Mrs. GREEN APPLEの「Attitude」は、一見すると「自分を信じて前向きに生きよう」と歌う曲に聞こえます。
しかし、大森元貴のインタビューを読むと、それだけではないことが分かります。
大森は決して「自分は強い人間だから前を向ける」と語っているわけではありません。
むしろ逆です。
弱い。苦しい。それでも「でもね」と言える強さを持とうとする。
そこに「Attitude」というタイトルの本当の意味があるのではないでしょうか。
さらに大森自身、この曲をアルバム『Attitude』の「説明書になるような曲」と説明しています。
つまり「Attitude」は単なる応援歌ではなく、当時のMrs. GREEN APPLEが「なぜ音楽を作るのか」「何を信じて歌うのか」を示した、非常に重要な一曲なのです。
- Mrs. GREEN APPLE「Attitude」の基本情報
- 「Attitude」の意味は「態度」よりも「姿勢」
- 実は「Attitude」は最初から作る予定ではなかった
- 「Attitude」は強い人を描いた歌ではない
- 「世界は腐っていない」は断言ではなく“願い”なのでは?
- 大森元貴が語った「弱いからこその強さ」
- ポップな曲調にも意味がある
- 「Attitude」は大森元貴自身について歌った曲なのか?
- フェーズ2でも「Attitude」が重要だった理由
- 2019年のアルバムが2025年にも聴かれた理由
- 結局「Attitude」が伝えたいこととは?
- まとめ|「Attitude」はMrs. GREEN APPLEの“生き方”ではなく“向き方”を示した曲
Mrs. GREEN APPLE「Attitude」の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 楽曲名 | Attitude |
| アーティスト | Mrs. GREEN APPLE |
| 収録アルバム | Attitude |
| 発売日 | 2019年10月2日 |
| アルバム | 4th Full Album |
| 収録位置 | 2曲目 |
| 主なテーマ | 弱さ・創作・信じること・生きる姿勢 |
4thアルバム『Attitude』は2019年10月2日に発売。
公式特設サイトによると全17曲収録で、冒頭のインストゥルメンタル「InsPirATioN」に続いて、表題曲「Attitude」が配置されています。
この曲順も重要です。
「InsPirATioN」が何かを生み出そうとする瞬間を表し、そこから「Attitude」へつながる。
つまりアルバムの冒頭から、**「何を作るか」より先に「どんな姿勢で作るのか」**が提示されているように感じられます。
Mrs. GREEN APPLE『Attitude』公式特設サイト
「Attitude」の意味は「態度」よりも「姿勢」
英語の「attitude」には「態度」「姿勢」「考え方」といった意味があります。
この曲の場合、単なる人への接し方を指す「態度」と考えるより、
「自分は何を信じ、どんな姿勢で音楽や人生と向き合うのか」
と読む方がしっくりきます。
そして、この解釈を裏付ける非常に重要な発言が2019年のインタビューに残されています。
実は「Attitude」は最初から作る予定ではなかった
Skream!のインタビューで、大森元貴は興味深い制作背景を語っています。
実は「Attitude」という曲自体は、もともと書く予定ではなかったそうです。
先にアルバムタイトル『Attitude』があり、それだけですべてを語るつもりだった。
ところが完成していくアルバムが難しい作品になったため、「Attitude」という曲が必要なのではないかと考えて書いたと説明しています。
そして、この曲について大森は、
「このアルバムの説明書になるような曲」
と表現しています。
これは「Attitude」を読み解くうえで非常に大きなヒントです。
曲単体で「人生はこう生きるべき」と教える歌ではない。
アルバム全体で描かれる様々な感情や矛盾を、「自分たちはこういう姿勢で音楽にしている」と示す役割を持った曲だったと考えられます。
Skream! Mrs. GREEN APPLE『Attitude』インタビュー
「Attitude」は強い人を描いた歌ではない
この曲の大きな特徴は、「強さ」だけを肯定していないことです。
歌詞では、人間の弱さや生きづらさ、自分自身の身勝手さまで隠さずに見つめています。
世界は美しい。
人間は素晴らしい。
未来を信じよう。
そんな言葉だけを並べるのではありません。
むしろ、
「本当にそう信じられるのか?」
という疑いを抱えたまま、それでも信じる側に立とうとしています。
ここが「Attitude」の核心ではないでしょうか。
「世界は腐っていない」は断言ではなく“願い”なのでは?
現行記事では、この曲を「この世界はまだ腐っていないと信じることの大切さ」を歌った曲としてまとめていました。
方向性としては間違っていません。
ただ、もう一歩深く読むことができます。
歌詞全体を見ると、主人公は最初から世界を無条件に肯定しているわけではありません。
人間の弱さも、生きにくさも、自分自身の矛盾も知っています。
そのうえで「それでも世界を信じるような歌を歌いたい」と願っている。
ここには、
「世界は素晴らしいから信じる」のではなく、「簡単には信じられない世界だからこそ、それでも信じる方を選ぶ」
という逆説があります。
タイトルが「Hope(希望)」ではなく「Attitude(姿勢)」なのも、この違いを考えると納得できます。
希望があること自体を歌っているのではない。
希望を持てない瞬間にも、どちらを向こうとするのか。
その選択こそが「Attitude」なのではないでしょうか。
大森元貴が語った「弱いからこその強さ」
この解釈を考えるうえで、さらに重要な本人発言があります。
Universal Musicの公式ライナーノーツでは、大森が「Attitude」に触れながら、自分自身を決して強い人間ではなく、弱いからこそ苦しむ人間だと語っています。
そのうえで、そこで**「でもね」と言える強さ**を持たなければ生きていけない、と説明しています。
これは「Attitude」の意味を非常に端的に表しているように思います。
弱さを克服して強い人になることではない。
弱い自分のまま、
「でも、生きる」
「でも、信じる」
「でも、歌う」
と続ける。
その「でも」の後にどんな行動を選ぶか。
それが大森元貴にとっての「Attitude」なのではないでしょうか。
Universal Music「インフェルノ」オフィシャル・ライナーノーツ
ポップな曲調にも意味がある
「Attitude」は重いテーマを扱っていますが、楽曲そのものは非常にポップです。
これも偶然ではありません。
2019年のインタビューで大森は、内容が重くても、メロディやアレンジについてはポップな形に包むことがMrs. GREEN APPLEらしい表現だと説明しています。
つまり、
重いことを重い音楽だけで伝えない。
ここにもミセスの「Attitude」があります。
弱さや孤独、生きづらさについて歌いながら、聴き手を絶望だけに置いていかない。
痛みをポップミュージックに変換して届ける。
それ自体がMrs. GREEN APPLEというバンドの創作姿勢なのだと考えられます。
「Attitude」は大森元貴自身について歌った曲なのか?
「Attitude」には、音楽を生み出す側の人間を連想させる表現が多く登場します。
そのため、完全な架空の主人公による物語として読むよりも、大森元貴自身の創作者としての葛藤が強く反映された楽曲と考える方が自然でしょう。
実際、大森本人がこの曲を「アルバムの説明書」と説明しています。
ただし、すべての歌詞を大森本人の実体験と断定する必要はありません。
重要なのは、
「何を信じて曲を書くのか」
「人に音楽を届けるとはどういうことなのか」
「自分自身が弱いのに、なぜ希望を歌うのか」
という創作者としての問いが、曲の中心に置かれていることです。
だから「Attitude」はリスナーへの応援歌であると同時に、大森元貴自身が音楽を続けるための宣言としても聴くことができます。
フェーズ2でも「Attitude」が重要だった理由
この曲の重要性は2019年だけで終わりません。
Mrs. GREEN APPLEは活動休止期間を経て、2022年にフェーズ2をスタートさせました。
その復活ライブ「Mrs. GREEN APPLE ARENA SHOW “Utopia”」の1曲目として選ばれたのが「Attitude」です。
音楽ナタリーの2022年のインタビューで、大森は1曲目について「Attitude」以外の考えはなかったと説明しています。
さらに、「Attitude」を自然に歌えるところまで行かなければ、次のステージには進めないだろうと考えていたことも語っています。
これはかなり象徴的です。
2019年に自分たちの姿勢を示した曲を、活動再開後の新しいMrs. GREEN APPLEがもう一度歌う。
言い換えれば「Attitude」は、
フェーズ1の答えであると同時に、フェーズ2へ進める自分たちになれたのかを確かめる曲
でもあったのではないでしょうか。
音楽ナタリー「Mrs. GREEN APPLEはなぜ愛情と希望を歌い続けるのか?」
2019年のアルバムが2025年にも聴かれた理由
『Attitude』は古いアルバムになったわけではありません。
2025年のSpotify年間ランキングでは、『Attitude』が「国内で最も再生されたアルバム」の1位になりました。
2019年発売の作品が、6年後にもこれほど聴かれているのは非常に印象的です。
WWDJAPAN「Spotify 2025年年間ランキング」
現在のMrs. GREEN APPLEをきっかけに過去作品へさかのぼったリスナーにとっても、『Attitude』はバンドの根にある考え方を知るための重要な作品なのでしょう。
そして表題曲「Attitude」は、その入口に置かれた文字通りの「説明書」と言えます。
結局「Attitude」が伝えたいこととは?
「Attitude」が伝えているのは、
「強く生きよう」ではなく、「弱い自分を知ったうえで、それでも何を信じるかを選ぼう」
ということではないでしょうか。
人は弱い。
世界を嫌になることもある。
明日を信じられない日もある。
それでも、そこで終わらせない。
完璧に前向きになれなくても、「でも」と続けることはできる。
その小さな方向転換を、大森元貴は「Attitude=姿勢」と呼んだのではないかと思います。
だからこの曲は、単純な自己肯定ソングよりずっと人間臭い。
自信がない人にも、生きづらさを感じている人にも届くのは、強い人が弱い人を励ましている歌ではなく、弱さを知っている人が、それでも信じようとしている歌だからなのかもしれません。
まとめ|「Attitude」はMrs. GREEN APPLEの“生き方”ではなく“向き方”を示した曲
「Attitude」を読み解くポイントをまとめます。
- 4thアルバム『Attitude』の表題曲
- 大森元貴自身が「アルバムの説明書」のような曲だと説明している
- 最初から作る予定だった曲ではなかった
- 人間の弱さを否定せず、その先で何を信じるかを描いている
- 重いテーマをポップに届けること自体がミセスらしい創作姿勢
- 2022年の復活ライブでも最初に選ばれた重要曲
- 2025年にはアルバム『Attitude』がSpotify国内年間アルバム1位となった
「Attitude」は、「こう生きなさい」と答えを教えてくれる歌ではありません。
むしろ、自分自身が弱く、答えを持っていないことを認めたうえで、
それでも自分はどちらを向くのか。
その姿勢を問い続ける曲です。
Mrs. GREEN APPLEが現在も愛や希望を歌い続けている理由を知りたいとき、「Attitude」に戻ってくると、その原点の一つが見えてくるのではないでしょうか。


