の人物名は示されていません。『僕のヒーローアカデミア』の登場人物に重ねることもできますが、楽曲単体では、光を見失い、狭い視界の中で孤独を抱える聴き手を表していると考えられます。

「最低な夜」とは何ですか?

不安、孤独、後悔などによって出口が見えなくなった時間の象徴です。曲は夜を一瞬で消すのではなく、迷いながら一緒に抜けていこうと呼びかけています。

なぜ星と色の表現が多いのですか?

星は一人一人の存在や希望、色はそれぞれが歩んできた過去と未来を表していると考えられます。異なる色と星をつなぐことで、一人では描けなかった新しい世界が生まれます。

KANA-BOONのメンバー脱退について書かれた曲ですか?

当時のバンドの再出発に重ねることはできますが、脱退を直接歌った作品だとする公式説明は確認できません。谷口鮪のコメントでは、『ヒロアカ』と聴き手自身の人生が中心に置かれています。

まとめ

KANA-BOONの「スターマーカー」は、変えられない過去へ新しい色を重ね、その意味を未来から変えていく歌です。

歌詞の「君」は、当たり前の眩しさに目を閉じ、誰にも見つからない影の中にいます。

主人公は、その暗闇を強い光で一気に消そうとはしません。

一粒の光を置く。

涙を拭うような音色を届ける。

迷路の中へ一緒に入り、挙げられた手をつかむ。

それが主人公にできることです。

しかし、最後に「君」の人生を救うのは「君」自身です。

パレットを手に取り、どの色を選び、どのような未来を描くかは本人にしか決められません。

だから谷口鮪は、聴き手自身こそがヒーローだと語ったのでしょう。

「スターマーカー」が描くヒーローは、最初から強く、迷わず、何でも正しく選べる人ではありません。

道を間違えたら戻る。

つらければ手を挙げる。

誰かの手を借りながら、もう一度進む。

そして、暗い色しかなかった過去へ、未来から新しい色を重ねていく人です。

夜空の星は、一つでは小さく見えます。

けれど、点と点を線で結べば星座になり、それぞれの光が一つの物語を作ります。

自分の光を見つけ、他者の光とつながり、人生を新しい色で描き続ける。

その人こそが、「スターマーカー」なのではないでしょうか。

この曲が刺さった人におすすめの3曲

KANA-BOON「まっさら」

孤独や断絶を抱えながら、もう一度誰かとつながろうとする歌です。「スターマーカー」の点と線、人と人を結ぶテーマに通じます。

「まっさら」歌詞の意味を考察

KANA-BOON「結晶星」

夢を追う中で感じる迷いや、自分自身の輝きを信じることを描いた楽曲です。星というモチーフを比較する内部リンクとしても相性があります。

「結晶星」歌詞の意味を考察

KANA-BOON「ダイバー」

不安を抱えながらも、未知の未来へ自分から飛び込もうとする歌です。「スターマーカー」が描く、間違いながら進むヒーロー像と重なります。

「ダイバー」歌詞の意味を考察

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参考資料

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